39話
どれぐらい横になっていただろう。ドタドタと音が聞こえる。朝、横になったからまだ余裕があるはずなんだけど周りがうるさいので、目が覚めた。
「うーん。何事?」
「ミール起きたかい。今大変な事が起きていてね。あんたをこの町から出せなくなった。」
「女将さんどう言う事ですか?」
「それは私からご連絡させていただきます。」
そういうと女エルフの部隊長がグイッと前に出てきてそういうと。女将さんとアイコンタクトをしてから語り出す。
「それが領都から冒険者と騎士団の混合部隊が先程到着し、誰かを探しているみたいでございます。私たちはその探されている方が主だと思い、この町の総力を上げてしらぬ存ぜぬを通しております。」
うーん。困るんだよな。
「下手に誤魔化そうとすると逆にバレるんじゃ。」
「はい。なので誤魔化しておりません。私たちは、冒険者のミール様は知っておりますが、ミール・ランドリー様はお会いしたことがないのでわからないです。」
そう言って女エルフは、ウィンクを決めて部屋を出ていく。それを見て女将さんが私の隣に来るとはぁーと一息ついてから私に近づき
「全くこの町の奴らは本当にあんたの事が好きなんだろうね、じゃないとあの一体感が出せないよ。見せてやりたいよエルフと人間が本当に誰かを守るために演技をしてバレそうになると庇い合うあの姿。今までじゃ考えられないね。」
「女将さん、その軍隊の人ってやっぱり……」
「間違いなくあんたを探してるよ。」
「じゃあ今すぐにこの町を出ます。リードを呼んでください。」
私がそういうと女将さんはハァ〜と一息吐いてから首を振り私の目を覗き込みながら
「いいかいミール。バカな事を言うんじゃないよ。それにあんたがそういうと思ってリードや他のエルフや人、部隊長達達と少しだけ話してこの騒ぎが終わるまでここから出さないことに決めた。今回は私が監視役だからあんたには残念なお知らせだが。」
「なら今は大人しくしておきますが、それでもみんなは大丈夫なのでしょうか?それが心配で。」
「大丈夫だ。今のところ被害どころか何もされてない。ここだけの話だが、時期が最高にいい。この町の連中以外、内乱が終わった事としかも被害が町の建物だけで、エルフと人には死者がでなかった事は、知られてない。
だからいざとなったら一戦するつもりみたいだよ。」
「そ、そんなのダメですよ。」
「いざって時だけだよ。多分そんなことになる前にあきらめると思うけどな。」
そう言って笑う女将さん。そんな悠長な事を言ってられないんだけど。私のフルネームをエルフの部隊長が言ってたから探させてるのは、お父様なのだろうが、いきなりなんの用なんだろう。もしかして、お料理の件を知ってしまったからか。もしくはいい婚姻相手がみつかったから引き戻したいとか。なんかいろいろ考えられるな。それにどの考えにしろ碌な事にならないし、なにより私の為にならないからな、絶対捕まらない様にしないと。気合いを入れ直して女将さんに向き直る。
「女将さん。みんなの力をお借りして私もここで見つからない様に過ごします。」
「それが一番いい判断だろうね。そしたらこれからの事なんだが、あんたはここで待っていてくれ、これが第一。」
「そうですよね。」
「第二にこの宿の中であれば何をしてても構わないがここから外に行くのは禁止だ。」
「それじゃ、逃げる時はどうすればいいですか?」
「それが第三だ。もしバレてしまった場合、私が命懸けで護りながら部隊長達に連絡をし、リードに変装魔法かけてもらい一緒に逃げる。そしてあんたは王都に、リードは途中で戻ってくる。こう言う手筈になっている。」
「そ、そんなこの町の方々にそんな風に動いてもらうなんて……」
「これはあんたが寝てる間にみんなで適当に話していた時に決まったことさ。まさか本当にそうなるとは思っていなかったけどね。」
私はかなり嬉しかった反面悲しくなった。そんなつもりでこの町の事に関わった訳では無いしただ自分が正しいと思ってこう言う行動に出たのでそれが間違っていた気分にもなっていたが。
「あんた変なこと考えてる訳じゃ無いだろうね。」
「そんな事何ですよ。」
「そんな落ち込んでいる様な顔で何言ってんだい。大体検討はつくけどね。それは私たちからの感謝なんだ。そこはありがとうって受け取ってもらいたいね。」
「でも、いろんな方の命と引き換えになんて……」
「なんだ、そんな事か。簡単な事だ、この町であんたがした事がそれだけの価値があったって事だ。あんたがそれこそ気にする様な事では無いよ。」
そう言ってニコッと笑ったかと思うと私の頭をぐちゃぐちゃに撫でてくれた。その撫で方は不気味ではあったがなんだか気持ちが落ち着く様でくすぐったかったが、(ドーン)と言う音が外から聞こえて来た。これはもしかしたら第三の選択が選ばれるかもしれない。
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