大洗町散策…… 3
――午前11時。
約23km²、大洗町というのは狭く見えて実は広い。自分達はまいわい市場から大洗ホテルに移動する。
宿泊施設前とアウトレットモールで自転車が借りられるが、キャラクター自転車は予約必須である。だが、自分達はこの自転車を使わずにスタンプラリーをしていたので疲れがたまる一方であった。
「流石に距離があるな、これはキツイ」
自分は、それなりに歩くのに慣れているが麻衣は自分の肩を借りながら歩いていた。
「何で歩いてるんだろう……戻って自転車借りよう」
麻衣はこう促すが
「えー……歩くのが醍醐味でしょ」
中々変な理由で断る。海とか綺麗じゃないか。自転車でも変わらんけどそこは譲れない。
と、大鳥居が見えてきた、一体どうしたらこう設置出来るんだ、凄いな。
大洗ホテルに入る。
ホテルの中は、風格あるモダンな感じだった、フロントの人はイメージ的に、某魔戒騎士の執事に似てる。スタンプはホテルに入って土産屋の隣だ。自分は「休憩する?」と聞いたが麻衣は「こんな所で休めないよ」と否定。
別にホテルは入るだけだったらタダだぞ、椅子もあってテレビもある。
素晴らしい休憩場所だぞ、それなのに休まないと言うのか。まぁ確かに自分達は小汚いと言えば小汚いが。
某魔戒騎士の執事は何も言ってこないし例の黄金騎士も追い出すために呼んでこないと思うぞ。だがここは麻衣の言うとおり出るとしよう。この後苦しむのは麻衣だからな。
自分達は、大洗ホテルの隣、大洗磯前神社を歩く。
ここ大洗磯前神社も、聖地巡礼の地となっている。
勿論、神社と言えば絵馬、某戦車アニメの痛絵馬が沢山見られる、その某戦車アニメの中に混ざって某艦隊ゲームの擬人化した巡洋艦「那珂」の痛絵馬も見られた。何故、この巡洋艦「那珂」の痛絵馬があるのかは、ここ大洗磯前神社は巡洋艦「那珂」の忠魂碑があるからだ。だが、忠魂碑の意味を知らずに、「解体2-4-11」や「ファンを止めます」と言ったネタを出すのは止めよう。巡洋艦「那珂」の元乗員や遺族らも来られるため、失礼極まりない。そういった考慮をすることにより、真の巡礼者であろう。
尚、スタンプは大階段から上がった場合は右手にある。スタンプを押し、絵馬を見る。
「やっぱり痛絵馬が多いなぁ。真面目な絵馬が一つもないぞ」
「――ちゃんとお願いしてる人はそんなに居ないね」
そう、痛絵馬だらけで気が引いてしまうのだろう、中には「2期オナシャス」とか「劇場版待ってます」とかだらけだ。
中には戦車アニメでも巡洋艦「那珂」でも関係ない「むせる」が有名なアニメの絵で冬コミ受かりますようにと書かれた絵馬があったりとやっぱり絵馬は絵が書いてあれば何でも良いらしい。何を巡礼しに来たのやら。
「駐車場の方から来たから階段降りてアクアワールド目指そう」
「うん、写真も一杯撮ったし」
ここからは日の出が絶対綺麗に見えるな、日の出を見に行くのにまた来るか。
大洗磯前神社を後にした。
※ ※ ※ ※ ※ ※
――正午
アクアワールド大洗。ここでバッサリと言うが某戦車アニメとはあまり関係が無い。
勿論、某戦車アニメでも、アクアワールド大洗は出てくるのだが、劇中ではチームメイトの一人の生け花発表会会場として出る、魚は一切出ない。そう、一切出ないのだが一応聖地巡礼の地となっている。
ここでは某戦車アニメの声を当てた方のサインが飾ってあったり、キャラクターの住民票が飾ってあるので魚を見に行くのと同時に巡礼が出来る。スタンプの位置は…名柄川羽海は探していた。
そして、スタンプを押しに来たのだが――おかしい、フードコート・お土産屋・チケット販売機と全体を見ても見つからない。確かにスタンプラリーの一つの場所として書かれてるんだが…。
「探しても見つからないね、ここまで来て」
麻衣は疲れていた。大洗磯前神社からここまでは40分以上掛かる。
というか、何だあのキャラクターと一緒に取ろうというパネルは……しかもボッチ用に自撮り棒も貸してくれるとは。
麻衣がぴょこぴょこと自分に近づいてくる
「スタンプの場所聞いてきたよ、ここ」
はい? ここ――あっ、何という場所にあるんだ。
「柱の影にスタンプを置いておくなんて酷すぎる……」
そう、このスタンプラリーの難関と言えるだろう、ここアクアワールド大洗のスタンプの位置は鬼畜と言えよう。アウトレットモールを除いて、大体の屋内のスタンプの位置は入り口から右もしくは左にあったが、アクアワールド大洗は入り口前には無い、だからといってメジャーにお土産屋さんの中を探したりフードコートを探したりしてもスタンプのスの字も無い。
攻略法は、入り口に入り真っ直ぐ行き、チケット販売機を背にしてカニ歩きをすればスタンプの位置が分かるだろう。参考にして頂ければ幸いである。
