京都観光…… その1
快楽の後はグッスリと寝れた。
普通のホテルでこんな事をするなんて思わなかったが、ついつい一時間半もプレイが続いてしまったし、初体験が隣の蘭になるとは思ってもいなかった。その蘭も今は寝ている。――酒を飲んでもこんな深い睡眠に入った事はない。今後は襲い込みがありませんようにお願いしたい。――大人の遊びって罪悪感が凄い。
「二度目の裸……チェックアウトまでは余裕あるし、シャワー浴びるっかなー」
肩回して、そのままシャワールームに入る。浴槽にお湯を溜めてる暇は無いからシャワーノズルを持ってお湯を出そうとする。
「……過去の経験からすると多分激熱なお湯が出てくるんだよなー」
ノズルを浴槽に向けて赤い方を捻って熱さを確かめる。
「……オぅ⁉ これは体に掛けたら真っ赤になってる所だった。でもこれで確認出来たから青い方で調整をして……」
いいお湯。シーツの替えが無くて随分濡れた所で寝てたから二人の体液でだいぶベタベタだ。出した物とはいえ不快感が続いたのは確かである。……これをホテルの人に始末させるのは何か申し訳無いような……。
「ふぅ……あ、蘭。おはよう」
ベッドの方に戻ると蘭が遠くを見てまだ眠そうだったが、なんとかこの朝七時に起きれたみたいだ。
「おはよう……朝シャワー?」
「うん、蘭も入ってきな。そろそろ出発するから」
既にパンツとヒートテックを着て次の準備に入ろうとしているあたしに対し、蘭はまだ裸でようやくシャワールームの方へと入っていった。……本当にヤッたんだよな? それの割にはあたしも蘭もアッサリしているし――むしろ、あたしが意識しすぎてるだけなのか? ……多分今晩だけの関係じゃないからこうアッサリしているのだろう。
「次は無い次は無い次は無い次は無い……」
唱えるように服を着替えていく。
「羽海ちゃん……私のパンツとブラジャー……持ってきてもらえる……」
「何処にあるー?」
「テーブルの……上かも……」
「あった、持っていくね」
シャワールームのドアを半開きにしてパンツ達を差し出す。
なんか恥ずかしかった。けど、そんな事を気にせずに蘭はパンツ達を受け取る。今はちょっと……裸はいいです。
「今日は……京都で……服買いたいな……ね?」
「服か、ちょっと寒いもんな。上着?」
「ううん……シャツもそうだし……上着もフカフカの欲しい……」
「フカフカのか、服のお店あったら探してみるか」
京都だったら服の一つや二つ、色々な物あるだろう。
※ ※ ※ ※
外に出て空気吸う。京都の匂いは変わらずどんな人でもどんな悪いヤツでもどんな良い人でも迎え入れてくれる。あたしは悪いヤツか良い人のどちらかって? それはあたしが決めたら駄目なヤツで隣にいる蘭に聞くほかない。――あたしは恥ずかしくてそんな事言えないけど。
「さて、今日は予定がカオスになるぞ。清水寺行って金閣寺と銀閣寺を見に行って――」
「最後に……行ってみたかった……稲荷大社?」
「かな? 京都は移動に時間も掛かるし、何時間も観光してたら夜になっちゃうから早め早めの行動を心がけるように」
「うん……」
作戦会議が終わった所で早速出発、朝の八時から車に乗り移動を開始。京都駅から近いのは清水寺だからまずはそこに向かう。
「羽海ちゃん……お昼は……?」
「お昼は京都名物のご飯にでもしよう」
……と言ったものの、京都の名物ってなんだ? あたしが過去に食べたのはタクシーの運転手に連れて行ってもらったうどん屋さんで一杯何千円といった学生には破格の価格のうどんを食べた結果「普通」という結果に至って京都感が出なかった。
「……ごめん蘭。京都名物が分かんないからスマホで探してくれない?」
「分かった……」
文句も言わずに検索を掛けてくれる蘭は天使か……いや悪魔? さて、お昼までには結果が出るだろうしあたしは運転に集中して早く清水寺に到着せねば。
五条坂を通る地元民に教えてもらい車を駐車場に入れて清水寺を目指す。
坂といっても緩やかな上り坂だからあたしみたいな無職にもキツくない……というかこれぐらい簡単に上がれないと人間として失格の気がする。
その後は分かれ道に出るからこれを左に行く、ここは松原通りと言うらしい。高校生の時には分からなかった事が今になって理解出来るのは中々感慨深いものだ。あの時はタクシーの運転手に色々と煽られ時間も何故か迫られ、写真撮る暇が少ししか無く満喫出来ていない。――運転手が一番許せない気もするが、中でもクラスメイトが一番酷かった気もする。チームアブノーマルと言われるのも仕方がない。
