30話
ガチャ。女将さんの元に戻ると
「ふぅ〜なんか一気に疲れた。」
「お疲れさん。私も見ていたがいい演説だった。」
「ありがとうございます。」
うん?演説?
「いや〜ミールがすごいいこと言ってたから思わず途中からだけど、魔法で声を大きくしてみんなに聞こえるようにしてやったぜ。」
ラードがものすごくいい笑顔でこちらにグーサインをしてる。それを見てかなりイラッとしてしまい、
「いや、ラード君そういうのはね、先にこうしますよって言っておくのが当たり前じゃないのかな。そうすれば言うセリフも事前に考えておくし、この町にいる人に……」
私がラードに怒っている時にコンコンと扉を叩く音が聞こえてきた。
「ミール。私が出てくるから。一旦落ち着きなね。」
「はい。すみません。」
はぁ〜。これからどうしようかなラードのせいで、悪目立ちしちゃったしな。
「いや〜面白かったぜ。そんなに顔を赤くして突っかかってくる人は初めてだからな。だけど人間がエルフに対してああいうことを言ってくれたのは嬉しかったから他のエルフにも聞いてほしくてよ。それに他の人間たちに対してもこういう奴もいるんだって知ってほしくてな。勝手にやったのは、悪かった。」
そう言って頭を下げるラードにそういう事情ならしょうがないか。とは思ったがそれでも恥ずかしかったので頬を膨らませながら、
「事情が事情だけに先に私に言ってね。」
「わかったよ。」
よしここでこの話はおしまい。あれ今気づいたんだけど、女将さん遅くない?どうしたんだろう。
「だからな!!お前らあいつの演説を聞いて感したのはすごく伝わったから。ちょっと待って!!」
今気づいたんだけど、女将さん誰かを止めてるみたい。
「ミール。俺が行くからここで待ってろ。多分だけど、ミールが行くともっと大変なことになるから俺か、女将さんが来ても大丈夫だと伝えてから出てこい。絶対だぞ。」
そう言ってラードは走っていった。なんだろう。ラードはかなり焦ってたけど、大丈夫なんだろうか。まぁ言われた通り待ってはいるんだけどね。
「あ〜。ラード来てくれたか。助かる。」
「女将さん大変そうだから来たけど。ってなんだこれ。」
「ミールの演説を聞いて集まった、人とエルフだ。しかも話を聞く感じ、その場にいた両陣営の兵隊が手を取り合って勝手にここを本部に決めたらしい。この隊の隊長はミールみたいだ。
隊長の名前も知らないのにあの演説だけで勝手に担ぎ上げて、宣伝までしているみたいだね。って、また連れてきた。」
「これミールにここにきてもらった方がいいか?」
「そうだね。来てもらって事情を説明して、判断してもらおう。こいつらもうミールを主と仰いでるからね。」
うーん。なんか外が騒がしい気がするけど、外に出るなって言われてるからな。なにしよっかな〜。そうだ、今まだ夜だからな。料理するにしても調理場をお借りできないしヒマだ〜。
「ラード。聞こえてる?聞こえてるなら女将さんをよんでほしいんだけど。」
大きい声で叫ぶと聞こえるかな。
しばらくすると、ドタドタと足音が鳴り
「私を呼んだかい?」
「はい。ヒマなので何か手伝えることないかな〜と思ってて。なんならこの部屋のキッチンをお借りしたいな〜と。」
「なんだい。そんなことか。全然構わないよ。」
「それで、さっきのお客さんはどうなりましたか?」
「それがね……複雑なことになってるんだよ。今ラードが対応してるんだが。その内にこの宿を話し合い通りに使うことになりそうだね。」
「なら計画通りじゃないですか!!」
「それは〜そうなんだけどね。ミールがあの状況を見るとね。また、慌てふためきそうだからね。」
そこまで言われると逆に見たくなるよね。だけどせっかく台所を借りたからどうせなら何か作ってから見に行こう。
「なら、そうします。ちょっと台所お借りしま〜す。」
わたしはそう言って台所をお借りして食材を選ぶために真剣に物を見ていく。
「ミール!!ごめんやっ……」
「うん?どうしたの?」
ラードが呼んだのが聞こえたので返事をし、そちらの方に顔を向けると、顔を青くしているのが見えた。やっべ、あの紫のオーラみないなのが出てるのかも。
「ラード、ごめん集中するとこういう感じになるから気にしないで。」
「あぁ、わかったぜ。」
「それでどんな用事?」
「いや、ミールがやりたい事終わってからでも大丈夫だ。邪魔して悪かったな。」
「そうなんだ。わかった。」
顔中を汗ダラダラにしつつ言葉を震わしながらの話を、切り上げて逃げるようしてまた外に戻って行った。なんだったんだろう。そういえばいい果物を見つけたから簡単に出来るあれにしよう。そうと決まれば準備に取り掛からなきゃ。またいつ、女将さんもしくはラードが来るのかわからないからさっさと作っちゃお。特レシピ問題にはきをつけなくちゃ。前の村の方では問題なかったけど、領都では、ギルド絡みで面倒になったからもうあんなことには関わりたくないしね。
そう心に決めて私は準備をし始める。
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