33話
そんなこんなしているうちに料理を食べた方々の働きで宿だけだとスペースが足りなくなってきた。
「うーん。まずいね。このペースで行くとこっちの場所がうまっちまう。どうしようか。」
「意外とみんな言うところ探してるからな。
エルフも人間も。」
「そうなんだって今になって気づくとはね。」
「俺もさっきみんなを見て気づいた。しかも今回はミールのおかげで一致団結して、ことにあたれるからな。そして、あの料理食べた時からすげ〜体が動くし、集中できる。」
そういうとラードは、肩をぐるぐると回して体の調子がいいことをアピールしている。
「そうなんだよ。不思議なことに料理を食べたからスペースの問題にも気づけたもんさ。さて、どうやって解決しようかね。」
そう考えこむ女将さん。
「二人とも!!私ジャムをまた作ってくるね!!このままだと絶対足りないから。」
「そうだね。出来るだけたくさん頼むよ。
こっちのことは任せておいて。」
「ここの防衛の人数がかなり増えてるから場所の心配もしないで大丈夫だ。」
「わかった。あ、そうだ。私集中しちゃうからね。」
そういうとラードと、女将さんは信号機みたいに一気に顔色が変わって
「「邪魔しないし、させないようにします!!」」
と姿勢を正した。それがおかしかったので、クスクスと笑いながら
「よろしくお願いします。」
そう言って宿の中に入っていく。
「ふー。料理のことになるとミールは、恐ろしいな。」
「あぁ。あまり関わらない方がいいな。」
「でもよ。女将さんが言っていた通り、ここのスペースもどうにかしないといけないよな。」
「なら隣に頼ってよ。女将さん。」
「うん?あんたは、隣の店娘さん。」
さてと。一人になったことだし、ジャムを沢山作るとしますか。どれから作ろうかな。新作も試したいし。ここの町というか、この宿果物が多くて作りがいあるんだよね。外の事かなり気になるけど、ラードと女将さんに任せてあるし、二人ができなくてもあの周りの感じだと大丈夫だろうな。って言うか私がいた方が邪魔になるだろうしな。よしやるか!!どれぐらい経ってのだろう。外から日が差し込んでいる。
ジャムは、かなりできたし、一旦外に出てみるか。
「あれ?ここにいる方々の数が少なくなってるような。」
「ミール。料理終わったのかい。こっちは、この区画の人達が場所を貸してくれて、ここに くる奴らの振り分けをしてたところさ。」
「なるほど。でもどうしよう。このジャム、1種類づつまとめて作っちゃったから、小分けにしなきゃ。」
「それはしなくて大丈夫だ。配るのは、ここに来たみんなで手分けしてやる。」
「配るってどうやって。」
「もちろんパンに塗って、魔法で運びやすくしてから、各地に配る。」
まじか。ここでも魔法か〜本当に便利だな。
いいな〜。でも魔力なんてないからな手で運ぶか!!
「ミール。何やってんだ。」
「もちろん。私も一緒に運ぶからそのための準備運動だよ。ラード。」
「そんな事やらなくていいんだよ。って言うか、ミールが運ぶとこの辺に集まっている奴らが畏れ多いって言って断るのが目に見える。」
「そうなの!!それはかなり困る。受け取ってもらえないとそれだけでショック受けそう。」
肩をガクッと落とすと女将さんがそばに来て私の肩に手を当て
「ミールは、そうなるとかなり引きずりそうだな。だからここにいて報告を受ける役目をやってくれ。」
「そんな〜。いやですよ。だって、私が大将みたいじゃないですか。」
私がそう言って抗議すると。
「ミール。自覚ないだろうけど、あんたを見る他の奴ら聖女を見る感じだぞ。」
女将さんがそういうと。
「だってよ。ここの周りの人、エルフの部隊を演説だけでまとめ上げて、避難民の援助と怪我人の介抱を種族関係なくやらせて、さらにウマイもんまで食べさせてもらえるって、やってる事は、聖女そのものなんだよな。」
ラードは、私がやってる事実だけを並べてきた。
「だってさぁ。あの時は、私の思いを言うだけで精一杯だったから。それで聖女だなんて私には荷が重いよ。ただの王都に向かう女の子だよ。」
と私は、ラードと女将さんにそう言ったが、
二人は自分たちにはあまり関係ないと言わんばかりの態度で周りの方々に指示を出していた。
「うん。そうだ。なら二人は私を手助けする教皇様かな?」
そう呟くと二人はギョッと同じような顔をしてぎこちない首の動きをさせながらこっちを見てきた。
「お、おいミール今なんて言った?いや言わないでいい。」
「ラード。なんか言った?あ、間違えた、ラード教皇。」
「ミール!!言わないでくれ。さっきは悪かったから。」
そう言ってラードは恥ずかしがっていたが、
女将さんは
「うん。それでミールが聖女になるって言うなら。私は教皇だろうが、祭司だろうがなってやる。」
胸を張って、私に振り返してきた。
「ならないでください。私が困りますし、それに教会も困惑するでしょう。」
とアワアワしながら答えると
「冗談だよ。さて配ってこよう。」
と笑いながら魔法を使ってジャムを塗ったパンを配達する準備をしに行った。
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