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名柄川羽海という女の日常  作者: TASH/空野輝
激濤、関東旅編
16/51

逆襲の時、餃子が飯……

――午前八時。

「いたたた……」

 

 寝間違えたか、首が痛いし唇も何があったかベタベタだ。麻衣の方を見ると、浴衣がはだけて全身が出ていた。


「こいつもこいつで何があったんだ……」


 訳が分からない状態だった。


「う~ん……羽海ちゃんとキスしちゃった」

「――なっ」


 咄嗟に麻衣の腹をサッカーボールキックした。麻衣は「うはぁ!?」と普段ありえない声を出して目覚めたので胸ぐらを掴んでブンブンと麻衣を振る。「夜に何をやった!?」そう聞いてみるがみぞおちに入ったからか悶絶していた。仕方なく一旦麻衣を離して洗面器に向かって顔を洗った。寝言と言っても唇ベタベタだから冗談では無さそうだ、うう、とにかく唇を専念して洗う。



 麻衣が目覚めて、再び「深夜に何があったか?」と聞くが麻衣「何も分からない、けど夢の中で美味しい味はした」完璧に覚えてない振りなのかさっぱり分からんが、寝言といい話は矛盾しなかった。昨日の事を思い出すとコイツ酒入ってるんだったな……自分は泥酔でいすい処理班か、泥酔処理2級か。

でも、昨日よりさほど酔っては居ないから気は抜けたようだな。


「よーし、お前に物申す!」

「何?」

「今から大洗町に行くぞ!」

「おー!」


 ……あれ? 予想しない反応だ。あれあれ?


「ビックリしないの?」

「休みまだまだ残ってるからねぇ! 行こー!」


 逆ドッキリかい! うう、そんな! 自分は気が抜けた。


――午前八時半

 自分達は支度をして宿主に一礼をして去る。良い場所だったよ、おじいちゃん。さてと、自分はナビを設定してホルダーに刺す。ここから一一九号線を通って宇都宮市を通る。そして鬼怒川を渡り六九号線へ。五一号線という山道を通って那珂川を暫くバックにして走る。そして暫く五一号線を走れば大洗町だ。人気戦車アニメの聖地だから行ってみたかったのだ。


「今日もよろしくお願いします。」

「お、よろしくな」


 いきなり改まってどうしたんだ……なんだか怖い


「"にゃ"がらかわうかいさん……えへへ」

「ふふ、そんなのあったな」


 高校時代の入学式で初めて会った時に喋りかけてくれたのだが、こいつは名柄川の名を噛んだのだ。あの時は可愛げがあったのに今ときたら…ただの変態かもしれない。


※ ※ ※ ※ ※ ※


――午前九時

 宇都宮市に着いた。止まる予定は無かったのだが麻衣が「ギョーザ! ギョーザ! 休憩しよう!」なんてこと言うので美味しい餃子店を探すことにした。いつもの休み癖が出てきたようだ。

 

 ちょっと道を外れて駅に行く、日本というのは車が多くバイクに優しくない。バイク専用の駐車場が少ないからね。止めるのに探すのが一苦労するくらいだ。だけど二台だったら車の駐車場にも遠慮なく止めちゃうと言った所だ。

 一台だと、以前に車を停めに来た人が自分のバイクを見て舌打ちをしたのでそういう所で差が出てしまうのだ。一台で何が悪い! と思う所だが、大量にスペースが空いてしまうので感覚的にそう思ってしまうのだな…悲しい…バイクだって車両なのに…。なんてまぁ、二台だと空いてるスペースが小さく見えるので有利なのだ。さて、降りて餃子店を探そう。


 少し探すと「宇都宮の餃子館?」こっちの方面では見ない店を見つけた。

「良いじゃないここ、ここにしよう」麻衣が言うのでここに決めた。

 スタミナ健太というのはマスコットキャラなのだろうか、何とも言いがたい――というがダイレクトに伝えすぎて笑いが込上がってくる、Kと書かれた服がシュール。中に入ると、綺麗だった。そして店員に案内され、椅子にも座ったがそんなにベタベタでは無かった。今朝は唇がベタベタではあったが。

 周りを見ると、有名人のサインがあるんだな、結構古いようだけど……まぁ来店したんだな。


 自分達は注文を頼む


「自分はスタミナ餃子とライスとウーロン茶で」


 麻衣は


「舞ちゃん餃子と、ライスでお願いします」


 麻衣だけに舞ちゃん餃子を頼むのか、センスが高いな。


「しかし、朝から餃子とか初めてだわ……」

「餃子って何処の料理なのー?やっぱりここ宇都宮なの?」


 ほぅ、質問を出すとは珍しい、では――


「確かに餃子と言えば宇都宮だが、それは日本一というだけで、餃子の発祥の地ではない。元々は中国のおせち料理だ。」

「へー」


 お、釣れた釣れた。


「でも具が具だからか、ビールとお酒とかが合うよね。ラーメンと合うのかが不思議で堪らないが肉と野菜がたっぷり入ってるから主食としてもバランスの良い料理だよね」

「うん、酢と醤油、あとラー油をたっぷり漬けると美味しいよね~」

「でも、それは日本だけなんだ。中国では薬味を色々と混ぜ合わせて食うみたい」


 麻衣は、目からウロコだったらしいな。良かった。喋り終わった所で料理が来た。いただきます。


――午前10時の事だった。

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