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名柄川羽海という女の日常  作者: TASH/空野輝
ヨーロッパ、フランス編
33/51

フランス観光…… その2

merciありがとう


 タクシーを降りる。自分が泊まるべき宿に着いた。

 ――サッと横を見る。やっぱり横には雨宮さんが居なかった。


「……さっき別れたもんね」


 自分は生涯にこういう寂しさを感じたことが無い、ドクンドクンと胸が圧迫されていた。どちらかというより、不安の方が多すぎて圧迫されているのかもしれない。いつも以上にギュッと凝縮された一日だった。


 ここで考えても仕方が無い、ホテルの中に入ろう。


 ……中の入ったのは良いのだけど、まさかここで言葉の壁に衝突するとは。

 ホテルの鍵を貰うには言えばいいのだろう。


「…………」


 駄目だぁ! フランス語でなんと言えば……。

 そうだ、スマホ。スマートフォンを使おう。


――電波の確認をして下さい。


 あれ、おかしい。普段なら検索をかけてこんなことにはならないのに。どうしてだろう。サッと右上の電波のマークを確認するとバッテンマークが付いていた。ああ、そうだった。ここ海外だった。ううむ、仕方が無い。英語で行こう。


 自分はフロントの前に行く


「え、エクスキューズミー」

「hi」

「ぷ、プリーズファイブゼロファイブインルームキー、プリーズ」

「……オオハラ! オオハラ!」


 急にフロントの人が誰かの名前を叫んだ。オオハラ? オオハラさんというのがここにいるのだろうか。


「はいはい、日本人の方?」

「アッ、ハイ」

「雨宮さんから聞いてますよ。フランスが初めてみたいで」

「ええ……」


※ ※ ※ ※ ※ ※


――はぁ。一息ベッドの上で付く。まさか日本人スタッフが居るとは思わなかった。こんなに疲れる思いをするのは久々だった。雨宮さんは、良い人ではあるのだが意地悪な事の方が多すぎるような気がする。


「また何処かで会えるのかな……」


 ベッドの上で色々と考える。そういえば、この部屋の構造は色々と見たが。何があるのかは見ていなかった。どんなのがあるのだろうか、まずは冷蔵庫とかを見てみる。

 

 ガチャ……


 扉側には水の入ったペットボトルが三本ほど入っていて、他には何も入っていなかった。


「そうかそうか、でも水は重要だし。必要なときに取り出そうかな」


 自分はそのまま閉めた。ホテルの冷蔵庫には大した物は入れないし、そもそも入れる物ってあるのだろうか。……ああ、そうだ。水回りはどうだ。ちょっと風呂を入れなければ。こっちの気候は暑いから服がベタベタする。早く入りたいものだ。


 自分は風呂場があるドアを開けてここも確認する。おしゃれなバスタブにトイレ付き。これがユニットバスというものか。


「シャワーだけじゃなくて良かった……」


 自分はキュッと赤マークのついた蛇口を捻り、チョンチョンとお湯を触る。


「アッツツ!」


 アツいどころじゃなくてかなりゲキアツだった。自分はどうすればいいかと周りを見る。


「参ったな。このタイプは何を使えば良いんだ」


 赤の蛇口の隣に青マークのついた蛇口を見る。


「もしかして」


 キュッと青の蛇口を捻る、暫く水の方をジーと見る。明らかに湯気が少なくなった。

 またチョンチョンと触る。


「ああ、丁度いい。 暫く溜めるか」


※ ※ ※ ※ ※ ※


 カントリー社のフランスのすゝめ本を見て、テレビを見て「分かんねぇな」とか呟きながら偶に風呂を確認する。勢いが無いからか溜まるのが遅かった。このままだと時間が掛かり過ぎて明日になってしまう可能性があるかもしれない。もう入ってしまおう。


 ちゃぽん……


 と、言うほど溜まってはいないが約二日振り位の風呂だった。うーん、風呂は一人で入ってボーッとするのが一番良い。まだヘソ位にしか溜まっていないが気持ちいい。何気ない事を海外でやるのは斬新で良い。


「さっぱりした」


 タオルでワシャワシャと髪の毛を拭く。服はもうケースにまとめてローブ姿だ。自分のローブ姿を鏡に映して麻衣のローブ姿を想像してプッと吹いてしまった。アイツのローブ姿は似合うのだろうか。そもそも日本人にローブは合わないかもしれない。


「…………」


 特に誰からも連絡は無いし、こっちからも連絡出来ないから特に話す相手も居ない。時計を見ると既に十一時を回っていた。明日も八時位から行動する(と思う)しさっさと寝るとしよう。カントリー社のフランス雑誌は大分助かった。


 それではお休み。

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