8月9日 12時19分 工魔科学帝国マンス外殻城門 ゲートインテグラル 第四古代結界の境界~「私は|1219《いつ逝く》事ができるんだ?、、」
元剣聖ランスロットアレクシアは目の前にいる今日戦死する覚悟を持った狂戦士の回復力について考察し洞察し観察していた。
剣聖の加護によるスキル【視線を剣にする剣】とスキル【空気抵抗を切り裂く剣】を使った音速を超える不可視で不可避で不可逆の斬撃。悲劇を超えた惨劇。惨劇のような間隙を与えない感激。それらによって吹っ切るみたいに吹き飛ばした右腕を含むその他ラティアの傷のもろもろが回復している。この状況で考え鑑みることができる事象はアレクシア目線では二つある。
一つ目は単純勇者ラルフのような超高位の回復魔術による超高速回復。元剣聖ランスロットアレクシアの元パーティメンバーであった、勇者ラルフはその尋常ならざる異常以上に異常な回復魔法から殺さなければ死なない勇者といわれていた。殺さなければ殺せないというのは、通常に考えれば異常なことではないのだが、彼女は胴体を真っ二つに切られても心臓をつぶされても腎臓をつぶされても肝臓をつぶされても回復魔術を使って生きていた、息をしていた。
そういう意味での殺さなければ死なない。今思えば殺さければ死なない勇者ではなく殺すこと以外が意味のない化け物と言い換えてもいいかもしれない。ラティアがそのレベルの回復魔術の使い手という可能性もある。だがそれならば木っ端みじんかつ粉みじんに殺せばいい。対処は対症療法で十分。
二つ目は加護による何らかの概念操作によってなかったことにしたパターン。治癒系の加護もしくは巻き戻しのようなエリートでデリケートなデリート、つまりキャンセル系の加護。この中で一番まずいのはキャンセル界隈だった場合、元剣聖ランスロットアレクシアのイケイケな経験上、治癒を引き起こす加護というのは基本的には術者が生きていなければ発動しない。つまり対処は先ほどと同じ対症療法でよい。
しかしラティアの加護がキャンセル界隈だった場合、こちらの加護を使ったすべての攻撃に適応してからラティアが攻撃を受け加護が発動しラティアが復活するというプロットというかプロセスになるので、こちらの加護を利用した物理攻撃総て意味をなさなくなる。こちらに勝つすべが無くなる。
そんな洞察力を使った考察をしながら観察していると、ラティアがにやりと笑った。
「私の加護について考察的な観察をしているな、、、このタイミングで加護の開示をする必要はないのだが、教えてやろう。」
けらけらと笑いながら赤色の髪の毛をなびかせラティアは首をゆらゆらと揺らした。
「優しいのだな、今日戦死する狂戦士よ」
「そうなんだ私は赤髪なのに平和主義者であり戦士であり戦死を戦止したい優しい人間なのだ」
「そうか、、、」
どうもアレクシアはラティアの事が理解できなかった。まるで異界の生物のようだ。意外性というものがありすぎてわからない。それらすべてが本当は以外でもなんでもなく彼女にとっての正解であり本音なのかもしれない。
「私の加護は【不老不死】不能にして不動にして不幸にして不埒な最低で最悪で最狂の加護だ」
アレクシアはそれを聞いた時、一瞬思考がフリーズした動かそうとプリーズしても意味がなかった。人間界でそんな加護聞いたこともない。精々不老が限界だろう。それに不死迄ついてくるとは、、、つまり私の考察の中で予想も想像も妄想すらしていない最悪のパターン。
「不老不死?お前は魔族か?」
「魔族じゃないよ、ただの龍人族。角が生えた一般人チンパンジー以下のゴミだ。故郷を守る事すらできない。のうのうと自殺を試みることすら能書きにしかならないカスだ。でもこんな私だからお前には負けない。お前に勝てないけどお前には負けない」
ラティアはまるで明らかなことをあきらめるみたいに言った。
「スキル【嘘を切り刻む剣】、スキル【視線を剣にする剣】同時発動」
アレクシアが剣眼ソドスフィアから発した剣たちは確実にかつ着実に事実を残すみたいにラティアを切り刻む、しかし彼女は笑顔のまま、切り刻まれた場所から一切合切の血が出ることはなく、その傷もやがてふさがっていく。しかし嘘を切り刻む剣によって、一つの真実がアレクシアの脳内に能書きとして足される。
噓を切り刻む剣【不老が加護という部分が嘘】
これについてどういう意味なのかがアレクシアにはいまいちピンとこなかった。ピントが合わなかった。嘘だとするならふつうは不死だろう。ラティアはなぜ不老などという嘘をついた?
「お前も私を殺せないのか、、、」
今にも泣きそうな声でラティアは言った。
「でも私は今日戦死する狂戦士という設定を持っている。ネロ・グリフィスという男が残した呪いさ、、、この呪いを持っているのは私だけではないがな。さあお前はどう私を切り刻むんだ?どう私をイジメるんだ?どう私を裏切るんだ?教えてくれ、この体に教えてくれ、私は1219事ができるんだ?、、」
ラティアがそういった瞬間帝国の第四古代結界の中ゲートインテグラルとウォールインダストリアルの奥からガラスがはじけるような音が鳴り響く。成り立ちが何なのかはわからない。その音にアレクシアとラティアは振り向いた。小さな音は古代結界によって遮蔽され遮断されるはずなので、おそらくとてつもない何かが成り立ち鳴り響いたのだろう。しかし考えてみればアレクシアにとってはそんな音はどうでもよかった、芯の芯から心の底からどうでもよかった。
「救う」




