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【この世界のご主人様】となった、坊ちゃまを見る、メイドさん

 僕と僕のマイメイドである、元剣聖ランスロット・アレクシアはめっちゃ美味しい氷菓を食べるために、僕たちの住む館から北に1200km離れた、-30度を下回る極寒の地、パオシェン山脈の、氷山龍ラオパオシェンの死体跡地に、永久凍結石と呼ばれる氷菓に使う氷を取りに来ていた。


 この旅は元剣聖ランスロット・アレクシアの仲間であった死んだはずの勇者ラルフの目撃情報を確かめるためでもあったのだが、ラオパオシェンの死体跡地に居たのは勇者ラルフの姿をした化け物だった。


 元剣聖ランスロットアレクシアによると、その化け物と話して得た情報から勇者ラルフの中身は、魔王軍四天王の残魂のオルタという、魂を操作する加護を持った魔人族らしい。

   

 


 

 夕凪の煌めきを反射する、雪からできた無数の刃は、元剣聖アレクシアの固有スキル剣聖の加護の「剣以外を剣とする剣」の固有形態と、「白を切り裂く剣」の固有形態の重ね合わせによって、この一瞬で生み出された新たな剣聖の加護の固有効果「夕凪の白剣」。


 これらは同じく、剣聖の加護によって付与される、「空気抵抗を切り裂く剣」によって、音速を超える速度で射出される。概念無視と概念操作、そして物理的変化の三要素を、一瞬にして複合した、それは通常対応不可の超高速全方位斬撃として、対象の体を切り刻む、はずだった、、、


 「勇者の加護 迅雷のサンドライト・アルベール」


 オルタの龍終の刻印が光る。勇者の皮をかぶった化け物、アレクシアにオルタと呼ばれていたその魔人は、それら1万を超える刃、すべてを0.1秒足らずで、一ミリも触れさせることなく、灰燼と化す雷撃を放つ。この間おおよそ1秒にも満たない。この時点で僕はこの場において場違いなことはわかっていた。しかし胸の中に残る嗚咽と、脳裏によぎる絶望は、僕の魔術回路を動かした。


 「炎属性第一魔層 フレイム」


 一瞬、こちらを見るオルタ、しかしこの程度の魔法かわす、必要もない。オルタが持っている体が、本当に勇者のものならば、元の魔術防御実数値で、簡単に数値受けを、成立させることのできる魔術だ。


 火の玉がゆったりとオルタに飛んでいく。それを簡単に払いのける。


 「無駄なことを」


 土煙を払いながら、ゆったりとした口調で、オルタは言った。

 その瞬間、僕の中の何かが自分自身の放った火炎と一緒に消えていくのが分かった。

 僕はこの瞬間をもって、完全に壊れた。

 「フッハハハハ」

 僕は笑った。イカレタみたいに笑った。

 「何がおかしい。」

 「お前のストーリーはぼろぼろのボールペンで、紡がれているのにもかかわらず、お前の髪の毛が、妙にサラサラで笑えるんだ。」

 「何を言っている?ついに壊れたか?」

 「ああ壊れたよ。でもとても気持ちがいいんだ。なんでだろうな?無駄なことか、本当にその通りだ。お前も僕も無様に、ずっと無様に、無駄なことをしている。」

 「なに?」

 「だって、お前は絶対に僕のことは殺せない。僕のことを殺せば、おまえは一生勇者という、因果から逃れることは出来なくなる。お前がやっていることは、総て無駄な努力だ。そっちがイカレているのなら、僕もイカレるしかないよな、、、僕は今決めた。勇者を殺す勇者になると、勇者を殺すことだけが、お前の希望ならば、僕はお前を殺すことだけを、今、僕の希望にする。」

