機内…… その2
飛行機内は自分が思ってたよりもうるさくなく、むしろ快適だった。偶にアテンダントさんが来て「飲み物は何が良いですか?」と聞いてきてコーラを頼む。
ここでまた自分の妄想が広がる。
ファーストクラスだとまた違うのだろうか。頼めばワインをボトルで出してくれたり……チーズとかお菓子とかをどんどん出してくれるのだろうか。そう考えると――うーむ、ケチらずにビジネスクラスとかにすれば良かったかなー。
自分は隣の雨宮さんに聞いてみた。
「雨宮さん、ビジネスクラスとかで席取ってみたこと有りますか?」
「はい……?まぁ何度か、今回は席が空いてなかったみたいでここになりましたが」
「恥ずかしい話、飛行機の事をあんまり知らないで……」
「――ビジネスクラスとかがわからないと」
「ええ、まぁ」
雨宮さんに聞いた話、かなり優遇されてるらしい。噛み砕いた話、シートはふわっふわ、個室化されてて寝やすいとの事。でもファーストクラスの席は取ったことは無いから分からない、やっぱり一般市民にとって未知の領域。――気になってしょうがない。
ここで、アテンダントさんが来て
「ビーフアンドフィッシュ?」
「へ? あ? び、ビーフ?」
目の前のテーブルにトレーが置かれた。
「名柄川さんはビーフ派なんですね」
「えーと、これは?」
「昼食ですよ」
ボーとしてファーストクラスがどんなのかを考えてたからか雨宮さんの話を入り交えて妄想を膨らましてたから全く話を聞いてなかった。
「雨宮さんは何を選びました?」
「フィッシュですよ」
自分はアルミホイルを退けて中身を見る。
……随分雑に入ってる。要するに「食えるだけマシ」とかそういうレベルになるのかもしれない。
「――パサパサ」
思わず口に出してしまった。パンをマーガリンに付けてもアレだし自分少し溶けてる方が好きだしそもそもご飯って無いのか……。
「雨宮さぁん……これあげますよ」
「……まぁ、そんなに美味しくないですよね」
雨宮さんもそこまで食がすすんでいなかったか。
「えーと、ビジネスクラスじゃ…どうなんですか」
「とりあえず、比例するとどっちが美味しそうなのかはわかりますね」
雨宮さんはスマホを差し出し写真を見せる。ビジネスクラスのは小奇麗にまとまってて美味しそうだった、美味しそうだったけど
「これ、量少なくないですか?とても昼食とは」
「そうですね、でもサービスが良いのでこれでも十分なくらいですよ」
「庶民の私にはやっぱり……量なんで」
「やっぱりそうですよね。ご飯は多く食べれた方が良いですよね」
雨宮さんは笑う。
※ ※ ※ ※ ※ ※
――時計時間 午後二時
暫く雨宮さんと雑談したりしていたが次第に自分がシンドくなってしまった。かなり飛行時間が長い。初めはドキドキしていたがパリまでってこんなに長いのか。――映画を見たりFMラジオを聞いたりスマートフォンを取り出して麻衣に「パリに行ってくる」と打ったら「何で行ってくるの!?仕事始めたの!?」とか返されたりして反応が面白かったりとか……。
色々楽しんでる筈。筈なんだけど時間が早くなった気がしない。こう考えると某サイコロの旅の博多"不幸"行きは12時間で自動車道フルコースだから、アレくらいのレベルなのかもしれない。いやどちらかと言えばかなりレベル高いのは博多号福岡行きだけどアレはアレでお尻痛くなるだろうし、映画もFMラジオも聞けないしやっぱり乗りたくないなぁ。
いや、観光で長距離バスなんて乗りたくない。乗るんだったら新幹線と飛行機でいいや。
バイクは防寒対策してれば……いいかな。
雨宮さんはアイマスクをして寝ていた。自分はと言うとシートが硬くて寝れない。自分はシートを倒すとかそういう後ろに残酷な事は出来ないからほぼ垂直にして寝ようと頑張ってるけどやっぱり寝れない。窓を見るとすっかり暗くなっていた。楽しい気分で時間を過ごしていたハズなのに、外の暗さの様に自分も気持ちも落ち込んで暗かった。ちょっとホームシック気味になっていた。
「ジュース何が良いですか?」
「――ビールってあります?」
「はい、どうぞ」
とりあえず、気分が優れなかったからちょっと酒に任せて寝てしまおうという作戦。久々にプシュッと。プラスチック製のコップに注いで呑む。
……うん、悪くないね。
数本飲んだけど、駄目だ。寝る気もしない。何故かって? シートが硬くて寝れないんだった。
大事な事を忘れて現在の時刻も分からないままちょっとフラフラ気味だった。映画も2周目に入った。
自分は何かボタンを押し間違えたのかカクンと体が倒れる。映画を切り替えるボタンじゃなくて
シートを倒すボタンを押してしまった。
後ろを見たが後ろも後ろで寝ていて安心してしまい、その勢いでまぶたをつぶって眠りに入った。
おやすみなさい。




