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名柄川羽海という女の日常  作者: TASH/空野輝
関西、脱出と復縁編
48/51

初獲得、初入浴……

 休憩を取りたくてリユースショップに寄る。俗に言う「お宝倉庫」っていう奴。暇を潰すにはモッテコイだが漫画の立ち見をしてるだけで足が疲れる。オートマとはいえ足をアクセルやブレーキと左右に持って行くから膝がジンジンする。長距離トラックを受ける運転手は大変だ……お疲れさまです、事故が無いように気を付けて下さい。


「羽海ちゃん……」

「お、どうした蘭」


 一周回って来たのか、蘭があたしの下に帰ってきた。


「ちょっと……欲しい物があるの……」

「欲しい物……?」


 漫画を棚にしまって蘭の後ろを付いていく。蘭にもこういうバラエティー豊かなショップで欲しい物があるとは思わなかった。大抵はフィギュアやゲーム、それから十八禁という種類が多い。特に十八禁コーナーは充実している。……昔に使用済みパンツガチャという謎のガチャがあってだな……。


「羽海ちゃん……ここ……」

「ここは……ゲーセン……?」


 連れてこられたのはこのリユースショップの一部として稼働している小さなゲームセンターだ。欲しいものというのは間違いないな……あたしにUFOキャッチャーをやれと言っているんだろう……。


「それで、何が欲しいんだ?」

「うん……私、このワンコが欲しくて……」


 ワンコ。

 と言ったのはあたしが好きな「忠犬もちしば」シリーズのあんこときなこがガラスの向こうに居た。蘭も光栄な顔をして目を輝かせている……取って欲しいんだな……蘭……。


「しょうがない、何処まであたしのテクニックが利くか分からないけど、千円分だけな」

「ありがとう……」


 とりあえず百円玉。こういうリユースショップのゲーセンでも気は抜けない。金を抜いて来る所はとことん抜いてくる、だからこういうのは上から取るのを先決にしない。確かもちしばにはしっぽが着いていたハズ。――あった、ここからグイッと持ち上げるのが一番だ。

 アームがゆっくりと降りてきて場所は完璧、後はアームパワー次第。


「チッ、弱い……一発じゃ取れないわな、もう一回だ」

「羽海ちゃん……頑張って……」


 蘭に応援される。

 もう一度まめしばの全体を見る。明らかに前に傾く程には力があるから……何度か繰り返せば穴には落ちるは落ちるが、お金が掛かる。やっぱり何らかで持ち上げて落とすのがキャッチャーでありそれが醍醐味。最近のUFOキャッチャーはキャッチャーしてないのが多いからな。小さい穴に棒を突っ込んだり、箱の商品を棒と棒で橋にしてそこからぬるりと落としたり、挙げ句の果てにはたこ焼きキャッチャーとか最早キャッチャーしてないのもあるしな。個人的にたこ焼きキャッチャーは確率が徐々に上がっていくから好きだけど、せめてたこ焼き機を囲っているガードは高くしてほしい。サービスで穴を塞ぐよりガードを高くするサービスの方が恩恵高いんだけど。


「もちしばの前掛けにツメ突っ込んで持ち上げるぞ。これでどうだ?」


 完璧な位置、ツメが前掛けの紐と体の間に入っていく。

 そこからもちしばの体が上がって穴に落ちる。二百円でこの岡山県という地で取れた。もちしばを取り出して蘭に渡す。ぱぁっと蘭の顔が明るくなった、こんな笑顔見たことない。0円でいいのだろうか?