尚、スタンプラリーは5つ集めれば景品が貰えるのでここアクアワールド大洗のスタンプをスルー可能だが……残念ながらファンの方はこのアクアワールド大洗のスタンプラリーは必須であろう、何故なら某戦車アニメの「主人公」のスタンプだからである。見難い場所、主人公とレア度は高い。
「こんな見難い場所に置いとかないでもっと目立つ所に置いとけば良いのにね」
「ホントだよな、こんなにメインで出しておいてこれだから」
文句を垂れるがスタンプを押して5つ貯まったのでこれで駅に戻るとしよう。
「よーし、駅に戻って良い物を貰おう」
早速、大洗駅へと戻ることにした。
※ ※ ※ ※ ※ ※
――午後2時
長い……道が長い……アクアワールド大洗から駅まではこんなにも離れていたのか。
一休みずつスタンプを押しながら移動したから急に長距離移動となると自分も疲れが出る。麻衣なんて過労死してしまうんじゃないのか、この状態じゃ。
「麻衣、マップによるとそろそろ駅だよ」
「もう帰ろうよ羽海……」
言うので良い物を貰ったら宿に止めてあるバイクの下へと行こう。ちょっと寂しくなるな。
駅に着いた、麻衣は干からびていた。インフォメーションに向かうと
「お疲れ様でした~こちらから1枚どうぞ」
――ステッカー、キャラクターが写ってるステッカーとディレクター陣が写ってるステッカー。
そりゃぁ、キャラクターが写ってるステッカーでしょうよ。麻衣もキャラクターステッカーの方を選択した。労力と時間の比率がおかしい。これだったら、曲がり松商店街でスタンプラリーをしたほうがいいと思うぞ。キャラ看板全部と写真撮りたかったぁ、うわぁ。ステッカーを貰って曲がり松商店街に戻る。
曲がり松商店街は相変わらず巡礼者で溢れていた、ここでおもちゃ屋を見つけて中に入ってみる。
懐かしい雰囲気が出ていたからだ。中にはミニ四駆やプラモデルに、やっぱり戦車のプラモデルもあった。しかし量が量で圧巻。
積みに積んでて倒れそうだ、でもこれが本来のおもちゃ屋だよなぁ、狭い店内、ぎゅうぎゅう詰めのおもちゃ達、そしてプラモデル。勿論プラモデル以外にもフィギュアとか幼稚用のおもちゃも売ってる。
ここで麻衣はショーケースの中の某――ライブアニメのフィギュアを見ていた。
「おいおい、大洗に来ておいてそのキャラクターのフィギュアを買うのかよ」
「だって限定品だよ?」
限定品と言っておきながら通販サイトの値段とその店の値段を比べている。まぁ誰もがやるわな。
「よし決めた、これ買う」
あーあーこうなったらもう誰も麻衣を止められない。麻衣は店員にショーケースを開けて貰ってその箱を指で示す。
ご購入である、\3980
バイクの下に戻ると、子供達が遊んでいた。やっぱりバイクはカッコいいよな。うんうん、分かる。
ほら、バイクのオーナー様が戻ったぞ。「このバイクお姉ちゃんのなの!カッコいい」と喋りかけてくる、やっぱり純粋だな。
「そうだよ、でも昔はもっとカッコいいバイクに乗ってたんだよ」
昔はイナズマ400というバイクに乗っていたが…宜しくない思い出がある。喋りたくない事も自分にはある。でも今乗ってるGSR400の方がカッコいい。将来君たちが乗るバイクはSUZUKIだ!一方麻衣は
「ほら~君達が乗るのはこのCB400っていうバイクだよ~HONDAといえばバイクだよ~」
――布教してやがる。HONDAは壊れないからな……。
尚、一人の子供は
「事故の六割はバイクだからね! 事故の六割はバイクだからね!」
自分達は青ざめた。三日間麻衣と旅をしてこんなことを言われたのは初めてだ。バイクの隣合わせは死だ、危険だ、そして寒さ。分かってながらも細心の注意を払って運転する。
教習所に行って習う事は、危険だけど上手く乗ってテクニックを上げろ。というだけだからな。車とは違って路上教習もしないしタンデムもしない。分からない事が沢山残りながらも卒業するのだ。
もう取って7年経つがいつ死ぬかも分からない。それなのに一人の子供は
「事故の六割はバイクだからね! 事故の六割はバイクだからね!」
という、お姉ちゃん達は死ぬ思い何回もしたんだからね~。でもそんなことも言えずに
「ふふ、気をつけるよ坊や」
麻衣は男の子にパイタッチされてる。そんな年からエロいとは。
「やめっ――やめなさい、こら~」
「おい麻衣~そろそろ行くぞ~」
自分はエンジンスタートさせる。――っておいおい、マフラー部分に近づくんじゃない臭いし熱いぞ。
「それじゃお姉ちゃん達帰るから」
「どこまで~」
「ん……千葉までだ、ほらこの番号の上に習志野って書いてあるだろ。これは千葉の習志野って所のナンバーだよ」
「ふーん、気をつけてね。事故の六割はバイクだから」
まだ言うか。この野郎、手が出せないのが悔しい。麻衣もようやくキーをさしてエンジンスタートさせた。
「それじゃ、また来るからね。覚えておけよ~」
「皆じゃあね~バイクはHONDAだからね、覚えておいてよ」
布教はよしなさい。
ローに入れて出発する、大洗町、サヨナラ。




