十三話 闘争は歓喜と共に 其の三
十三話 闘争は歓喜と共に 其の三
このダンジョンにおける最大の難点とはすなわち連戦にある。基本的に周囲三百六十度全てにエネミーが存在し、殺しあっている。そしてそれは中心に向かって移動し続けているので、脱出も極めて困難。死にかけの敵をラッキーと考え殺し続けていればいつの間にか周囲は化け物の巣窟である。
現に、ほら。
目の前を闘鎧虫が横切りモンスターが吹き飛んでいく。
幸いとばかりに近くに吹っ飛んだ猿どもを斬り殺し、スコアを稼ぐ俺。
前へ進む。
ほかのモンスターと戦っており、隙を晒す燻獣の名を持つ王の下位種と思われる獣を不意打ちで斬り殺す。
前へ進む。
おっと、再び死にかけの敵じゃないか。どんな狼か知らないが死にかけだ。
斬り殺す。
前へ――っと、進みすぎだ。キルスコアを稼ぎきる前に進んでもひき殺されてしまいだ。まったく、中心に向かう流れに逆らうわけにもいかないからついつい流される。
後方から斬りかかってきた蟷螂の鎌をしゃがんでよけつつ、返刃。反撃が来る、返刃。ひるんだところに貫穿。相手は死ぬ。キルスコア+1。
こんな事を数十分繰り返すとだんだんハイになってくる。たまーに適度な被弾を行い経験値を稼ぎながら立ち回る。この適度の塩梅が難しい。基本的には刃物持ちや鈍器持ち相手にやっちゃあいけない。死ぬから。
しかし、作ってよかった蟷螂剣と鼬剣。ナイフより断然戦いやすい。首が一発で飛ぶしリーチがある。返刃の威力が所感倍以上である。
しかしながらそろそろ限界が近い。具体的に言えばそろそろ武器の手入れをしないとまずい。ポリゴン爆散する敵は血液が表に出ないが肉体丸々残る敵は血が付くのである。あと毒蝙蝠とか闘鎧虫とか!あいつらもヤバい。切れ味が体感分かるレベルで減る。……そろそろナイフに移行しなければ不味いな。……離脱しよう。
こういう時便利なのが停反。対人戦における人権スキルだろこれ。即座に停止からの反転即行動!モンスターのヘイトを置き去りだぜ!
このスキル、どうやら基礎的な加速効果もあるようなのだがそれ以上に、ストップで消した慣性をターン時に乗せることができるのである。要するに、早ければ早いほどフェイント効果が上昇する。
単純なモンスター共であれば容易に視線を外せるというわけだ。この乱戦、わざわざ俺一人を追うことはできない状況。きわめて有能なスキルだ。ただ自分自身のリズムも崩れるんだがね。これも慣れだな。
《ツリーが成長しました》
《スキルが進化しました》
《スキルが進化しました》
はい帰宅Part2
「はぁ、はぁ、はぁ。」
深入りしすぎただろうか。恐らくあのラインが戻ってこれる限度か……?いやなんかスキル獲得してるな、まだいけるか。死ぬまでやろう。
えーっと獲得したスキルは……
生命
└還肉 アクティブスキル。命貨を消費して実行。消費量に応じた肉体再生。
命貨 自らの命の価値と比較して定義される。殺せば殺すほど蓄積する。上限は3。
ラン&キル→血走機関 己が肉体を用いた殺害行為が成立すると、体力と生命力を回復する。上限超過はバフに変換される。
致命連鎖→命拍子 一分以内に致命攻撃を成功させることでコンボが発生し、攻撃性能が上昇する。コンボ成立ごとに制限時間は一秒ずつ短縮される。連鎖が途切れた場合、効果は終了する。五十コンボ到達時、状態を付与。
《ハイテンポ》 コンボ数および制限時間が固定され、身体能力に補正を得る。
である。……全体的にピーキーというか、いや思った以上に優秀なのが生えたが……これは……
まず還肉だが強すぎるな。実質3回蘇生じゃないか?これ。事前準備ができるタイプだ。しかも戦闘中に補給できる仕組み。特に今回はそう。自らの命の価値と比較して、が少しわからないが……要するに自分より強いやつを殺せばよくたまるということだな?
次に血走機関。神、以上。スタミナ回復、HP回復、バフとかいう三段構え。条件の厳しさは状況によるな。ボス戦とかだと効果が死ぬかもしれないってくらいだ。他は神。
最後に命拍子こと元対他戦闘の生命線だった致命連鎖の進化先だが……ステータス上昇が火力上昇という形になったな。それに上限ができた。難易度も正直上がった。だがボス戦で使えるようになった、これはデカい。ハイテンポに関してはわからないが……腐ることはあるまい。バフ倍率の上昇を願う。
総評、最高である。割と狙い通りにいった感じだ。頑張った甲斐がある。
このスキルがあれば奴に突貫できなくもないだろう。一先ず命貨を溜め切って血走機関でバフを最大限集めて……命拍子もできるならやりたいが、10秒に囚われながら戦闘を移動しながら続けるというのは正直無理がある。上層に突った後でやれば問題あるまい。ステータスも相当上がっている。さぁて、やろうか。
Tips 主人公はスキルをどんどん進化、獲得していますがこれはスキルの獲得、成長システムによるものです。基本的に使用経験値も影響しますがそれ以上に強く影響するのは偉業度です。例として、スライム1万匹を1年かけて殺した、と1日で殺した、は使用経験値が同じでも偉業度が極めて異なります。主人公は単騎で他の人類が一人も来ていないような場所に来て、なおかつ大量の敵を殺害し、自らより強大な敵も倒しています。これは偉業であると判断されたわけですね。このシステムはプレイヤーにおける「経験」と深く関わりがあり……【これ以上の閲覧は禁止されています】