「ありがとう……羽海ちゃん……!」

「まぁ安いもんよ」


 いい買い物だ。





 外で二人並んでベンチに座る。秋の時期とはいえ少し蒸し暑い所はある。湿度が今高いから余計だ。蘭は先ほど取ったもちしばを撫でたり、もちしばと顔を見合わせて笑顔を作っている。ぬいぐるみにそこまで感情移入出来るほどなのか。旅のお供が一匹増えたな。


「蘭、寒くないか? 良かったら中古だけど服買ってやるぞ」

「本当……でもまだ……大丈夫……」


 蘭の服は変わらず大和の紺の服とブラウンのチノパンで肌寒そうだった。今日は日が暮れるまで雨だというんだから体調管理が不安だ。


「まぁ服に関しては他でも買えるから寒かったら言ってな?」

「うん……」


 相変わらずもちしばと戯れる蘭だった。


「羽海ちゃんは……」

「ん?」

「羽海ちゃんは……今……大丈夫なの……?」

「何が?」


 一体何が大丈夫と言いたいのか。質問を質問で返すのは常識外だか、主語が入っておらず聞き返してしまった。


「将来……というか……これからの事……」

「これから……か」


 もう無職を貫き通して早五年、これからなんて考えてはいなかった。あの日の進路調査で先生に突きつけられ、我を忘れて友達を傷つけた。閉じこもった、というのが正しいのだろうか。こうして蘭に言われると深く考える。あの時は”無”に返る事をしたくてこの結果を選んでしまった。実際、卒業してからは空白が続いた。今もそうかと言われると外に出る回数は増えている。あたしは忘れていたのかもしれない、友達に支えられていると。何も頼らず任せずでいたのは間違いかもしれない。


「どうなの……」

「蘭、あたしは……ずっと今のまま。まだ何も見えてこない霧の中を進むよ」

「なら私は……ずっと手を……繋いでいるだけ……」

「ふふ、優しいな蘭は……」

「羽海ちゃんが……好きだから……」


 もちしばで顔を隠す。素直に言えてるのか言えてないのだか。そんなフワフワしてるのが蘭だ。このストレートじゃない所がムカつく可愛い。


「このー! 強く抱きしめちゃうぞ!」

「うっ……あっ……嬉しい……」


 さて、旅の駒を進めるとしよー、あたしの事に関しての話は疲れるー。




          ※  ※  ※  ※




「いーやー、カーナビで温泉の位置は確認したものの……」

「見えて……来ない……」


 あたしも蘭も気抜け状態。蘭は電子タバコを吸い、あたしは自販機で買ったコーラを暇あれば飲んでいる。月曜日とはいえ、混むものは混むし、雨で進みが悪い。兵庫に入る間近だと言うのに。ワイパーも往復する回数が増えてくる。


「関西の雨は強く感じるな」

「うん……」


 目的地までは三十分で着くらしいけど、これじゃ二倍もしくは三倍の時間が掛かりそうだ。


「蘭、温泉――時間掛かりそう」

「知ってる……」

「知ってたかー」


 あたし達が目指している温泉地は「熊野の郷」という休憩出来そうな所に行こうと思っているのだが、雨で走りにくく、いちいちカーナビを確認しての移動。今流行りの自動運転とやらはこの車には付いていないからハンドルをひたすら回す。

 因みに蘭とは大した話は――というのもも前日から言っているが蘭は常日高校を退学されていた身、話が噛み合わない事が多くてあたしも何を話せばいいのか分からないのだ。それで蘭は電子タバコを吸い膝にもちしばを乗せている。


「蘭って――モデル目指せるんじゃないのか?」

「……どうしたの……突然……」

「いや、あたしはネタで言った訳じゃないぞ。蘭の髪の毛も長くて潤ってて綺麗だし体型だって無理してる訳じゃないんだろ?」

「そうだけど……」

「それに肌だってあたしより綺麗じゃん。モデルになるのに一番良い体型してるよ」

「本当……?」

「ああ、何かの雑誌で読者モデルやってみない?」


 蘭はあたしの言葉を聞いて考えていた。こんなに真剣に聞いていたとは。本当にネタに言ったわけでは無いが、半分ふざけていったのはちょっとある。


「実は……スカウトされた……事あって……」

「えっ⁉ スカウト⁉」


 財布の中から一つ名刺を取り出す。――何かいかにも怪しい名刺なんだけど、これは別のスカウトじゃないのか?


