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迂回ルート

 次の日。

 魔女討伐隊に任命されたメンバーは王城の玉座の間に集められていた。


 任命されたメンバーは第一兵団を基礎として兵士総勢三十名が集められおり、その中にはレオン、アーサー、ルワンナ、タブ爺の姿もある。


 剣士は銀色の甲冑を着ており、アーサーは金色の甲冑を着ている。炎などの攻撃系統の魔法が使える魔法兵は黒いローブを、治癒魔法が使える者は白いローブを身に纏っている。よって、レオンは魔法が使えないので剣士として銀色の甲冑を着てルワンナとタブ爺は白いローブを着ている。


 兵士たちは玉座の間で玉座から入り口にかけて中央に伸びる赤いカーペットを挟むようにして兵士が半数ずつ並んだ。


 偶然ルワンナとレオンは隣通しで並んでいた。

「討伐隊に参加できたんだ。ルワンナの治癒魔法はすごいんだね」

「あなたも魔女討伐隊に参加するのね」

 ルワンナは思い出したようにして続けて言った。

「あなたこの国の王子だったのね、知らなかったわ」


 そして、ルワンナはレオンに深々と頭を下げた。

「頬を叩いたりしてごめんなさい」


「いいんだ。気にしないで」 

 ルワンナはすぐに頭を上げて続けて言った。

「あらそう、レオン王子これからよろしくね」

 淡々と言うルワンナ。


「よろしく」

 少し弱々しそうに返事をするレオン。


 すると、玉座の後ろのドアが開いた。そのこには国王レオニスの姿があった。そして、レオニス国王はゆっくりと玉座に向かって歩を進め、兵士たちの間を通ってゆく。その途中レオニス国王はレオンに一瞥をくれた。


 玉座に到着したレオニス国王は玉座の前に立ち玉座の間の端からゆっくりと視線を動かし、そして、兵士全員を見る。


「ここに魔女討伐隊を正式に任命する。そして、皆に今一度、問う」


 レオニス国王はスーッと息を吸い込んでから言った。

「魔女を討ち、この国の平和を取り戻す覚悟はあるか!」


「オーッ!!」

 大勢が一度に返事をして玉座に地鳴りのように響き渡っていった。


 レオニス国王は次にレオンの方へ視線をやった。

「レオン、アーサーから呪いの話は聞いた。くれぐれも自分の命を落とさぬよう足手まといだけにはなるなよ」


 レオンは少し丸まっていた背筋をピンと伸ばした。

「はい!」


 次に発言したのは最前列に並ぶアーサーだった。

「レオニス国王、これ以上魔女の手がこの国に及ばぬように我々は全力を尽くして参ります」


「うむ」


 そして、アーサーはレオニス国王の隣に立って、手に持っていた紙を広げて兵士たちに見えるようにした。この紙はこの国周辺の地図だった。


「今後の遠征ルートをここで発表する」

 地図はこのように書いてある。


 まず、中心にレオニス国王たちのフォンツ王国。そのすぐ南に隣国のフーリ王国そして、さらにその南がヴェルヘルム王国。

 そして、フォンツ王国の南西には隣国のメロディア王国、そしてメロディア王国の南はルべリア王国。そして、ルベリア王国の東南にヴェルヘルム王国。


 アーサーは地図を指でなぞりながら言う。

「魔女がいるヴェルヘルム王国には迂回ルートであるメロディア王国→ルべリア王国→ヴェルヘルム王国の順で行く」


「異論はないな」とレオニス国王は言った。


 魔女が住むヴェルヘルム王国までは最短距離でフォンツ王国の真南に位置するフーリ王国→ヴェルヘルム王国の順で行けるが、フーリ王国の国王は魔女と友好関係にありフォンツ王国から討伐隊が来ようものなら完全に情報は筒抜けになり、魔女たちが優勢に戦いを進めてしまう可能性が考えられる。よって、あえて迂回ルートであるメロディア王国→ルべリア王国→ヴェルヘルム王国の順で進むことによって魔女に気づかれずに奇襲をかけられるという計画である。


「迂回ルートで進むことはこの場にいる魔女討伐隊とレオニス国王以外知らない。もちろんこのことは他言無用だ」

 アーサーは続けて言った。

「では今日は物資を再び整えて出発は明朝にする。いいな?」


「ハッ!」

 総勢三十名が同時に返事をし、玉座の間はまたピリッとした空気に変わった。


「では、解散!」

 アーサーのその言葉を受けて後ろの列から順に兵士たちは玉座の間から退出していった。


 その際、タブ爺がレオンに小さな声で囁くように言った。

「レオン王子、どうじゃ旅の前にサリヴァンのところで一杯やらぬか? 緊張がほぐれるぞい」


 少し考えてからレオンは返事をする。

「ありがとう、タブ爺。行こっか」


 タブ爺はレオンがそう言うととても嬉しそうに笑ってシワだらけの顔をさらにシワくちゃにしていた。


「実はサリヴァンにはすでに伝書鳩を飛ばしていてレオン王子と旅の前にお前のところに寄ると伝えてあるのじゃよ」

「タブ爺とサリヴァンさんは伝書鳩で連絡を取り合ってるの?」

 レオンは驚いた様子だった。しかし、タブ爺は当然のことのように言った。

「ああそうじゃよ、ワシとサリヴァンはよく昔、国の任務でさまざまな国を旅した仲じゃからな。だから、あんな国境付近にある誰もいないような場所にあるサリヴァンのバーも知ってるんじゃよ」


「タブ爺が昔いろんなところに旅してたのは知ってたけどサリヴァンさんも一緒だったなんて知らなかったな」


 レオンはこのことに気づいてから次にあることが気になった。サリヴァンさんって一体何歳なんだろう? と、しかし、女性の年齢を聞くのは野暮だと思い、喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。


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