「殺意200パーセントの殺害予告だ。受け取れよ」と勇者に告げるメイドさん
僕と僕のマイメイドである元剣聖ランスロット・アレクシアはめっちゃ美味しい氷菓を食べるために僕たちの住む館から北に1200km離れた-30度を下回る極寒の地パオシェン山脈の氷山龍ラオパオシェンの死体跡地に永久凍結石と呼ばれる氷菓に使う氷を取りに来ていた。
この旅は元剣聖ランスロット・アレクシアの仲間であった死んだはずの勇者ラルフの目撃情報を確かめるためでもあったのだが、ラオパオシェンの死体跡地に居たのは僕の実の姉であり二年近く前から行方不明であったハアルプ姉さまだった。
しかしランスロット・アレクシアはその女性のことを勇者ラルフといっている。一体どういうことなのだろうか?
(二人のステータスは後書きにあります‼)
「一つ質問に答えろ、、、なぜ僕の両親はお前のことを、実の家族のように扱っていたんだ?お前は勇者ラルフなのか?僕の姉さまなのか?頼むよ答えてくれ」
頭の中にブラウン管テレビの砂嵐の音が、鳴り響くような嫌な感覚がする。本音を言えば真実なんて知りたくはない。
今からでも今までの言動は、総て冗談だったと、あの暖かな表情でほほ笑みながら、これまで通りの姉さまに戻ってほしい。そのような甘えた気持ちだけが、僕の頭の中を反芻する。
「私は転生者というものに、興味があったんだ、、、」
彼女の口から出てきたのは驚きの言葉だった。僕が転生者であるということは、誰にも話してはいない。もちろんハアルプ姉さまにもだ。
「なんで?お前がそれを知っている?」
「まあ聞けよ、転生者というのは我ら魔族と人間という、二種族間にあって切っても切れない関係だ。転生者は高い確率で、今までの人魔大戦においての、人類の最高到達点勇者になってきた。とはいえど転生者の全員がそれらになるわけではない。おおよそ全体の2分の1 くらいだろうか。しかしこれはものすごく高い確率だ。人類約10億人の中から一人ずつしか出ない、化け物が競馬を当てるよりも、たやすい確率で誕生する。私はふと転生者に頼り切った人類のシステムを、破滅させられないかと思ったんだ」
淡々と語る彼女は、まるで最上階でプロポーズでもするみたいに妖艶な表情を浮かべる。
「だからお前には勇者にだけはなるなと言い続けたんだ」
「意味が分からない、そんなことをせずにとっとと殺せば済む話だろう。」
「殺しても意味がないんだ、それはもう試した。何回殺しても何回殺しても転生者は生まれてくる。殺した勇者の数が、1000人を越したころには絶望したよ。これは因果律の問題なんだよ。だから殺すのはもう諦めた。もともと心を折るのが私のやり方だ。」
彼女は、ゆったりと大きく息を吸う。
「ちなみに私の加護は、残魂の加護と呼ばれる魂に関与するもので、対象の魂を付け替えたり、条件を満たせば使役することができたりする。実に魔族らしい悪逆非道で邪知暴虐なものだろう」
一見自慢げに言っているようで、自嘲しているようでもある、しかしそれはあどけない子供が、自慰行為に目覚めるみたいに快楽的でもあった。
「その条件は殺すことだ。もう言わなくてもわかるな、、、」
彼女はスーッと鋭い息を吐いた。
「お前の両親はお前が生まれた瞬間私が殺した。お前を産み落とすという、役目を終えたからな」
「は?」
僕の心拍数が自分の耳でも、数えられるくらいに速度が上がっていく。
「心の準備は出来ていなかったか?言っただろう、心を折るのが私のやり方だ。おまえの両親は、私が適当に見繕った魂におまえの両親の記憶を刷り込んだ偽物だ。おまえの愛は偽物だったんだ。おまえに向けていた、私たちの笑みは全部が作り物、お前に与えていた私たちの心は総てが空洞。」
「何言ってんだお前?」
「じゃあなんで?なんで?あんたは僕にいつも暖かく微笑んでくれたんだ?」
