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名柄川羽海という女の日常  作者: TASH/空野輝
激濤、関東旅編
12/51

出発してから……

 今は野田市、場所で言うと江戸川の近くだろうか、検索サイトのマップを使うとあまりにもポンコツすぎてこれが近いのか遠いのか分からんが江戸川の近くというのは分かる、今そこの近くのコンビニで休んでる所だ。ここのコンビニのアイス結構美味いんだよな……所で、麻衣は何をしてるんだ。気にしてると麻衣が走ってきた。


「お待たせ、トイレ行ってた」

「四時間近く走ってるのだから無理も無いがもう数十回は行ってるぞ。……ん? 四時間近く?」


 自分は咄嗟とっさに時計を見た。午後一時だった。


「なぁ、麻衣。今何時だと思う?」

「んー? 十一時」

「残念、午後一時だ」

「えー!? もうそんなに走ってるの?」

「おい」


 こいつ! 無神経過ぎる! いや前から知ってたけど時間まで無神経とは!


「トイレ行きすぎだよ! なんでだよ! なんでこんな時間になるんだよ!」

「え? え?」

「日曜日の定番アニメ迄に間に合わないじゃないか!」

 

 そうだ、自分の日曜日はこの定番アニメを見なきゃ終わる気がしないのだ。


「クソっ! アイス買ってくる!」

「あ、うん……行ってらっしゃい」


 アイスを購入して自分も日曜日の定番アニメに間に合わないと悟り気を落ち着かしてる。走る気がしなかった。 到着の予定は午後一時、そして帰りも合わせると午後五時に帰宅と行った所だ。ちょっと誤差があっても例の定番アニメ迄に間に合うはずだった、だった……。


「羽海ちゃん、走ろう」

「あ、うん……」


 なんで答えたか分からんが結局走り続けるしか無いようだ。仕方がない、うどんを食って帰ろう。


※ ※ ※ ※ ※ ※


 ――午後二時

 だいぶ遅くはなったがうどんが食べれる店まで着いた。見た目はどうしてもゲームセンターにしか見えないのだが、どうやってここを探したんだ……自分達は中に入った、そこにはブラウン管機体の麻雀ゲームや自動販売機に混じって、うどん・そばと書かれた自販機が置かれてあった。


「これ目当てに来たの?」

「そーそーこれ! ネットで見て食べたかったの!」

「そうか。さて、これ食べて帰るぞ」


 二百円を入れてポチッとボタンを押した、するとニキシー管の秒数が出た。三十秒である。中でうどんの湯切り音がしてジャーと注がれる。恐らくつゆが注がれる音だろう。そしてニキシー管の秒数が0になった所でチンと家庭何処でも聞ける音がして下のフタからパコッとプラスチック製のお椀に乗っかったうどんが出てきた。


「おー、仕組みも面白いし中々美味そうじゃないか」

「私はそばにするね」


 麻衣もそばのボタンを押す。こちらも同じ工程で出てきた。中々気に入ったらしく、次はうどんも食べると言い出した。ふと、周りを見ると二階もあった、上がってみると二階はゲームセンターらしい。もう一度降りて一階もグルっと見ると、タクシーの運転手やトラックの運転手が寝ていた。ここはどうやら休憩所に近い何からしい。


「これ食べ終わったら二階上がってみよう」


 提案、これに対して麻衣は「いいよ」と一言


※ ※ ※ ※ ※ ※


 ――午後三時

 六時から始まる例の定番アニメをほったらかして二階ゲームセンターのメダルゲームに夢中になってた。やっぱり自分、性格が悪いのかな。


「結構遊んだなー、メダル箱一杯だし、楽しんだし帰るか」


 麻衣は少しニヤけていた、何笑ってんだコイツ。


「名柄川羽海……まだ終わらせないよ?」

「え?」


 その言葉は意味深だった、まだ終わらせないよ? 何を言ってるんだ?

 しかもフルネームで言うから余計に怖い。


「次は、日光東照宮に行くよ」


 ニヤけながらトンデモナイことを言い切った。聖山麻衣、A級戦犯、フラグ建築士。こいつとの行動には何かと高校時代から何も変わってない。


「お前何言ってるんだ! もう帰るぞ!」

「名柄川にドッキリ仕掛けたくてね、考えちゃったの 走ってる途中で」


 はぁーなんということでしょう。とにかく説得をする、いや何とかせねば。


「ここから行ったらもう日帰りで済まなくなるぞ」

「ううん、宿で泊まるの」

「だけど、明日お前仕事だろ」

「今日から三日間休みなの」


 なんてこった……完璧に自分はハメられた状態じゃないか。うどんを食いに行って次は日光東照宮? ほぼ関東一周に近いんじゃないか。


「んじゃ……これ終わったら行くのか?」

「もちろん!」


 ニッコリした顔で麻衣が言う。麻衣がこう言い出したらもう遅い、コイツは実行するまで気が済まないタイプだ。毎回こんな感じで自分が被害者になる、フッー! こいつと色んな所に行ったよ!


「分かった、それじゃそこまで行くか……」


 渋々自分はこう言っちゃう。そこが自分の甘い所かもしれない。自分はこの場所を後にする。

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