8月9日 12時12分 工魔科学帝国マンス外殻城門 ゲートインテグラル~最強メイド現着。「私は3年前の7月5日6時4分からずっと12《いつ》私は戦死するんだろうって8を9いしばって考えていたんだ。」
工魔科学帝国マンスの最外殻に設けられた唯一の城門ゲートインテグラルに、一人の今日戦死する、狂戦士が肩を預けていた。彼女の事を人々は敬意と憎悪と恐怖と畏怖を込めて、最恐にして最強にして最狂であるがために最狂の三魔卿ラティア・CSと呼んだ。
ラティアはアラスカンコートを着込み竜人族特有の背中に生えた翼と赤色の髪の毛を夏の涼風になびかせながら頭に生えた角を見せつけるように立っている。ラティアは悠然と目の前の胸囲のでかい脅威に目をやった。
そんな最狂の前に一人の冥土の土産にもならないようなメイドが現れる。その女はかつて剣聖とよばれ、今はしがない野良メイドをやっている。最高にして最速故に最強。そのメイドは豊満な胸を揺らしながら怒っていた。元剣聖メイドランスロット・アレクシアはただただ目の前で起こることに怒っていた。
理由は簡単で単純で淡白だった。彼女の愛している愛しの坊ちゃまが帝国に誘拐された。それだけだ、、、
「私はさあ、赤髪なのにこの国一番の平和主義者なんだ、、、だから戦争を止める戦士になった。戦死を止めるための戦士意味わかるかな?」
「そうかならば、ここは戦場ではないここは冥土だ、、、」
それを聞いたラティアがにやりと笑った。
◇◇◇
時は8時間ほど前まで遡る。のぼせたレオンの頭を冷やすためにラオ・パオシェンの死体跡地に永久凍結石をとりに行き、そこから宿の部屋に戻りドアを開けるアレクシア。
「るんるるーん♪るんるるーん♪坊ちゃまただいま帰りました。」
しかしそこにレオンはいなかった。
代わりに彼女の目の前にあったのは一つの書置きだった。丁寧で丁重な字で記された、その手紙を食い入るようにあるいは食い殺すようにみる。
ランスロット・アレクシア様へ
正々堂々白昼堂々威風堂々レオン・ライオネル君を誘拐いたしました。あなたが工魔科学帝国マンス中枢紅魔城禁書庫に来なければ、私の兄工魔科学帝国第一王子ネロ・グリフィスにレオン君が処刑されてしまいます。助けてとは言いません。レオン君を助けなさい。
レオン君の幼い幼馴染ネロ・ジェーンより
アレクシアはその手紙を食い入るように見る。何度も何度も、、、
彼女の心にその時芽生えたのは信じていた親友ネロ・グリフィスに裏切られた悲しみではなく321だった。淡白で純粋で透明で純透明な殺意だった。3,2,1で殺したくなるような破壊衝動だった。頭がレオンを殺すネロ・グリフィスを殺すことでいっぱいになる。
「ネロ・グリフィスがレオン君を殺すから殺す。殺したいから殺し殺す訳じゃない殺させないために殺す。殺さなきゃレオン君を殺すのと同じだからレオン君を殺す人を殺す。今までのネロは殺すこれまでのネロは殺す。ネロが殺すことを殺す。殺すように殺したい。殺したい奴だけ殺すよりも殺したいという心からの殺すじゃないと殺せない。殺すもっともっともっと殺すどれだけ殺す?殺すって殺せる?殺すのは殺したい。殺さなきゃ殺される。だから殺すのは殺すことだ。殺すって殺すんだっけ?ころころ殺すころころコロコロコロコロコロコロころ殺す。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す。」
アレクシアは大きく息を吐いた。
「ぶっ殺す。」
手紙を握りつぶしながらアレクシアは言った。
「レオン坊ちゃまは私の物だ、私のだぞ、幼い幼馴染なんぞ許さない、、、」
◇◇◇
「メイドさん冥土さんそんなつれないこと言わないでよ。まだ冥途じゃん?メイドさんはさあ?今日戦死する覚悟はある。狂戦士の覚悟はあるの?」
「剣眼無双 ソドスフィア開放」
アレクシアはラティアの言葉を無視して剣眼・ソドスフィアを解放する。
その時彼女の右目の奥に黄金色の剣の紋章が刻まれる。
「どけ、、、」
右目が赤く輝く。
瞬間、帝国最狂の狂戦士の右腕が吹き飛ぶ。斬撃が速すぎて血すら吹き出ない。
剣眼・ソドスフィアは剣聖の加護スキル【視線を剣に変える剣】発動時に生じる。右目が光る現象の名前。スキル【視線を剣に変える剣】はそれ単体でも不可視であり予備動作も不要の斬撃として強力な攻撃性能を有するが、このスキルの真の真価はこれに固有効果を付属させたときに生じる、複合的かつ復号的な特殊斬撃。
今回組み合わせたのは、スキル【視線を剣に変える剣】とスキル【空気抵抗を切り裂く斬撃】とスキル【殺意を剣とする斬撃】殺意200パーセントを超えた彼女の斬撃は鉄をも溶かす熱を持ち、空気抵抗を無効化する剣によって音速を超え、剣眼・ソドスフィアによって普通の生物には不可視で不可避ゆえに不可逆的な斬撃として出力される。
辺り一帯を一体何の恨みがあるんだと言いたくなるくらいに世界を【視線を剣に変える剣】によってランスロット・アレクシアは切り刻む。それが地響きとなり地震となり地割れとなり、地鳴りとなって帝国が泣き叫ぶ。
帝国の最外殻である鉄でできたウォールインダストリアルがひび割れていく。その音が帝国中に響いていく。彼女の見つめるすべてが灰燼と化していく。
ラティアはその斬撃の惨劇を受けながら笑っていた。あざ笑うみたいにせせら笑っていた。自身の右腕が吹き飛んだにも関わらず。
「私は狂戦士として今日戦死できるかもしれない、、、私は3年前の7月5日6時4分からずっと12私は戦死するんだろうって8を9いしばって考え鑑みていたんだ。でも素晴らしい素晴らしい素晴らしい。やっぱり兄さんは素晴らしい」
ラティアはアレクシアの夢幻のような無限の斬撃を受けながらも狂戦士だった。
ラティアは10㎝ほどの十字架を掲げる。
「光の導きは我に、結界の成り立ちは魂を素とし、ここに明滅する命滅契約とする。帝国第四古代結界施行」
そうラティアが唱えると、工魔科学帝国マンスの最外殻ウォールインダストリアルを包むように光の円柱のようなものがそこに降りる。
それは点でもなければ線でもない円柱の面だった。
アレクシアが放った無差別的な超広範囲斬撃はラティアが展開した結界を決壊させることはない。全てが幻影にうやむやにされるみたいに雲散霧消と消えていく。
20秒間ほど続いたアレクシアの斬撃が止まる。
そこには一人の今日戦死するかもしれない狂戦士が立っていた。亡くなったはずの右腕をつけて、、、
「森には水が、空には太陽が必要なのと同じように私には血が必要なんだ。もっとだ、もっと見せてみろ、魅せてみろ剣聖!」
そういった、ラティアは咆哮を死の芳香でも飛ばすみたいに放った。
「グららあガあ!」




