ルワンナの力
「ほう、あの少女がなぜ治癒魔法の使い手と分かるのかね? カスパリーニョ」
「はい、レオン王子と少女その他に保護した多数の草食動物たちから治癒魔法を使ったと見られる痕跡を発見しました。ゆえに、あの少女は治癒魔法の使い手です」
「しかし、どれ程の腕を持つ治癒魔法使いかわからぬだろ?」
「はい、なので一度その実力を確かめてみる必要があるかと思われます」
カスパリーニョは後ろに並ぶ兵士に声をかけた。
「あの少女はまだ王子の部屋にいるのか?」
「はい、まだレオン王子の部屋におります」
「至急、呼び戻し事の経緯を伝えよ!」
「はっ!」
「わかった。その少女に試験を課し、入隊の基準を満たしたら許可を出そう」
レオニス国王はふうっと息を吐いた。
「さて、治癒魔法使いの人員はタブ爺とその少女で一旦よしとして、問題は呪いについてだ」
レオニス国王はタブ爺に視線を移した。
「タブ爺よ、呪いの正体とは一体なんだと思う? 我妻、レオニカの死以来、レオンには特別な何かが宿ってしまったように思う」
「…詳しくはワシにもわかりません。しかし、呪いは魔女を倒すことによって解除されると古くから存在する文献には示してあります。ワシは今まで長い旅をしてきました。魔女に関する文献にはそのように記されていることが多くありました」
「そうか。今回の魔女討伐の遠征はこの呪いの意味を知ることも含まれるだろう」
「その通りでございます」
「では、今回の会議で出た課題を魔女討伐隊編成に向けて解決すること。いいな!」
「「はい!」」
大人数が一斉に返事をして玉座の間が一瞬揺れ、ピリッとした空気が広まった。
「魔女め、私の息子に呪いなどと言う愚行許せぬ」
こうして魔女討伐隊はフォンツ王国第一兵団を基本とし、タブ爺とレオン、そして今後の状況次第ではルワンナも加わる可能性を残して、魔女討伐隊の編成会議は終了した。
レオニス国王が玉座の間をあとにしたのちに残された兵士たちが順番に玉座の間から出て行って、カスパリーニョとタブ爺、レオンの三人が残りカスパリーニョ言った。
「まずはあの少女を魔女討伐隊に相応しいかどうか試す必要がありますな」
カスパリーニョから指示を受けた兵士がレオンの部屋で待つルワンナに会議で起きたことの経緯を伝えルワンナは王宮の医務室に移動していた。
王宮の医務室ではベッドが数十台置いてあり、戦から戻った第一兵団の負傷した兵士たちがベッドの上に横になっている。そして、治療を受けた兵士は包帯を巻いており治癒魔法を使えると思われる白衣を着た人物が医務室をあちこち忙しなく駆け回っており、忙しさが伝わってくる。
医務室の入り口付近で白い帽子にマスク、白い手袋白衣を着た女性がルワンナに言った。
「私は第一兵団の医療チームのものよ、説明は聞いてる?」
「はい」
「まずあなたの治癒魔法術師としての適性を見ていきたいの、この患者を治せる?」
女性が示した患者は腕に擦り傷を負っており見たところ軽傷のようだった。
「やってみます」
ルワンナはそう言うと赤いドレスの腕を両手を捲って負傷した兵士の患部付近に両手をかざした。
すると、緑色の光がじわりと光始めてみるみるうちに兵士の傷跡は治っていった。
「このぐらいの怪我なら簡単に治せそうね」と医療チームの女性は言った。
「いつも動物に使ってる魔法を応用すればこのくらいは簡単にできます」
「そうみたいね。じゃあ…次は…」
ルワンナと女性は一緒に医務室を移動して、ある患者のもとへ行った。
「この患者さんを治してみて」
女性が指差した患者は胸部からへそのあたりまで大きな切り傷があり、大粒の汗をかいている。
「ひどい怪我! やってみます」
ルワンナは先ほどと同様に患者の患部に手をかざして再び緑色の光に患部が包まれていくが、くず口が閉じていく様子がない。
ルワンナ一度手をかざすことをやめて、今度は胸の前で手を合わせた。
「生まれてきた命に、祝福を」
もう一度、ルワンナは患部へ手をかざす。すると、緑色の光はさらに大きくなり傷口はみるみるうちに塞がっていった。
ふうっと一息ついて、額の汗を拭うルワンナ。
「驚いたわ、魔法学校へ通っていたの?」
「いいえ、独学です。母から教えてもらいました」
女性はにっと笑った。
「命を大切にするその気持ちがあなたの治癒魔法を強化させたのね。治癒魔法を使う人間にとっては最も重要なことね!」
女性はルワンナの治癒魔法の力が本物で安堵した様子で笑顔を見せてそう言った。
「合格よ、レオニス国王には私から報告しておくわ」
「ありがとうございます。国の役に立てて私も光栄です」
「よろしくね、ルワンナ」
「はい、よろしくお願いしまうす」
医療チームの女性とルワンナは握手を交わした。




