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昼下がりの情事


 帝都の喧騒が遠のく半月小路、その一角にある、古びた館の二階。


 キロの自宅「居心地の良い部屋」は、午後の柔らかな斜光に包まれていました。


 扉が静かに開かれ、ビディが姿を現します。


 胸元を大胆に開けた純白の丈の短い盛装(ワンピース)と、太腿までを包む白い網長靴下(あみタイツ)に身を包んだ彼女は、大聖堂の「至高の聖女」そのままに、その敷居を跨ぎました。

 

 「……キロ」


 寝椅子(ソファー)で気怠げに微睡んでいたキロが、ゆっくりと瞼を持ち上げます。


 「……ビディ。仕事はいいのかい?」


 「ええ。もう終わったわ。」


 大聖堂の清廉な鐘の音のような彼女の声が、キロの耳に心地良く響きました。


 ビディはキロに歩み寄ると、膝をつき、彼の細い腰を縋るように抱きしめます。


 そして立ち上がり、キロの膝を両脚で跨ぐと、首筋に顔を埋めて、深く、深く、呼吸を繰り返しました。


 「……どうしたんだい?」


 キロの問いかけに、ビディは静かに応えます。


 「……抱かれたくなったから。ではいけなくって?」


 ビディの指先がキロの黒い貫頭衣(Tシャツ)を掴み、潤んだ瞳が彼を見つめます。


 彼女はキロの唇を塞ぎました。


 聖女としての品格をかなぐり捨てる、貪るような激しい接吻。


 それは言葉にできない、情欲と背徳の牝の叫びでした。


 キロは彼女の豊かな肢体を抱き寄せ、その白い肌に深く指を沈めます。


 二人の呼吸は短く、熱く、午後の静寂を裂くように重なっていきました。


 激しく、しかしどこか怠惰な情事の最中、ビディは決して目を逸らしませんでした。


 キロの瞳の中に映る自分が、誰よりも、何よりも確かな“唯一”であることを確認するように。


 やがて、短く激しい嵐が過ぎ去り、部屋には再び穏やかな陽光が戻ります。


 ビディは乱れた金髪を整え、再び司教としての毅然とした表情を作り直すと、満足げに眠るキロの額に静かな口づけを落としました。


 「……また明日、休息亭で」


 彼女は誰にも悟られぬよう、キロへの愛欲を心の奥底へと再び封印し、軽やかな高踵靴の音を響かせて部屋を去っていきました。


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