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アンラッキーヒーロー39
「オッサン、死んじゃやだ。そんなのナシだろ……」
日凪の背中から、流れるように出血していた。宮部は生まれて初めて、こんなに大量の血を見た。
「ナメんな。死にゃしねえよ。このくらいの血じゃあな……
ちと疲れた。救急隊員に良い病院に連れてってくれと言ってくれ。ちと寝させてもらうわ……」
日凪はそう言って、満足そうに目を瞑った。
「……オッサン?」
宮部は日凪の体を揺さぶった。
「オッサン…ふざけんなよ!」
宮部は激昂した。
「他人が死ぬの散々っぱら邪魔しといて、てめえは安らかにオネンネとか、ナメてんのにも程があるだろ!」
宮部が怒鳴っている間に、廃工場は警察官と救急隊員で満杯になっていた。
救助された女性が、涙ながらに警察官に説明した。
「あた…あたしの代わりに…この人が…刺されて…えぐ……」
女性の涙を見て、宮部は余計に腹が立った。
「ゴラア!あんたが死んだら、この人のせいみたいになるじゃねえか!いいか、あんたには言いたいことが山ほどあるんだよ!」
宮部は日凪の胸座を、細い腕で力一杯掴んでいた。
「ありがとう…とかよ……」




