そして宿へ……
「んん~……」
麻衣は日光東照宮の大駐車場で背伸びをする。疲れたのだろうけども一番シンドいのは自分の方だ…。始めはうどんを食べにと付いて行ったら千葉から栃木まで来てしまった。でも休む所があれば自分は十分だ、もしツーリングをすると言うのなら計画を必ず立てよう。一~二時間毎に休んで地図を確認とかしつつ目的地に行く、時間も余裕を持とう。だけど麻衣の場合は違う、休む時は頻繁に休んで、走る時はずーっと走る。全く体力があるのか無いのか分からんな。さてと……
「麻衣、そろそろ宿に行こう」
「うん、検索する~」
「……うん? 検索する? 麻衣、もしかして宿の予約取ってないのか?」
「取ってないよ、だって宿くらいアポ無しで取れるでしょ」
この馬鹿!!
……と、思ったが冷静に考えてみれば、今日は日曜日だ。確かに取れる可能性があるということだ…。仕方がない、懸けに出てみよう。
「じゃあ、早く近くの宿を出してくれ……」
「りょうか~い、じゃあちょっと待っててね」
検索をしたら、近くに泊まる所があるということで、麻衣が出してくれた所に向かうことにした。
※ ※ ※ ※ ※ ※
――午後5時半
宿に着いたが、ボロボロではないか 一体何のサイトを見たらこんなボロボロの宿泊所に着くのか不思議に思う。中に入ると「いらっしゃいませ」と出てきた、ドラマとかで一番に殺されそうな顔をしている。失礼だが。
「二名なんですけど、泊まる所ありますか?」
「ああ、はい じゃあこの鍵を……ごゆっくりどうぞ」
番号が書かれた鍵を手渡された、ボロッボロの布に504号室と書かれていた…… GatewayTimeoutか?
三階の奥の部屋だった、鍵をガチャっと開けてギギギと扉が軋む、中々ホラーじゃないか。でも中の清掃はしっかりとしていて、軋む扉とは裏腹に良い裏切り方をされた。八畳の部屋、テレビと押し入れには布団二つ、飯付きで六千円だ、安いな。
先程の宿主が来て「ご飯はもう持ってきても?」と言うので「お先に食べます」と麻衣が答える。さぁて……どんな料理が来るのだろうか。
――午後6時半
コンコンと扉を叩く音「お料理お持ちしました」と声が響く。「どうぞー」と二人で言う。
机に料理が並べられる、刺身 焼物 煮物 洋皿 揚物 酢物 白米と口代りというものか、数種類の山の幸がチョンチョンっと乗ってる。 悪くないな。「飲み物は何で?」女将さんが言った矢先に自分はトイレに行きたくなった。「自分はコーラで」一言言ってトイレへ。
トイレもしっかりと清掃してるな…やっぱり悪く無いな。一服してから部屋に戻る自分は「やーやー悪い悪い」と言いながら座る。
先ずは…刺身か、鮪とかまぁ普通、特に言い表す言葉も無い。次に、焼物…アジ? 焼き加減も丁度良くて美味しい。それから煮物…うーん、よく分からん。煮物の美味しさはよく分からんな。でも麻衣はパクパクと食べるので「これいる?自分要らない」と言うと「美味しいのにー」と煮物の皿を手渡す。洋皿にはハンバーグが乗っていた、結構宿としては珍しいんじゃないのか?ハンバーグだなんて。まぁ…コネ具合を伝えた所でわからないわな。揚物にハズレはない、エビとイカがあれば自分は十分だ。酢物はタコとキュウリ、さっぱりしてて口直しに丁度良かった。
コーラが空になった所で、麻衣が飲んでいる物を見た。随分薄いオレンジ色だな……まさか!
「麻衣! 水割りか!?」
「うん、水割りよー」
ウィスキーの水割りを飲むだなんてトイレで離れるんじゃなかった! バイクで来たんだぞ自分達は!
「一杯で止めとけよ! バイクで着てるんだから!」
「はいはーい」
ちょっと酔ってるな……。
――午後7時
ご飯も食べ終わり、暫くゆっくりして風呂に入ろうと麻衣が提案した。ということで、服を脱いでる所だ。脱衣所はそれなりに広い、だけど扉施錠するから家族とかで使うんだろうけど八個もロッカーが必要だろうか。何かと勘違いしてないか?