――右を見る、お店がある。
――左を見る、お店もある。
「坂に何個もお店があるけど、何のお店だか分からないな」
「八つ橋の……お店しか……分からない」
確かに八つ橋のお店しか分からない。何にしても住宅街……なのか、商店街……なのか全然分からない。どちらにせよまだ入る事がない。多分ずっと入る事がない店ばかり。……ちゃんと商売はしてるんだからしっかりとした物は売ってるんだろうけど……。
松原通りの先には見えてきた仁王門。
検索を掛けるとサラリーマン番長の仁王門ばかりがトップに出てくるけど気にしないで下さい。あたしは意味を知ってるけどチャンスゾーンとかATとか言われても凡人には理解が出来ない事ばかりで見る事も禁止せざるえない。赤より青? あなたご存知のようで……。
というスロットな知識は頭に貯金をしておいて、仁王門というのは左右に金剛力士像があれば、どれも仁王門になるらしい。寺に悪いものが入らないように設置しているので、サラリーマンになった轟番長はそれを拳で突き破って頂RUSHに入ると……書く事が無いからってサラリーマン番長の話を突っ込むのは止めよう、尽きないから。
「あたし達は悪い物じゃないから簡単に通してくれるな」
「仁王門……なるほど……」
目に鱗らしいな。
あたしは元々から知ってたけど……。
「お、三重塔」
「うん……」
特に言う事はなし。
さて、周りを見渡すけどこれ以上に道が無い。仁王門を通れば清水寺はもうすぐと思ってたのにこれ以上に道が無いのだから行く所が無くなってしまった。完全に仁王門のウンチクを語っただけで終わってしまったじゃないか……きた道を引き戻す。
「仁王門の端の道を渡って清水寺に行くとは……」
「私も……調査不足……」
「ううん、あたしが仁王門ばかりに目行ってたから」
泣きそうな蘭の頭を撫でる。
……撫でていると少し違いを見つける。
「横から見てたから分かんなかったけど……三つ編みにしたんだ」
「やっと……気づいた……」
「悪い悪い、見えなかった」
「可愛い……?」
長い髪の毛を一つに纏めるとまた魅力的に見えた。あたしはいつもどおりショートカットで髪型に個性を出せないからこの無個性はまた個性の一つだと思っているけど、あたしよりかなり長い髪の毛を持つ蘭はどんな髪型にも变化が出来るのだろう。――ますますモデルとしての資格が出てきたんじゃないか?
さて、そんな与太話は置いといて今あたしが立っている場所は清水寺、ご存知「清水寺の舞台から飛び降りる」の場所でもある。文字だけ見て"しみず"寺だの言うやつもいるけど、全国的に有名な清水寺だったらそんな間違いは無いだろう。因みに千葉の地名で清水はある。あたしは覚悟は無いから飛び降りる事は無いだろう、車でここまでやってきたのはタダの運命だ。
「…………」
「怖っ……」
蘭と一緒に清水寺の舞台の下を覗き込むが、めちゃくちゃ高くやっぱり飛び降りる気にはなれない。この語句を作った人は相当の馬鹿だと思う。蘭が怖いと声を貰う程。
「清水寺のライトアップは綺麗らしいけど、流石にその時間まではいられないから次行こう」
「分かった……」
清水寺の散策はこれにて終了、次は金閣寺か、銀閣寺を見る。
一旦車に戻って確認をする。
「クソ……どっちも遠いじゃねぇか……」
カーナビで金閣寺と銀閣寺の位置を見る。明らか見て近いのは銀閣寺なのだが、どっちからどう行っても金閣寺と銀閣寺の位置が遠く予定が立てづらくなってしまった。普通金と銀なのだから両方共近くにあってもいいんじゃないのか? そういう風流でも無いのだから横に一緒に寺をくっつけてしまえよ。まぁ、違うもんだからそういうわけにも行かないんだろう。寺と寺がそんな近くにあったら混み合う。
「蘭、行き先はどうする?」
「遠い方から……近い方で……どう?」
「そうなると夕方になるかね……まぁ、銀閣寺諦めるか」
「うん……」
銀閣寺は諦めて、金閣寺に行くとしよう。
あの上泉が泳いだあの池付きの金閣寺に。
もう一つ進んでいる「この中に『男』が一人います!」の執筆が大変忙しく、羽海の話が大変進みづらくなっております。そこで一年長く続いていた羽海の話ですが、この関西編で一度"休載"させて頂きます。そして高校時代の方は最後まで書かせて頂く所存なので、日常を抜いて二本の更新で行こうと思います。
まとめ、三ヶ月も音沙汰無しで行くのは作品にとって可哀想なので休載の形をとります。ごめんなさい。