 「おい勇者という生き物は、イカレてないと生きていけない化け物か、何かか」 

 僕のことを笑顔で、見ることはなく、怪物でも見るような表情で見つめる、オルタ。


 「そっちに行ってしまわれるのですね、ご主人様。それでも、それでもといわせてください。どこまででも、私はついていきます。」

 アレクシアはゆったりと、僕の前で跪く。そんなことを言う、アレクシアはどこか悲しそうな、顔をしていた。

 「ごめん、アレクシア一瞬、だけど生きる事を僕はあきらめそうになってしまった、でも今は大丈夫。僕はこれから、世界を殺す、ご主人様だ。」

 

 それを聞いたアレクシアは、少しばかり強がった笑みを見せる。

 「オルタ、あなたの言う通り、勇者とは世界を救うという命題に対して、ほかのすべてを投げ捨てることのできる、イカレタ化け物ですよ。だから。勇者というものはいつであっても弱く儚いんです」

 本当に泣きそうな声でアレクシアはそう言った。

 「泣かなくていい。僕はただ壊れただけだ。君のおもちゃが一つ壊れただけ。そのくらいのことだよ」

 僕はアレクシアに対して彼女の頭をゆったりとなでながら首を横に振る。

 「僕にとっての命題は、世界を救うという事ではない。命題はオルタを殺すという事だ。ひいては、こんな運命を僕に課した、世界を殺すという事だ。他はどうでもいい。実はね、君に天に煌めく龍終の捌きを打ってもらって、僕は世界を終わらそうと、さっきまで思っていたんだよ。」

 ゆったりとほほ笑みながら、僕は言った。

 「泣きたいくらいに私のご主人様はイカレていますね」

 顔を俯かせながらアレクシアは言った。

 

 「だからさ、世界を僕に壊されたくなかったら、僕の命令を聞け。今は世界が人質だ。僕を壊したクソみたいな神様。こんなクソみたいな運命を作った、神様よ。ジョブチェンジだ。今日から僕は坊ちゃまでも、ただの勇者でもない。勇者を殺す勇者【この世界のご主人様】になる。」


 僕の頭の中に「ジョブチェンジが施行されました。これより、あなたのジョブが【世界のご主人様】となります。それとともに、スキル【支配者】を獲得しました。」という音声が流れる。

 

 「ステータスオープン」

 僕は端的に言った。


 名前 レオン・ライオネル


 ジョブ この世界のご主人様


 攻撃48


 魔術101


 防御31


 魔法防御89


 素早さ29


 スキル スキル この世界のご主人様の加護【支配者】


 「オルタお前のことは殺すけど、別にお前を恨んではいない。僕がお前を殺したいのは本当だ。でも次に殺したいのは、、、」


 そういった僕は、上を指さした。

 「僕は今からの勇者を殺す。それが僕のぼろぼろのストーリーだから。」

 「イカレている」

 空っぽの勇者は、空を見ながら、そういった。


 ステータス 

 

 名前 ランスロット・アレクシア

 

 ジョブ メイド【元剣聖】


 攻撃432


 魔術98


 防御231 


 魔法防御158


 素早さ440


 スキル1剣聖の加護【寒さを切り裂く剣、暑さを切り裂く剣、未来を切り裂く剣、蒼を切り裂く剣、緑を切り裂く剣、赤を切り裂く剣、白を切り裂く剣、色を殺す剣、天を切り裂く剣、神を殺す剣、愛を殺す剣、君を殺す剣、次元を切り裂く剣、摩擦を殺す剣、空気抵抗を切り裂く剣、物理法則を切り裂く剣、魔法を切り裂く剣、剣を剣とする剣、剣以外を剣とする剣、魔王を剣とする剣、視線を剣とする剣、避けるという思考を切り裂く剣、動くという概念を切り裂く剣、動くという思考を切り裂く剣、勇者を殺したという罪の剣、剣としゃべれる魔法、メイドの剣、ハエたたきを剣とする剣、家事という概念を切り刻む剣、家事という概念を剣にする剣,etc,,,,】


 スキル2洗濯掃除をする根性


 スキル3天に煌めく龍終の捌き 

 

 名前 レオン・ライオネル


 ジョブ ???


 攻撃48


 魔術101


 防御31


 魔法防御89


 素早さ29


 スキル ???


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