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アンラッキーヒーロー34
日凪も意地が悪い。
半ば確信があるからこその言葉に、男たちは激昂した。
「黙れ馬鹿野郎!下手に出てりゃ調子に乗りやがって!」
狂信者は簡単に怒りのタガが外れた。日凪に近寄り、胸座を掴んで殴りかかった。が、日凪も警察官の端くれである。胸座を掴んだ手を引き込み、払い腰でぶん投げた。
コンクリートの床に叩きつけられた痛みに唸る狂信者を見下ろして、日凪は得意げに微笑みながらも、せめて起き上がる手くらいは貸してやろうと手を伸ばした。
その背中にぶつかるような感触があった。もう一人が憤って殴りかかってきたものだと、日凪はそう思った。後ろからぶん殴るなんて卑怯な奴だと、最初はそう思った。
衝撃を受けた背中をさすった手が、真っ赤な血に染まっているのを目にするまでは。
「カスが調子こくからだ。ざまあみろ」
血染めのナイフを手にした狂信者は、鼻でせせら笑った。そして、うずくまった日凪の脇腹を蹴飛ばして転がした。
「オッサン!!」
宮部はつい声を上げて、車の陰を捨てて姿を現した。臆病者の彼は、自らの身の安全を最優先に行動していたはずだった。なのに、いつの間にか身を危険に晒していた。




