弟と兄。そこに遺伝子なんて符号はいらないと知るメイドさん
僕と僕のマイメイドである、元剣聖ランスロット・アレクシアはめっちゃ美味しい氷菓を食べるために、僕たちの住む館から北に1200km離れた、-30度を下回る極寒の地、パオシェン山脈の、氷山龍ラオパオシェンの死体跡地に、永久凍結石と呼ばれる氷菓に使う氷を取りに来ていた。
この旅は元剣聖ランスロット・アレクシアの仲間であった、死んだはずの勇者ラルフの目撃情報を確かめるためでもあったのだが、ラオパオシェンの死体跡地に居たのは勇者ラルフの姿をした化け物だった。
元剣聖ランスロットアレクシアによると、その化け物と話して得た情報から、勇者ラルフの中身はもう勇者ラルフではなく、魔王軍四天王の残魂のオルタという、魂を操作する加護を持った1000年以上を生きた魔人族らしい。
オルタは高確率で勇者となる、転生者である僕を消すために、今僕の心を折ろうとしている。
戦いが始まり、勇者の体を持ったオルタの右腕をアレクシアが戦いの中で切断する。しかし残魂の加護を利用し勇者ラルフの意思をその身に宿すことで、アレクシアの不意を突きアレクシアの胸を魔王軍四天王オルタは無限の聖剣ライジングエクスカリバーによって貫いた。
アレクシアのその傷をこの世界のご主人様の加護であるスキル【支配者】の遠隔スキル強制発動によって無理やりふさいだ。
僕とオルタとの戦いが始まる。その戦いはスキル【支配者】の真価である、支配対象の固有魔術、固有スキルの借用を利用した初見殺しによって僕が優勢となった。
とどめを刺そうかというその時、僕の兄であったはずのガルダ・ライオネルがその場に現れ、オルタをかばった。
(二人のステータスは後書きにあります‼)
「ガルダ兄さまは僕のことをなぜ認めることができるんだい?君達はオルタによって作られ、ずっと僕の中の勇者を殺すという命令を与え続けられたはずだ、其れなのになぜ、、、」
僕は話しながら少し泣きそうになった。それは五年間会えなかった兄との再会に感動しているのもあるのかもしれない。魔王軍四天王残魂のオルタに魂を与得られただけの入れ物である彼に対する憐れみもあるのかもしれない。そんなことに気が付けかなかった愚かな少年を恨んでいるのかもしれない。
我ながら二度目の人生だというのに情けないと思う。でもこの気持ちを止めることは出来ない。だって僕は彼のことをどうしようもなくお兄様だと思っているのだから、、、
「それは俺がお前の兄ちゃんだからだ、俺にはお前という家族がいて、それはどうしようもないくらいに大切で、、、言葉にするのは難しいんだが、俺はお前のことが好きだ。そこに遺伝子なんて符号は必要か?」
夕凪の白き大地に咲く漂流の氷龍草がそよ風によってふわりと揺らぐ。
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心臓が締め付けられる。右の頬を雫が伝う。こんなことを言われて悲しいのはガルダ兄さまのはずなのに、、、
僕はアレクシアに対しても、兄さまに対しても最低だった。こんな最低な僕を愛してくれてありがとうなんて簡単な言葉も出てこないほどに僕は最低なんだ。
「あなたはいつだって兄さまなんだね、、、」
僕は当たり前のように当たり前のことを言う。
「そりゃ当たり前だろ、俺の中の世界は1に弟2に弟3に俺、ほかは全部4。4のうが生きてようが俺にとっちゃどうでもいい。だからレオン。お前は勇者になるべきなんだ。」
「なんでだい?兄さま」
「勇者はどんな物語においても最後まで生きているからだ、、、だから生きろよレオンお前は生きてくれ。」
あきらめるみたいに生きろという兄さまがなんだか少し面白かった。
「それが兄さまにとっての勇者なんだね」
「ああ」
勇者がどうあるべきかというのは、人によって異なる。いままでの僕の中の勇者は絵本の中の英雄で、それ以上でもそれ以下でもなかった。でも勇者の体を乗っ取ったオルタを見て、勇者になってほしいと願った兄を見て、隣に横たわる勇者というものを愛した一人のメイドを見て、僕は決めた。