「蘭、これってアレじゃないの……何かカメラ持った人とかじゃない?」

「多分……何か持ってた……かも……」


 …………。

 蘭が住んでいたのは東京だったな、色んな人が集まる場所だからスカウトするにはいい場所だ。という事は色んな方面のスカウトが来る訳だ。


「蘭、多分アダルトとかの……スカウトじゃないのか……」

「…………」


 真顔になる蘭。髪の毛が逆立つ程のドス黒い何かが出ている。何をすると思ったら名刺を縦に持って両断。はい、一生この人のスカウトを受ける気は無いだろう。


「純白は……羽海ちゃんの……物……」


 元々から蘭は黒いから黒いのに負ける気はないのだろう。黒は黒に染まれない、元々黒だからだ。





 ギギギギ――


「ああああああ。着いたああああああ、ダイキューケー!」


 フットブレーキを押し込み、エンジンを止める。蘭からも「お疲れ……ね」と肩を撫でられる。雨の中の走行だなんて滅多だからあたしも疲れた。さて、「熊野の郷」という場所で大休憩を開始する。早速外の料金表を見てみる。引き戻し旅だからこそ値段が大事だ。


「料金は八〇〇円か、二人で一六〇〇円。悪くない値段」

「うん……助かるね……」


 しかしあたしは気になった。入場料+VIPルーム。"VIP"「VIP」『VIP』〈VIP〉ルーム。ブイアイピールーム。ビップルーム。料金は一三五〇円、二人で一七〇〇円。このVIPルームが気になる。人はどうしてこういう身近な富豪感に興味を持ってしまうのか。


「羽海ちゃん……分かってる……」

「あ、おう。VIPになるか!」

「うん……!」


 一日VIPになることに。


 受付を終えて女風呂に向かってロッカーを確認、二人並んでロッカーの前で脱ぐ。そこでもあたしはさっき言ったモデルの話を思い出して蘭を凝視する。

 ――目が合って蘭がビックリする。


「羽海ちゃん……早く……脱いでっ……」

「悪い悪い。――割りかしあたしは本気だから」

「…………」


 蘭は頬を赤くする。いやはや蘭、あたしが真っ直ぐ見なかっただけにお前はあたしを超えている部分が見えてくる。蘭はあたしの何を見て依存しているのかが分からない、あたし以上に良い物を蘭は持っているんだから。一人で生きるなんてあたしはしたこと無いし、逆に羨ましくなってくるんだ……蘭の事が……。


 あたしのヘアースタイルは相変わらずショートカットで家で長くなった髪の毛を部分的にカットしている。あたしが髪の毛を長くしない理由は「面倒」だからというのは表の理由で裏は「弱気になりたくない」という理由だ。あたしの心境はグッチャグチャだったあの頃は髪の毛と共に捨てたかったという事だ……まぁ元から蘭に切られた訳なんだけど、後から調整してくれたのはウチの母だ。


 なんでヘアースタイルの話をしたかって? 実はあたしは徐々に百合になりつつあるかもしれないっていう訳だ。蘭が少し時間掛かると言ってて先に蛇口の前で座って待っていたのだが、湯気の中から前をタオルで隠してヒタヒタと歩いてきて横に座った姿を見たら、長い髪の毛を半分に折ってその真ん中にバナナクリップで留めてきたその姿が猛烈に可愛かったからだ。あたし以上麻衣以下の少し控えめな胸とくびれが付いた腰、モデルだ……風呂場にモデルがいる。蘭が桶にお湯を溜めて全体にお湯を掛ける。タオルが体に貼り付いてるんだけどこれまたエロい。


「羽海ちゃん……洗わないの……?」


 体に貼り付いたタオルを取って絞りながらこちらを見てくる。


「あ、いや。洗わなきゃ駄目だよな。うん、そうだな」


 桶にタオルを沈めてあたしもギュッと絞る。なんか蘭のやり方のほうが効率がいいのか? 別にタオルの絞り方なんてどうでもいいのだが、あのタオルが貼り付いた姿が目に焼き付いていた。百合に目覚める気持ちってこんな感じなんですか……?


