35話
「女将さんの言うとおり私だけでは決められない、けど今回の件をこのままという訳には、いかないという意見もわかります。ですので、皆さんで決めませんか?」
私がそう言うと、みんなポカーンとして何を言ってるのかわからないと言うような顔をしている。それを見て私もポカーンとしていたが、
代表して女将さんが
「ミール。何を言っているんだい。そんな風に決めるって言うのは聞いたことがない。大体は権力者が決めるもんだろう。」
「だからこそです。今この町に権力者はいないですよね。」
「いや、今この町ではあんたが1番の権力を持っているだろう。」
女将さんの言葉に納得しているようにみんな頷いている。
「では、その権力を使わせてもらいます。これから大事な話は一人で決めるのではなくみんなで話し合って決めましょう。」
「そうしたら色々と決めることが遅れないかい?」
と町の人が聞いてきたので、
「急を要するものでなければその日に決めなくても大丈夫だと思います。それに一人で決めちゃうとその人を止める事が出来ず、今回の件の発端になった出来事をまた繰り返してしまいます。」
そう言うと今度はエルフの方が
「でもよ。数が多い方が相手の言い分を打ち負かせるんじゃないか?」
かなり警戒しながもそう問いかけてきた。
「それでも、他の意見があったと言うことを知ることができます。綺麗事かもしれませんが、少しずつ皆さんが作りたい町っていうのを教え合っていくのがいいんじゃないでしょうか。
ですが今回あくまでも権力者が決めていいとなったら私はこのような方法を取りたいと思ってます。」
そう言うとラードが
「でもよ。どうやってまとめるんだ?この町への思いなんてみんな同じ部分と違う部分が絶対あるからそれを聞いてたらそれこそめちゃくちゃになりそうだけどな。」
神妙な顔で鋭いことを言ってきたので、
「そうなんだよ。本来ならエルフの代表と人の代表がそれぞれの意見をまとめてから話し合いこの町をよくしていくのが本来の形なんだと思うけど。この町の方々は、耳が痛い話だと思うけど、発端の日を境にエルフは諦めて、人々は見てないふりをし始めたのが今日という日を迎えてしまったって事だよ。」
と言い終わったところで、ラードがニヤニヤしていることに気づいた。ってことはまさか!!
「ミール。またこの話を町中に聞こえるように魔法で大きくさせてもらったぜ。やっぱり変な打ち合わせするより今、この町が変わりそうな所でその中心地で行われていることを伝えた方がいいだろう。人の軍のおっちゃんと、エルフの軍のお姉ちゃんもそう言ってたから、本当に咄嗟に魔法を使えてよかったぜ。」
なに、ひと仕事した〜!!みたいな雰囲気を出してるの。本当に恥ずかしい。しかし周りの反応は違っていた。
「さすが主!!いうことが違うな!!」
「本当にそう思う!!主!!抱っこさせて!!」
おいおい!!なんでそんなに君らは単純なんだよ。
「そうだよな。嫌なら嫌と伝えればよかっただけなんだよな。前の戦争に負けたからと言って、先祖がそうしてたからと言って限界まで耐えてたのがいけなかった。今更ながら気づくとはワシも落ちたものよ。」
えーとなんで捕まってるエルフが悟りを開いたようなこと言ってるの?そう思っていると
「本当にそうだ。前任者から受け継いだとはいえ、この町の深い部分まで知ろうとしなかった私も悪い。それでだ、お嬢ちゃん。私らをどうするつもりなんだ?」
だからどうもこうもないって。それはみんなで決めてもらうしかない。初めてのことだからみんな戸惑うだろうけど。きっと大丈夫。最初だけだから大変なのは。そう他人事のように考えていたのがダメでした。
「ミール。それでどうするつもりなんだい。」
女将さんが厳しい顔でそう聞いてきたので、さっそくやってみるか。
「おふたりにお聞きしたいんですけど、今回のこの件については、素直にどう思われますか?」
私としては別に答えは、なんでもいいのだが。
縄をかけられた二人は真剣な眼差しで
「「我等二人に話を聞いてくださるとは本当にありがたい。」」
そう言って二人でアイコンタクトをしたかと思えば、エルフの方から話し始めた。
「我等エルフ族は耐えて生きてきた。それでこの状況をひっくり返す方法があれしか思い浮かばず。みんなを巻き込んでしまった。本当に申し訳ない。それと今回の戦いでけがをされた、方々には本当に申し訳ない。」そう言ってふかぶかと頭をさげた。
人の方も冒頭が違うだけで、ほぼ同じことを言っている。まぁ基本的にこうなるんだけどな。
さてっとここからだな。
「えっと、二人とも反省しているみたいですが、このまま牢屋に入れた方がいいと思いますか?それとも反省を認めて縄をほどきますか?今皆さん一度座ってください。自分の判断でどちらか決めた方に立ってください。」
ここで私は一度区切り
「牢屋に入れた方がいいと思う方」
見渡すと誰も立っていない。
「縄をほどいてもいいと思う方」
ザッと音をしながら全員立つ。
ここまで来てようやくやり方を教えながら自分たちで決めたかな。
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