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Sに生きる  作者: 咲耶
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何も無い海底から海と同じ色の空が見たくて顔を出したのは何度もある。


でも同じ青だけれど違う青、晴れた日にはよく顔を出してその青さを目を見開いて楽しんだ。


だから私はいつも通り、晴れていたから空を見ようとした。




けれどその日は違った。


自らの意思で浮上する、でも違う方向に無理やり引っ張られる感覚。


離れようにも離してもらえない、気づけば大好きな青は見えたけれど私は陸に打ち上げられた。


目の前には何人かの人間、逃げなきゃ、と思っても体は上手く動かなかった。


自慢の髪や鰭を引っ張られて動きは止まる、それでも海に戻らなきゃと目の前の水に手を伸ばした。


その時脇腹を強く蹴られて横に転がってしまった、そして肩から腹にかけて激痛が走った。


まともに声すら出なかったのだ。


体から真っ赤な液体を溢れさせて、傷口を抑えながら目くらましの術を使い、人間の視界を一時的に制限した。


その隙に海に飛び込んだ。


後は何も知らない。








「いたっ…」


目を開ければ見たことの無い空、顔にかかった髪が擽ったくてどけようと手を伸ばせば心当たりのある場所が酷く痛んだ。


寝起きの声はやけに掠れてか細い、我ながら情けない声だと思う。


体を起こしてみようにも貼り付けられたかのように微塵も動かせなかった、寝返りを打とうにもほんの少し動かそうと試みるだけで傷が五月蝿く痛みを与えてくる。


───参ったな。


思わずため息がこぼれた。


滅多に怪我なんてしないせいかこうした外傷は慣れていない。


大人しくしようにもどうやって助かったのか、そもそも今は人間に捕えられてしまったのか、気になることはたくさんある。


誰か来て欲しいと思いつつも誰も来なければいいのにと思う。


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