「羽海ちゃんと……お風呂に入るのって……初めて」

「そういえばそうだったな……そうなのか……な……」


 前のラブホテルでのシャワーは一緒――では無いだろうな。蘭がこういう事を言うってことは大丈夫だろう。やっぱりエロティカな事はしていないのだろう。吸ったり舐めたり入れたり? 何を言ってるんだよあたしは!


「そうだよ……羽海ちゃん……」

「そうなんだな――」


 体をボディソープで擦りながらいつも以上にマジな顔で体を洗う。


「……蘭、体洗ってもいいか?」

「……うん……いいよ……」


 二十三歳同士で体の流し合いをする。大洗に行った時は麻衣と延々ふざけていたが、今回はそんなお調子者には慣れなかった。まぁ――なんというか、仕返しが恐ろしそうだから。タオルに二度ボディソープを付けて蘭の背中を洗う。


「綺麗な体してんな……この位の強さでいいか?」

「うん……」


 カランから水がポチャンと垂れる音と、ただ背中を擦る音だけが耳に入る。それだけここの風呂場が静かで人が居なかった。


「お湯掛けるよー」

「…………」


 熱さを確認して少しずつ背中にお湯を掛ける。泡を全部洗い流してとりあえず肌を触る、意味はない。蘭にとって意味はないがあたしはよだれが垂れるほど意味がある。


「終わり、さてと――」

「羽海ちゃんにも……やってあげる……」

「あ……そうか……じゃあお願い」


 少し気不味さを感じたが素直に受け入れて背中を洗ってもらう。昔は親父と入って髪の毛とか体を洗って貰ってたのに今はそんな事も滅多だしもう一緒に入る事なんて無いしな。少し弱い力だけど撫でられる感じがまたいい。


「羽海ちゃんの背中って……みんなが追い掛けそうな背中……してるね」

「そうか? あたしはただ日常を送って皆がそう勘違いしてるだけかもしれないぞ」

「皆が勘違い……してても……私はその背中を追い掛けたい……」

「そうか、まぁ別に気にはしないぞ。適当にやってくれ」


 蘭はお湯を流してくれた後はタオルを絞って綺麗に背中を拭いてくれる。蘭ってA型……?





「はあああああ――日本人は最高だ。こうやって四十二度の風呂で肩まで浸かるのがいい――」

「うん……最高……」


 蘭と並んでガッツリ。

 そういえば、文章での風呂回というのは一番に想像出来る図らしい。これは日本人が如何に銭湯や風呂というのを好んでいるのかが分かるな。因みに室内の大きなお風呂に入っているが、外は曇り模様で露天風呂が何個か見えている。他には竹や柵で外からの視界を遮られている。――どうだ? 想像は出来るだろう。

 文章というのは大変だ、人それぞれの想像があってそれを左右させるのが作者というのだから何かしらの食い違いが出てしまう、絵があれば別だが……。百人いれば百人の感想があって百人の想像がある。「あたしはショートカットで面倒くさがりで家じゃ紺のジャージを着ている」という最低限の情報で皆に絵を描かせたら金髪だったり黒髪だったり、椅子に深く座ってたりベッドに寝てたりはたまた棒立ちだったりだろう。でもそれが想像だからいい。

 じゃあ勘違いさせる方法は何か? と言わせると難しい。

 一つ今あたしが行動すると――


「きゃ……羽海ちゃん……急に揉んでくるなんて……」

「意外と柔らかいんだな――」


 …………。

 と言った感じだ。女同士で風呂で揉む。絵だったら何処を揉んだか分かるが、文章だとこれが勘違いになりやすい。はたまたこれで終わったら余計に勘違いされやすい。まぁ前文に行動を書くか、後文に行動を書くかでまた伝わりが違ってくる。じゃあ次は前文ありで揉んでみよう。