「僕ってどうしようもないくらい勇者なんだ、、、」
その言葉は自分にかけたただの発破のようなもの。その言葉は吹けば飛んでいく枯れ木に残った一枚の葉っぱのようなもの。でも僕の夢と言い換えてもいいものではあった。
「あと一つ聞いてもいいかな?」
僕はゆったりとおとぎ話でもするみたいに聞いた。
「なんだ?」
「なんでオルタを助けたんだい?」
「ああ、こいつが死ぬと俺も死んじまうらしいからな、まあお前が生きてるかどうか確かめるついでに俺の命も拾っておこうと思ったんだ」
僕の兄さまは簡単にこんなこと言ってしまう。自分の命よりも弟のいのちを優先してしまうような、ロマンチスト。それが僕の兄なのだなとつくづく気づかされる。鎖に包まれたオルタは自分の話をしているのだというのに全く気にも留めてはいないようで、氷山龍の山頂にて白の虚空を見つめている。
「僕の姉さまはこんなに変わってしまったのに、あなたはいつだって変わらない。」
「ま、兄ちゃんだからな。俺からもひとつ質問いいか?」
「もちろん、僕は世界一の兄の弟だよ。兄さまの質問にはなんだって答える」
「そうか、、、おまえ俺がこっちに来てるの気づいてたろ」
「なんで?」
「神の獣さんを使って足止めなんて、派手なことすりゃ俺みたいな馬鹿でも気づくぜ。」
ばれたか、、、神獣エンシェントホーンの次元のゆがむ咆哮を【支配の借用】によってトレースしてから、こちらに高速でやってくる。巨大な台風のような魔力反応に対して、スキル【支配】を使い迎撃に向かわせた。その戦闘の勝敗は兄さまの返り血を見てわかった。
「さすがにその時点だと兄さまが敵に見えるだろ普通。」
「え!なんでだよ、俺おまえの兄ちゃんだぜ。」
「まったくもう、そういうところだよ。」
「どういうところだ?」
兄さまはショックを受けたような動作をしてこちらを心配そうに見た。
「まあいいや、、、で?どうすんだレオン、、、お前がオルタを殺したいのなら、別に構わん。」
「そんな話を聞いて殺せるわけがないだろ。オルタを殺して兄さまが死なない方法を探すことにするよ。」
「そんな都合のいい話、勇者でもなきゃ無理だろうな」
「なめんなよ、僕は勇者になってやる。このくらいは朝飯前だよ。」
「そうか、なんだかあの夕焼けの丘を思い出さねえか?」
「そうだね、、、次会うときはさ、やっぱり、、、」
「兄弟同士で」
そういった彼はゆったりと氷山龍を鎖に包まれたオルタを抱えながら下っていく。その背中がなんだか寂しげで少し吹雪みたいだった。でもその背中はなんだけ夏の夕焼けみたいなほんのりとした熱も感じさせた。
ステータス
名前 ランスロット・アレクシア
ジョブ メイド【元剣聖】
攻撃432
魔術98
防御231
魔法防御158
素早さ440
スキル1剣聖の加護【寒さを切り裂く剣、暑さを切り裂く剣、未来を切り裂く剣、蒼を切り裂く剣、緑を切り裂く剣、赤を切り裂く剣、白を切り裂く剣、色を殺す剣、天を切り裂く剣、神を殺す剣、愛を殺す剣、君を殺す剣、次元を切り裂く剣、摩擦を殺す剣、空気抵抗を切り裂く剣、物理法則を切り裂く剣、魔法を切り裂く剣、剣を剣とする剣、剣以外を剣とする剣、魔王を剣とする剣、視線を剣とする剣、避けるという思考を切り裂く剣、動くという概念を切り裂く剣、動くという思考を切り裂く剣、勇者を殺したという罪の剣、剣としゃべれる魔法、メイドの剣、ハエたたきを剣とする剣、家事という概念を切り刻む剣、家事という概念を剣にする剣,etc,,,,】
スキル2洗濯掃除をする根性
スキル3天に煌めく龍終の捌き
名前 レオン・ライオネル
ジョブ この世界のご主人様
攻撃48
魔術101
防御31
魔法防御89
素早さ29
スキル この世界のご主人様の加護【支配者】【支配対象の借用】




