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アンラッキーヒーロー28
どこの誰が何のためにこんな凶行に及んだのか、宮部には興味すらなかった。宮部のすべきことは、二本・三本と投げ込まれる瓶から身を護ることと、ズボンに火がついた山倉を助けることだった。
上着を脱いで山倉の足をはたいてどうにか消した頃には、宮部の通った店は火の海に沈んでいた。もう彼にやれることは、たった一人、山倉に肩を貸して店から出ることだけだった。
これは宮部にとって、思い出すだけで辛いトラウマだった。この事件が彼を引き籠もりに落とした決定的な事件だったと言って良い。
これは、いわゆるPTSD(心的外傷後ストレス障害)とは別のものだった。勿論のこと火事に巻き込まれたのはとてつもなく恐ろしいことだったが、外界との接触を永遠に断つと心に決めてしまうほどのことではなかった。
この火事は宮部が起こしたものだと思い込んでいたからだ。
自分さえあの店に行かなければ、火事など起こらなかった。自分なんかと友達でさえいなければ、山倉は大火傷を負わずに済んだのに……
そのように思っていた。




