再再度……
――午前七時
案外早く起きたので佐藤の家に向かっている。
ドッキリとしてバイクで学校まで送ってやろうと考えた。ということで着いた。モーニングコールとしてアクセルを思いっきり吹かした。
「佐藤ッー! 着てやったぞ!」
「なっ! 名柄川さん!」
出て来たのは佐藤の母だった。
「こんな朝からどうしたんですか!」
「ちょっと迎えに来ました。どうせ免許取るんでしたら慣らしてあげないと後々キツくなるんでね」
次に近所からガヤガヤと文句が来る。
「うるせーぞてめぇ!何時だと思ってる」
「――本当にゴールドっていうのなのかしら」
ボソッと佐藤の母は呟いた。
佐藤を後ろに乗せて言われるがままに走る。
「そういえば、父と母がバイクに乗って良いって許可が出たんですよ!」
そうか、佐藤はあの場面に居なかったもんな。
「ほーそりゃ良かったな」
「これで好きに乗れます!」
「いいね、そろそろ着くか?」
学校が見えてきた。行く人行く人に見られる。大半が学生だ。
そりゃ学生服を来た佐藤を後ろに乗っけて走ってるのだから注目の的だ。
そして、校門前に着く。
「あたしはここの学校じゃないからここまでだな。それじゃ行ってらっしゃい」
「はい! 頑張ってきます!」
自分は家に戻った。朝の空気も悪く無い。
※ ※ ※ ※ ※ ※
――午後五時
あたしは何をしていたかと言うとリンゴ剥いて切って食べて寝て……ってそんな事どうでもいいだろ。
とりあえずいつも通りコンビニのカウンターの裏で肘を付いて客を待っていた。
全く客が来ないんだが――本当にこの店やっていけるのか?
そうこうしてる内に佐藤が来た。
「おはようございます!」
本当バイターって単純。基本的におはようから始まるもの。
「うい、おはよう」
自分もこう返すから単純。にんげんだもの。
「とりあえず、昨日で沢山やらせたが慣れたか?」
「まぁ大体は慣れました。」
「一〇〇〇-七七七」
「はい?」
「一〇〇〇-七七七だよ。引き算」
「三三三?」
「はい、お前の弱点な」
「ええ?三三三」
「二二三だよ。お釣りの間違いが無いようにな。佐藤くんよ」
昨日見て分かったのはお釣りの間違いが多いことだ。このお釣りの間違いは絶対にやっては行けないと
思う項目の一つだ。
「お釣り――気をつけます」
「しっかり見て計算しろよ」
――午後六時
相変わらずの暇加減、コンビニって忙しいイメージが強いのだがそんなイメージを破壊するかの用に暇が襲ってくる。佐藤に「外のごみ処理しておいて」って言っても「処理するゴミが無いです!」って返ってくるだけでボーッとカウンターの裏に居るだけだった。
偶に棚の整理とかもするのだがそもそもお客さんが来ないから整理する必要も無かった。深夜の人が廃棄処理とかするから、昼間は暇だった。
本棚の整理でもしようと見てると例のバイク通販雑誌が見つかったので今佐藤と見てる所だ。
「佐藤、バイクは見た目だ。見た目でどれが良い?」
ピッと佐藤が指を指したのはYAMAHAのYZF-R1だ。だが……
「残念ながら佐藤、今の年齢じゃこれは乗れないな」
「え? どうしてですか?」
「これは大型自動二輪って免許が必要で、この大型自動二輪って一八歳からだ。」
「へー……でもこんな形のバイクに乗りたいです」
佐藤はハーフカウル付きのバイクが良いのか――SV400SとかGSR250SとかSUZUKIのハーフカウルなら沢山言えるのだが残念ながら他社のハーフカウル付きといえば麻衣の乗る奴しか知らん。
「YZF系統なら400cc以下でもあったハズ、探してみるか」
ペラペラと捲るとあった。YZF-R25……だが
「ち、中古でも50.60万レベルか……」佐藤の顔を見るとキラキラしていた。まぁ気に入ったものに乗るのが
一番だからな。
「カッコいいですね、YZF」
人はバイクに乗ると論争が始まるから余りメーカーの話をしないのが得だ。でも今回佐藤はバイク初心者。自分がSUZUKIのバイクを勧めてインパルスとか乗られたら……ちょっと困る話にもなるからな。
「考えて乗れよ、一度買って駄目だったら後悔する」
この一言は誰でも言う。
※ ※ ※ ※ ※ ※
――午後八時
何度か会社帰りのサラリーマンの客が入ってきた。まぁ晩酌のおつまみだらけだが、日本って独身が増えたのか? 殆どの客がビールとおつまみじゃないか。ここの店の客層は皆、こんなのばっかりだ。
「ありがとうございましたー」
自分達はあくまでも店員だからマニュアル通りに捌いていかなきゃいけないのだが。そして下に置いてあるパチスロ雑誌を捲る。隣はバイク雑誌。こんな店員が居て良いのだろうか。佐藤は何を思ったか
「聞いて無かったんですけど、どうしてバイクの免許取ったんですか?」
と、聞いてきた。
「ああ、友人が取れって言われて取った」
「え? そんな理由で」
「マジマジ、オオマジ」
まぁ大体合ってるからなぁ。それ以上でもそれ以下でもない。
「もっと細かく理由があるでしょう」
「ああー……んんー……バイクの音が凄くてな、前は嫌だと言ってたけど音を聞いた途端気が変わった」
「えっと…それ暴走族とか何かですか?」
「いや、友達のバイクでな」
「友達が暴走族……?」
「いやいや、暴走族から離れろよ。友人のバイクに圧倒されてな」
もう七年も前かー。そんなんだったな。
「まぁ取るんだったら頑張れよ、マジで頑張れよ」
――午後9時
終業時間。とりあえず、佐藤に聞いてみる
「――後ろ乗るか?」
「あ、はい! よろしくお願いします。」
二回目になると馴れ馴れしい。勿論自分から聞いて乗せないわけにはいかない。バイクのエンジンを掛ける。先に佐藤を乗せて後に自分が乗る、佐藤の足が長そうだから自分が先に乗ると苦労しそうだから先に乗せてるのだ。実際は自分が先に乗って後に後ろの人が乗るのだが。
「よーし、出るぞー」
「はい」
いつも通り走って佐藤の家に着く。相変わらず大きく見える家だ。
「着いたぞ」
「はい……」
こいつも相変わらず酔いそうだな。
「また明日な」
「はい、お疲れ様でした」
自分は家に戻る。やっぱり佐藤が乗った後の走行は軽く感じる。
「ただいま」
廊下を歩いてリビングに入る。
「ただいま」
「おう……お帰り」
「ほう?珍しいねぇお父さん」
いつも会わないから久々だ――この日からいつに会ったっけか?
「こんな遅くまで何処に行ってた?」
「バイト、颯花おばさんに言われてね」
「働く気が無かったみたいだったが……見直した。頑張れよ」
「ええ、どうも」
そしていつから親父と仲が悪くなったんだったけかなぁ…あれは高校最後の時だったかな。
「何時までも遊んでるなよ、羽海……」
「ああ、毎日楽しそうで悪かったな。」
自分は二階に上がって横になった。