浴場もこれはでかい、十人は入れそうだ。でも浴場に入る前に体と頭を洗う。昔から浴場に来たら入る前に体と頭を洗えと言うが、家の風呂では体を水で流す位で終わるだろう。ここの差って何なんだろうか。でも浴場に来たらご丁寧に洗剤を使って体と頭を洗うよな。自分はこれが不思議だ、でも麻衣も先に体を洗ってるし髪も洗ってるから自分も従うことにした。
自分達は、浴場より露天風呂に入った。かなり豪華じゃないか?しかも貸し切り状態だ。「ほほぅ……」と麻衣が唸る。何を見てるんだろうと思ったら自分の体を見られていた。
「何見てるんだよ、そんなに胸も大きくないし、むしろお前が見られる側だろ」
そう、麻衣の方が大きいのだ、胸が。自分はそこまで大きくない。
「高校の時よりは大きくなったんじゃない? うんうん」
「そうか? 4年だしな 大きくなったんじゃない」
適当に促す。こいつはやりかねん、あれを。
いや絶対やる。
「4年物のビンテージ! 揉ましてぇ!」
やはり来やがったか! 揉むんだったらっ……!
自分は飛び掛ってきた麻衣の手をかわし、背後から麻衣の胸を掴んだ。麻衣は「ひやぁ……! うんっ……」と甘い声が出た。
「麻衣の方が揉み心地が良いじゃないか」
胸をもみ続ける。
「ちょ……いやぁ……あぁ……」
麻衣は抵抗するが惜しくも倒れた。頭からは湯気のような物が出、顔を真っ赤にしていた。アイツ、やっぱりこういうの弱いんだな。以前に修学旅行の時もこんな事があって制裁の時に自分が揉みかえしたが、この時もこんな感じだった。上からは筒抜けだったからさぞかし男子は興奮しただろうな。麻衣の声は結構エロい。
落ち着いた所で麻衣が口を開く
「名柄川と入るのも久々だしー、懐かしいねー」
「ああ、そうだな」
「私も仕事が忙しくてね、こうしてバイクで誰かと走ることも少なくなってね」
そういえば、麻衣は通勤にCB400SBを使ってるんだったな。雨の日も雪の日もバイクで走るとは相当なバイク馬鹿だな。
「仕事はどうなんだ。何やってたっけ?」
「ただの事務処理。上手く行かないし辞めたい気分、他の仕事やってみたいわ。」
「まぁ、数年やって合わなかったら辞めたら?それなりにキャリア積んだって事で他の所でも雇ってくれると思うよ。色んな事やってみようよ」
「そうだね、後一年はやってみようかな」
麻衣はそう言う、でもなんだかんだ麻衣は続くタイプだし、こういう言葉は余計かもしれない。まぁとことんコイツとは付き合っていくか。
「よーし、出るか」
「うん」
と露天風呂を上がり、後にした。
ここで、問題が出た。ツーリングに出たものの、着替えというものは準備していたが、下着というものを準備していなかった。まぁ、ここは正直に麻衣に伝えることにしよう…。
「下着……無いんだけど……」
伝えると、麻衣は真っ青になって
「私も……無いんだった……」
と、一番準備してそうな麻衣が忘れるとはやっぱり準備が足りない子だった。こういう所が可愛いのか可愛いくないのかは、人それぞれだ。
――午後7時半
部屋に戻ると、布団が二つ敷かれており、寝る準備は完璧だった。だけど寝るのには結構早い時間だな。いつも寝る時間は深夜を回るから、午後2時か3時くらいに寝る。大体の用事はアニメを見るかゲームをする、ネットで動画を見て眠りにつく。でもこれはこういう環境があってこの時間になるのだ。だからこの環境が無い今は早く寝れそうだ。
隣を見ると既に麻衣は寝ていた。何にもないと直ぐ寝るんだな。日光で見るもの見たし、今度は自分が「ドッキリ」とやらを仕掛ける番だな。さて、コンビニでも寄るか。
※ ※ ※ ※ ※ ※
自分がコンビニに寄ったのは、作戦を考えるのと、下着を買う為であった。
以前に、下着を売っていたのを見てて良かった。果たして年に何回売れるのだろうか、この品は。
少なくとも自分が買うのだから一回は売れるだろう。コンビニももう少し売るものを限定したらどうだろうか……。
自分は宿に戻った。
さてと、考えたら自分も行きたい所があるのだった、あそこに行くべきだろう。麻衣の休暇は後2日、十分だろう。早速、宿を手配するとしよう。電話電話っと
「……」
「あ、すみません。宿の予約をしたいんですけども……はい、大丈夫ですか? すみません」
「明日の午後5時位にチェックインを、はいお願いします……人数は二人です……はい、はい」
「はい、すみません。ありがとうございました。」
これで、宿の手配は完璧だ。明日になって逆襲の時とは思わないだろうな…見てろよ、麻衣。
宿の予約が終わり、眠りに落ちた。
午後8時の事であった。




