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勇者の右腕を落とすメイドさん

 僕と僕のマイメイドである、元剣聖ランスロット・アレクシアはめっちゃ美味しい氷菓を食べるために、僕たちの住む館から北に1200km離れた、-30度を下回る極寒の地、パオシェン山脈の、氷山龍ラオパオシェンの死体跡地に、永久凍結石と呼ばれる氷菓に使う氷を取りに来ていた。


 この旅は元剣聖ランスロット・アレクシアの仲間であった、死んだはずの勇者ラルフの目撃情報を確かめるためでもあったのだが、ラオパオシェンの死体跡地に居たのは勇者ラルフの姿をした化け物だった。


 元剣聖ランスロットアレクシアによると、その化け物と話して得た情報から、勇者ラルフの中身はもう勇者ラルフではなく、魔王軍四天王の残魂のオルタという、魂を操作する加護を持った1000年以上を生きた魔人族らしい。


 オルタは高確率で勇者となる、転生者である僕を消すために、今僕の心を折ろうとしている。


 (二人のステータスは後書きにあります‼)



 「魔王軍四天王残魂のオルタを殺すか?たかだか固有スキル一つで?私も随分とまあ甘く見積もられたものだな。勇者、いやここはまだ、転生者と呼ばせてもらおうか。」

 挑発的な口調を崩さないオルタ。

 

 「別にどちらでも構わないよオルタ。君たちはその転生者に、何度も何度も負けてきた。いい加減認めろ。お前ら魔族は明らかに、神様に気に入られている。同情したいくらいだ。」


 「やはり転生者というものは神を知覚できるのだな、、、神とはどのような奴だ?」


 まるで子が親に対し無邪気に、目の前の万象を聞くように、さりげなくこちらに向かって問うオルタ。


 「神は人類を愛そうと、しているんだと思う。常に、ずっと、永久に、だからこの世界は狂っている。僕は転生する前に神に聞いたんだ。愛とは何ですか?と。その時帰ってきた言葉を今思い出した。本当に悲しい奴だよ」


 「そうか、、、、」

 オルタはゆったりと背中に刺した二つの勇者の聖剣に両手を添える。


 「勇者の加護 無限の聖剣 ライジング・エクスカリバー」

 オルタの持った白い方の聖剣を抜き出し、空を切る。切った空間から、青白い光が現れ、それらが夕凪のような、漂流の氷龍草としんしんと降り積もる雪を、反射し鏡のように煌めく。その空間から、無数の白い聖剣が現れ、こちらに飛んでくる。


 この技はランスロット英雄譚の69ページで、見たことがあった、あの白い方の聖剣が、うわさに聞く、無限の聖剣ライジング・エクスカリバーか。


 僕は「パチンッ」と指を鳴らす。


 「この世界のご主人様の加護スキル【支配者】対象神獣エンシェントホーン」


 神獣。それらは人語をを介することはないが、人類や上級魔族と遜色がないほどに、賢く行動原理として敵意や神性に反応して、動く。さきほど、ラオパオシェンの死体跡地付近にいた、エンシェントホーンは神獣であり、神獣は神性を求めるがために標高が高い土地を好む。あのエンシェントホーンには勇者しか使えないはずの雷魔法による、攻撃を受けた魔術残滓があった。


 神獣エンシェントホーンは体長50mを超えるヘラジカのような、大きな角を持った鹿型の神獣で、最高時速は500kmを超える、しかしエンシェントホーンの最大の武器は、大きな角でもその強大なフィジカルでもない。咆哮、つまり声だ。


 これらの情報は、この世界のご主人様の加護スキル【支配者】によって得た情報である。スキル【支配者】は支配対象となった生物を、それが情報を読み込むソフトウェアとなって、インプットした後インターネットウィルスのようにその生物に自身の思考を伝播させる。


 「グららあガあぐららあガあ」

 少し遠く離れた場所から響いたそれは、耳が痛くなるようなものではなかったが、確実に体に響くものだった。その咆哮によって地面がえぐれ空間がねじれる。エンシェントホーンの方向の固有効果は空間の抽象化。簡略していえば、対象領域のすべてを曖昧にする。そのねじれた空間は僕たちの前を守るように現れた。