僕は自暴自棄になりながら言った。
「お前が暖かな家庭、暖かな生活、暖かな愛情それらすべてに満足することでお前の中の勇者が死んでいくのが分かったからだ。おまえの心は、もう何時でも殺せるとわかったからだ。そこから出た微笑みだよ、私にとってはお前の中の勇者が、死ぬ事だけが希望だったんだ。心が暖かくもなるだろ」
目の前の生き物はイカレている。僕に見える彼女の表情が、どんどん黒塗りになっていく、僕から見える世界の何もかもが黒ずんでいく。
「ふざ!フザッけ!」
ふざけるなという言葉すら出てこない、僕瞼から雫が落ちることはない。代わりに出てきたのは、今までの暖かな家族の記憶が、黒く塗りつぶされていく映像と、口から飛び出した僕の吐瀉物のみだった。
「オエ」
「お前が生まれてきた意味なんてものは、最初からなかったんだ。空虚だろう、虚無だろう。勇者のその顔が見たくて私は三年間も気持ちの悪い家族ごっこを我慢し続けたんだ。」
「いい気味なのがいい君だ。」
そういったオルタの顔は少し寂しそうでもあった。
気が付けばさっきまで自分の姉だと思っていた化け物は僕の顔を小鹿を見るライオンのような眼で、見つめる。
僕は気が狂いそうになる、否、僕はもう気が狂っている。そんな僕の背中を僕のメイドであるアレクシアは、ゆったりとさする。しかしアレクシアは、僕を憐れむことはなく、真っすぐに目の前の化け物を見つめる。
「お前、魔王軍四天王、残魂のオルタだな。負け犬が。敗北者か確かにお前のようなカスにぴったりのあだ名だな。今更勇者ラルフの体を使って何の用だ?」
「要はね、、、君たち先代勇者パーティーは強すぎたんだ。だから私は魔王様が負けることに、賭けた。この体は自分自身の死と、魔王軍の敗北を、天秤の片翼にのせた命滅契約さ。賭けに勝ったんだよ私は。私が君たち先代勇者パーティーに、どんなに努力したとしても、どんなに残酷な手段を使ったとしても、勝てないことは戦う前からわかっていた。だから私は命を代償に、君の大好きな勇者ラルフに呪いをかけた。勇者が死んだ瞬間、魔王様が死んでいた場合という条件を付けることで、私の魂を勇者の肉体に転生させるという簡単な呪いさ。そっちだけ転生者を使うのはずるいだろう。強くてニューゲームというやつだ」
「そうか最後のあの呪文から、出た光は自爆魔法ではなかったのか。OKだ。お前は今100パーセントここで殺す。また生き返るなら、二度殺す。殺意200パーセントの殺害予告だ。受け取れよ」
アレクシアがゆびを「パチン」と鳴らす。
すると降り注ぐ白銀の雪が、無数の刃へと変わっていく。夕凪の空を反射する刃たちの姿は、まるで黄昏の星空のようでもあった。それらが一斉に、オルタに向かって飛んでいく。
戦いが始まった。
ステータス
名前 ランスロット・アレクシア
ジョブ メイド【元剣聖】
攻撃432
魔術98
防御231
魔法防御158
素早さ440
スキル1剣聖の加護【寒さを切り裂く剣、暑さを切り裂く剣、未来を切り裂く剣、蒼を切り裂く剣、緑を切り裂く剣、赤を切り裂く剣、白を切り裂く剣、色を殺す剣、天を切り裂く剣、神を殺す剣、愛を殺す剣、君を殺す剣、次元を切り裂く剣、摩擦を殺す剣、空気抵抗を切り裂く剣、物理法則を切り裂く剣、魔法を切り裂く剣、剣を剣とする剣、剣以外を剣とする剣、魔王を剣とする剣、視線を剣とする剣、避けるという思考を切り裂く剣、動くという概念を切り裂く剣、動くという思考を切り裂く剣、勇者を殺したという罪の剣、剣としゃべれる魔法、メイドの剣、ハエたたきを剣とする剣、家事という概念を切り刻む剣、家事という概念を剣にする剣,etc,,,,】
スキル2洗濯掃除をする根性
スキル3天に煌めく龍終の捌き
名前 レオン・ライオネル
ジョブ ???
攻撃48
魔術101
防御31
魔法防御89
素早さ29
スキル ???




