8月9日 12時21分 工魔科学帝国マンス外殻城門 ゲートインテグラル 第四古代結界の境界~ごみ掃除をするメイドさん
元剣聖ランスロット・アレクシアは剣聖の加護スキル【噓を切り刻む剣】によって得た唯一情緒のある情報である、今日戦死する狂戦士ラティアは【不老の加護を持っている】という浩々とした虚構を吐いたという事象について考え鑑みていた。
これに関して考え鑑みることで生まれる乾燥した観察による考察がアレクシアには二つある。一つはとても人間的でもう一つは人間的じゃ無さ過ぎて逆に人間的なもの。
一つ目は単純に目の前の今日戦死する狂戦士が嘘をついたという事。二つ目は彼女が不老なのではなく不朽だから嘘を切り刻む剣にその発言が引っ掛かったというパターン。つまりラティアには老いという人間的概念が当てはまらないという事だ。正直に言って二つ目は嫌だった。否と言いたかった。しかしここは工魔科学帝国第一王子ネロ・グリフィスが子細を支配し従える帝国。後者の可能性のほうが高確率だ。
「どうだ?絶望したか?絶号したいか?絶叫したいか?剣聖お前は私なんかよりも全然決定的に設定的に絶対的に強いというのに私を倒せないという笑える事実に?いや笑えない、、、ふざけるな私はまた死ねないのか?はたまたたまたまでもいいから、、、死にたいよ兄さん、、、」
ラティアは獅子の咆哮のように死の芳香を漂わせずに言った。言っていることは枝葉末節が支離滅裂だ。
「お前は死にたいのか?」
アレクシアは動的で童的な子供に語り騙りかけるみたいに言った。
「わかんない。わかりたくもないだから死にたい、死にたい人なんて死にたい奴なんて私だけじゃないはずなのに自分が今一番死にたいんだって思ってる、、、」
「そうか、ならば死んではいけない、、、死にたい理由もわからない子供どもは死なないべきだ。お前はてめえのために生きろ。イキレ。」
アレクシアは強い言葉で強く言った。
「なんでそんな暴力的で横暴的で行動的で妄想的で夢想的で獰猛的で超常的で調教的で創造的で想像的でもうどうしようもないようなひどいことを言うんだ。お前みたいな強い奴は大嫌いだ。強い奴は設定が決定され徹底的になってもそんな損がないじゃないか?私ばっかり、私ばっかりがっかりだよ。ハッタリじゃないよ。」
ラティアは泣きそうな目でこちらを煮詰めるみたいに見つめている。
「お前は自分の事をゴミだといったな。」
「言ったよ、、、」
「突然だが、メイドの仕事ってなんだと思う?」
「選択の余地がない迷惑行為でもない洗濯掃除かな、、、」
「今から使うのは私がメイドになってから初めて覚えたスキルだ」
そういったアレクシアはラティアの帝国第四古代結界の触媒になった十字架を持つ手に右手を向け楽曲を楽器で演奏するみたいに詠唱する。
「スキル【おもちゃのお片付け】対象目の前のゴミの右手」
そういった瞬間、箒と塵取りで法規的に放棄されるみたいにラティアの十字架を持った手が雲散霧消と消えていく。
「なんで、、、」
ラティアは今回起きたことに困惑している。
「お前はごみなんかじゃないって、そんな優しい野菜スープみたいなセリフを私が言うと思ったか?お前はゴミだ。自分の生きたい理由どころか死にたい理由すら見つけられないゴミだ。でも私は愛すよお前みたいなゴミの事。だってそんなゴミを片付けられるのって私みたいな冥途のメイドだけじゃん。だからお前はひとりぼっちじゃないさ、、、」
ラティアの腕が無くなった箇所から血がにじむ。ゆったりと、でもそれ以外は何も滲むことはない、、、
つかむものが無くなった、十字架がカランコロンという音を立ててその場に落ちる。
「ごみ掃除なら私は特異なくらいに得意なんだ。私はいつだってお前を殺せるぞ。だから生きてくれ。私はお前みたいなかまってちゃんが嫌いじゃないんだよ。昔の私みたいだからな」
そういってラティアに向かってアレクシアは微笑んだ。
「お兄ちゃん、、、」
ラティアは思わず口をついて出た言葉を言の葉とする。アレクシアにはラティアの目が少しだけウルウルと潤ったように見えた。
アレクシアは十字架にゆったりと近づき、その十字架を十時間とは言わないまでも壊れるまで十分な時間踏み潰す。
その瞬間ゲートインテグラルとウォールインダストリアルを囲むように降りていた帝国第四古代結界はまるでガラスの雨が降るみたいに綺麗に奇祭に割れていく。
「通っていいか?」
アレクシアはゆったりとまったりとぐったりと聞いた。
「私名前ラティアっていうの、、、」
「そうか、、、」
「ゴミじゃないから。」
「そうかごめんな。そうだなお前はゴミじゃなくて本当は人形だろ?」
「なんでわかったの?」
何も言わずにアレクシアはラティアをふんわりふわりと抱きしめた。大人というのはずるいなと二人は思った。
その刹那パオシェン山脈の上空付近から天空に伸びる線が帝国に向かって向かってくる。それはだんだんとまた淡々と龍のような星のような巨大で強大な魔力反応へと姿を変える。その魔力反応はアレクシアが帝国第四結界を決壊させ崩壊させるタイミングを見計らったかのようでもあった。
アレクシアとラティアはその方向へと顔を向ける。するとそこにあったのは今にも落ちそうな真昼の空に咲き誇る埃みたいな星空だった。流星群だった。否、龍星群だった。それは高く聳え立つゲートインテグラルとウォールインダストリアルの上を通り過ぎていく
「兄さん?」
ラティアは絶望を絶号するみたいに淡白に淡々と単純に言った。




