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名柄川羽海という女の日常  作者: TASH/空野輝
激濤、関東旅編
22/51

お邪魔しますよ……

__午後6時半

 麻衣のアパートは二階の奥側、2DKだったけか。いや普通に1DKを選べばいいのにどうして余計に1足したのかが謎だ。その理由を後で聞くことにしよう。今は風呂とか借りたい。麻衣がアパートのドアをガチャンと開ける。


「ささ、入って下さい」

「はーいお邪魔しまーす」


 靴を脱ぎ捨て廊下を歩く、こんなに短くても廊下と言えるもんな。廊下を少し歩いて扉を開けるとダイニングキッチンだ、もう二つの部屋はさっきの廊下に左右扉があるのでそこが部屋だ。一つは寝室でもう一つは何に使ってるのだろう? 倉庫? ゲストルーム? 実は自分も入った事がない。というか入るなと言われてる。いやらしい部屋だろうなきっと。


 ダイニングにあるソファーに座る。麻衣は客を招くのに少しは綺麗にしているようだ。ダイニングキッチンには液晶テレビとソファー、それからソファー横の机の真ん中に飴玉がいくつか箱に入っていた。麻衣の性格とは反対に綺麗だった。以前が何も無い部屋とは思えないほど女の子らしい部屋だ。


 自分はキッチンの方を見た。ほほう、ゴミも定期的に捨ててるらしい。


「料理は作ってるの?」

「たまにね、簡単のしかまだ作れないけど」


 簡単の作れるだけでも女子力は上がる。一体どんな料理をするのかは分からないけどこいつは自分が何も言わなくても勝手に作るからな。たまに創作料理が出るがこれがヒドいもので食えたものではない。あれは高校の時か、卵と何かを混ぜたものは緑色だったのがあったな。色々な物を実験体として食わされた物だ。

 その時には誰か隣に居たのだがインパクトが高い奴で逆に誰か忘れた。羽海殿! って寄ってきた奴だったような――思い出せない。


 ちょっと考えてるうちに、やっぱり麻衣の奴は料理を作ってた。これはDEAD OR ALIVEだ。簡単料理か……創作料理か……不安になる。

 少なくとも今聞こえる音は油が跳ねる音。フライパンを使って焼いてる?「ふんふんふ~ん♪」と随分ごぎけんじゃないか。特にフライパンの油の跳ねる音以外には聞けず、火を止めて料理が終わったらしい。


「勝手に作っちゃったけどごめん、食べて」


机に出されたのはチャーハンだった。安心した。これだったら食べれる。


※ ※ ※ ※ ※ ※


――午後7時

 チャーハンは完食したが次々と料理が出てくる。相当余ってるのか?ラーメンに回鍋肉ホイコーロー青椒肉絲チンジャオロースーと中華が出てるが明らかに味付けされた袋を何個か余ってるから使ってるだけだろ。しかも酒まで出されたから飲んだけど、後に「自分バイクで来たんだった」と気付いた時にはもう乗れなかった。


「まさか泊まりになるとは……」

「まぁいいんじゃない?」


麻衣はベロンベロンだった。明日仕事じゃないのか? 一体あの缶ビールは冷蔵庫から何缶出てくるんだ。


「色々あったねぇ羽海ちゃん。三日間良く走り切ったよぉ」

「まぁな」

「明日からまた仕事で……こうして現実に引き戻されるんだなぁって思うと寂しい」


 自分は働いていないが確かにそう思う。普段やらない事をこうして実行すると次の日が重くなってしまう。


「でもさ、また走れる日が来ると思って頑張ってると思うと良いんじゃない?如何に自分を楽に出来るかが大事なんだから。」


 このストレス時代だ。発散の仕方が大事になる。一番の発散法は破裂音を聞く事だが、流石に銃を撃ったり皿を割ったりとかは出来ない。かといってプチプチをやると何やってんだろうと思うし。逸れた事も出来ないしね。


「いつも羽海ちゃんは良い事言うね、ありがとう……」

「どういたしまして」


 自分達の夜は更けていった。


※ ※ ※ ※ ※ ※


――午後8時

 ついには風呂まで入ってしまった……その間に寝る場所を作ると言ったがついに例の部屋に入れるのか? ドキドキしながら風呂に浸かっている。そういえば誰かの家に泊まることって初めてだな。しかも相手は一人暮らしの麻衣。これだったらまだ良いけど親っさんが居るときたらドキドキもんだぞ。気不味さと言ったらありゃしない。暫く浸かっていると。


「羽海ちゃん寝る所決まったから、私の部屋と一緒ね」


 そう聞こえた。うーむ今回もあの部屋には入れない。


「分かった。」


 ちょっと悔しそうな感じで声を掛ける。


 シュルル……

 

 んー、さっきから人の気配が消えない。おっかしいなー。なんだろなー。


「羽海ちゃんお待たせー入らせて」


 あぁー脱いでました。3度目の麻衣の裸。で か い


「待て! お前が一番に分かってると思うがこの風呂小さいぞ!」

「羽海ちゃんが横になれば二人入れるよ、入れて」


 二人で入ったことにより、湯のかさが増えてザッパーン……少なく感じる。


「何で入ってきたんだよ」

「羽海ちゃん体綺麗だもん、見るの楽しいし」


 観察日記か――確かに太りもしないし痩せもしないこの体は自分でも不思議だけどな。


「でも一緒に入らなくてもいいだろ、それともあれか、写真撮って毎日いやらしい事でもしてるのか?」

「してるかもね」


 うー冗談じゃない可能性が高いから怖い。自分はそこまで濃密な存在にはなりたくないぞ。


「先に出るから。」


 ということで足とか胸とかを掴まれる前に出る。出て側に置いてあったバスタオルで水を拭いてまた準備してもらった寝巻きに着替える。……ってこれジャージじゃねぇか。紺色のジャージ……これ高校の時のジャージだ。これじゃ部屋と変わらんな。でも変わってるのはネームが聖山麻衣って所だけだ。


※ ※ ※ ※ ※ ※


――午後8時半

 ということで、麻衣の寝室、布団。麻衣も布団。折り畳みベッドが折り畳まれてるって事は明らかに同じ視点で自分の事を見たがってるだろこれ…。まぁ、酒も入ってるし雨振ってるし渋々寝るしか無いのだが。

 さぁ先に寝るとしよう。おやすみなさい……

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