 あたしは蘭の二の腕を揉む。


「わっ……また揉んでくるなんて……」

「柔らかいな――」


 これだったら勘違いさせずに完結させる事が出来るという訳だ。

 ――なーんて、風呂場で暇だからって変な事をしてしまった。あたしは顔まで浸かってブクブクと泡をふく。……ん? 一度目は何処を揉んだって? それは"想像"に任せよう。




          ※  ※  ※  ※




 薄茶色の館内着を着てゆるゆると過ごす。

 ドライヤーで蘭の髪の毛を乾かす。あたしは相変わらず乾きが早いが髪の毛が長いと中々乾かないのは知っている。だからまずはタオルで全体の水分を取ってその濡れタオルを使用して髪の毛を挟んだままドライヤーを当てる。そうすると水が蒸発して乾きが恐ろしい程早くなる。水分は水分とくっついて蒸発する際は共に蒸発する、だから乾きが早くなる訳だ。


「凄い……カラッてしてる……」

「まぁな、知恵だよ」


 かなりの短縮になるからオススメだ。





 飯飯飯~っと、どうやら二つお店があって一つは和食店らしくてもう一つは洋食店だ。


「蘭、どうする? どっちが食べたい?」

「私は……洋食……かな」

「お、意見一致。あたしも洋食だ」


 ということで二階にお店を構えているレストラン「レッフェル」にお邪魔する。バンドを見せて入場する。一番景色が良さそうな場所を見つけテーブルで蘭と対面して座った。


「本当の洋食店だなぁ……大まかにステーキとピッツァとパスタか」

「お肉……より……パスタ……かな」


 蘭はパスタで決まったが、やっぱり花より団子、質より量なあたしはパスタじゃ物足りない。――勿論、肉だ。ガッツリ食べないとやってられないのよ。


「店員を呼んで大丈夫か?」

「うん……」

「はいよ、すみませーん――」





 やっぱり日本のご飯というのは美味しい。どうしてお店のご飯っていうのは極上なのだろうか、ハズレがない。サラダバーがサービスで付いて来てその中にライスというのもあるから何回もおかわりをしている。260gのステーキに対してライスを皿で何杯食べたのか分からない。ライス、超ライス。


「いやぁ、蘭もライス食べてみ? 本当に美味しいよ」

「パスタだから……大丈夫……」

「パスタライスは……無理か」


 何か惜しい。このライスを蘭に食べさせたかったが流石に無理して食べさせたくはない。

 最後の一切れを食べようと思ったがふと疑問が過ぎった。


「蘭の好きな食べ物ってなんだ?」

「私……?」


 パスタを巻く手を止める。一回口周りを舐めてからフォークを降ろした。


「私の好きなのは……煮ぼうとう……かな……」

「に、煮ぼうとう?」


 煮ぼうとうとは何だ? 名前からして「ぼうとう」というのを煮るというのは分かるんだが「ぼうとう」が分からない。


「うん……鍋の中に……野菜と鶏肉とかを煮込んで……その後に麺を煮込むの……」

「へー、その後にぼうとうを入れるの?」

「羽海ちゃんぼうとうは……名前だけだから……ぼうとうっていう食べ物は無いの……」

「あそうなんだ。でも美味しそうな鍋だなぁ、今度作ってくれる?」

「うん……」


 煮ぼうとう、楽しみだな。





 食事が終わってVIPルームの扉前に付く。特別な場所何だなと思ったらバンドについているバーコードを赤外線に通すと扉が自動で開く。これは普通じゃ入れないわな、ここまで万全にするとか本気度が伺える。

 中に入って第二の重い扉を開くとシーンとしたVIPルームに着いた。近場のリクライニングチェアに座る。……この位角度が付くと落ち着く。


「蘭、あたしちょっと寝るから……」

「うん……おやすみ、私は漫画読んでるから……」


 場所を確認したのち蘭は漫画がある棚に向かっていった。自分は横になって目を閉じた。

 車って疲れる――バイクも一緒だけど――。


今年最後の投稿になります、来年も羽海の話は続くのでよろしくお願いします。

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