 無限の聖剣は僕たちの数センチ前で無限の聖剣が止まる。


 「君は動物に嫌われているみたいだな」

 「なるほど、、、」

 口に手を当てながら何かを考えこむようにオルタは返した。


 ジョブ【この世界のご主人様】の加護であるスキル【支配者】は強力ではあるが、万能ではない、思考を伝播させたり、対象に強化魔法に近いような力をもたらすことは出来るが、相手がこちらに敵意を持っていたりする場合は不発となる。


 おそらくオルタは自身に【支配者】を適用していないことから、この弱点に気付いている。


 今回に限っても、もしオルタがここに来るまでに神獣エンシェントホーンを無視していたら、この使い方はおそらく出来ない。僕は今回【支配者】の適用範囲を、エンシェントホーンのオルタに対する、悪意の増幅という部分に集約させた。オルタが聖人君主だったのなら、こちらが施行可能な命令は、精々こちらの邪魔をしないように、させる程度が関の山だっただろう。


 しかし僕には一つ気になることがあった竜巻のような強大な魔力反応それがエンシェントホーンにとてつもない速さで近づいている。その魔力反応を僕は知っている、否知ってしまっている。嫌な予感がした、僕はエンシェントホーンにスキル【支配】でそれに対して、迎撃命令を送る。


 元剣聖ランスロット・アレクシアは、散らばった【夕凪の白剣】の一つを手に取り、ここが勝負どころと感じたのか、【空気抵抗を切り裂く剣】と【摩擦を切り裂く剣】の同時発動によって、自身の体の最高速であるマッハ1.5の世界へ肉体をダイブさせる。


 目で追うことは不可能。空気抵抗を切り裂く剣によってほとんど音がしないため、この速度で近距離を動かれるのは、ほぼ瞬間移動と変わらない。


 オルタの神経は過去最高の集中に達していた、そのオルタの神経は五感などでは、一切負えないはずの剣聖の動きをここでしかないタイミングで千年を超える経験の積み重ねによって読み切った。


 「裏どりだな」

 後ろを振り返ろうとするオルタ。しかし避けることができない。

 「正解。でも、、、」

 剣聖ランスロットアレクシアの【避けるという思考を切り裂く剣】が発動する。最速にして不可避の剣聖の加護を極めた者だけがたどり着ける、手数の多さという初見殺し。


 ほんの一瞬ではあるが、オルタの頭の中にかわすという選択が無くなる。よってオルタはもう一本の聖剣で応戦するしかない、しかしそのほんの一瞬の、タイムラグによってオルタの聖剣を持とうとした右の手は赤いバラの花束みたいに、宙を舞う。


 「終わりだ」

 アレクシアは妖艶な女性がプロポーズでもするみたいに儚げに言った。

 


 ステータス 

 

 名前 ランスロット・アレクシア

 

 ジョブ メイド【元剣聖】


 攻撃432


 魔術98


 防御231 


 魔法防御158


 素早さ440


 スキル1剣聖の加護【寒さを切り裂く剣、暑さを切り裂く剣、未来を切り裂く剣、蒼を切り裂く剣、緑を切り裂く剣、赤を切り裂く剣、白を切り裂く剣、色を殺す剣、天を切り裂く剣、神を殺す剣、愛を殺す剣、君を殺す剣、次元を切り裂く剣、摩擦を殺す剣、空気抵抗を切り裂く剣、物理法則を切り裂く剣、魔法を切り裂く剣、剣を剣とする剣、剣以外を剣とする剣、魔王を剣とする剣、視線を剣とする剣、避けるという思考を切り裂く剣、動くという概念を切り裂く剣、動くという思考を切り裂く剣、勇者を殺したという罪の剣、剣としゃべれる魔法、メイドの剣、ハエたたきを剣とする剣、家事という概念を切り刻む剣、家事という概念を剣にする剣,etc,,,,】


 スキル2洗濯掃除をする根性


 スキル3天に煌めく龍終の捌き 

 

 名前 レオン・ライオネル


 ジョブ この世界のご主人様


 攻撃48


 魔術101


 防御31


 魔法防御89


 素早さ29


 スキル この世界のご主人様の加護【支配者】


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