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ジョーとガルディ

 レオンとルワンナは魔女討伐隊が野営地にしていた場所へ戻った。その場所は荒廃したビルが立ち並び、瓦礫が散乱しているような場所だった。


 そこに黒づくめのローブを着た魔女の手下が三十名ほどいて行手を阻んでいた、暗闇の中で火の魔法を使っていたり、水の魔法を使うものがいたりと魔女の手下とすでにアーサーやMCダルマ、DJカゲ、その他の兵士たちは交戦中だった。


 レオンとルワンナは崩れかけた少し背の高いビルの上から戦況を見つめていた。

「一体、どうして情報が漏れたんだ」


 レオンが来たことに気づいたアーサーはレオンに言った。

「レオン王子大丈夫です。こいつら雑魚ばかりですよ。すぐに片付けますからレオン王子は安全なところへ避難を」


 それを聞いてルワンナはレオンを戦いの前線から離れたところまで案内した。隊列の最後尾、治癒魔法使いが多くいる場所へ行った。


 戦闘は魔女討伐隊が完全に優勢だった。初めは三十名ほどいた黒づくめの魔女の手下たちはアーサーたちの活躍もあり、あっと言う間に半数ほどにまで減っていた。


「よっしゃあ! このまま押し切って突破するぞ!」

 アーサーは剣を掲げ後方へ続く兵士たちを鼓舞すると全員の返事が返ってきた。

「オー!」


 ドーーーン!!


「…は?」

 アーサーは言葉をこぼした。


 大きな爆発音が聞こえた。爆発があったのはビルとビルの間で縦長にとっていた隊列の中央部へ横からの攻撃だった。そのため、アーサーやMCダルマ、DJカゲがいる最前列とレオンがいる最後尾は攻撃を免れた。


 アーサーの目の前は業火の海に包まれていた。瞬く間に兵士の半数以上は火だるまになり骨まで見えるほど皮膚は溶け、肉はそれがれ落ちており致命傷のやけどを負っている。


「だ、団長大変です! 兵士の半分がやられました」

 魔女討伐隊の兵士の誰かがそう言った。


「…何が…起きた」

 アーサーは言葉をぽつりぽつりと言った。


 魔女討伐隊の前列と後列の間の中央部の廃墟ビルから二名体格の良い男がゆっくりと現れて、一人はスカーフェイスで腰に剣を携えており、葉巻タバコを加え赤色のキャプテンハットにマントを着ている男。もう片方は、スキンヘッドで肌の色は焦茶色、体の大きさは大柄なスカーフェイスの男よりもさらに一回り大きい、タンクトップに膝上までの丈の短い半ズボンを履いておりかなり筋骨隆々な肉体の持ち主である。


 スカーフェイスの男は手のひらで小さな火の玉のようなものを軽く握るようにして持っている。


「雑魚はお前が焼き払った。あとはリーダー格だけ。違うか?」

 半ズボンの男は隣にいるスカーフェイスの男に戯けたように肩をくすめてそう言った。続けて、半ズボンの男は言った。


「なぁジョー、お前はどっちをやる?」

 半ズボンの男は準備運動前の軽い運動でもするように手を伸ばして、次に屈伸運動をして準備万端といった姿勢を見せる。


「俺は金の鎧を着た剣士がいい。圧倒的に武人って感じがするぜぇ」

 ジョーは答える。そして、半ズボンの男はガハハハと笑った。


「わかった。ジョーはそっちを選ぶと思ったぜ。じゃあ、俺はあのダルマみたいな男の相手をする。違うか?」

「いいや、間違いないねよガルディ。しかし、早っちゃいけねぇ。奴らをやる前に聞いておかねぇとなぁ」

「?」

「レオンを素直に渡すかどうかだ。俺たちはそのためにここまで来てるんだぜぇ」

「ハハハそうだったぜ。完全に忘れてた」


 ガルディと呼ばれた半ズボンの男は額に手を当てて白い歯を見せて笑う。

 ジョーとガルディは廃墟ビルから出ると魔女討伐隊の前列と後列に挟まれるような形になった。そして、ジョーがアーサーの方を向いた。

「お前がここの大将だろぉ?」


「だったらどうした!」


「話し合いをしよう。お前たちには二つ選択肢がある」

 ジョーはポケットから手を出して指を一本立てた。確実に敵に挟まれている状況でもまるで気にしていない二人だった。


「一つ、レオンを大人しく渡してここから引くこと」


 ジョーはアーサーに向かって指を二本立てた。

「二つ、俺たちに殺されてレオンを連れ去られること」


 ジョーは手を大きく横に開いた。

「金色の鎧を着た剣士よぉ! お前が一番の武人だろう? さぁ、どっちを選ぶぅ」


 アーサーはいきなりの出来事に呼吸を乱していたが、徐々に呼吸を整えた。そして、悪巧みでもするように少し口角を上げた。


 そして、アーサーは指を三本顔の前に立てた。

「三つ目の選択肢だ。お前たちを倒して、レオン王子を守る、そして、魔女を倒す。だ」


 ジョーはシワのあるグローブのような手で拍手してよくぞ言ってくれたとでも言うように笑う。目尻の皺がより深く刻み込まれる。


「いいねぇ! 今時の若者にしては筋の通った武人だぁ。気に入ったぁ」

 ジョーはさらに続けて言った。

「ではぁ、三つ目の選択肢を選ぶといい。結果は俺が先に提示した二つになるからなぁ。おっと…」

 ジョーは被っている赤いキャプテンハットを外した。


「俺は魔女リマーナ様の部下ジョーと…」

「ガルディだ」


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