9 貴族の中で
小鳥族が、いまだ幅をきかせている
この国の社交界。
ウィリアム様がシャーロット様を選ばれた
ことは、この国の食のあり方を変えつつあるようだけど、まだまだシャーロット様への妬みがあったようで…
『高位貴族による夜会のお誘い』という
今までは、なかった会へのお誘いが届いた。
シャーロット様は、元伯爵令嬢だが、
未来の筆頭公爵夫人として今後、貴族女性を
まとめる立場になられるのだ…
「無理…ですわ…」
シャーロット様は、震えが止まらず、
青ざめてしまった。
ウィリアム様は、そんな様子に胸を痛め、
「シャーロットは、そこに居るだけでいい。
社交など…回りが勝手にやる事だ」
と、シャーロット様を優しく慰め、夜会への準備を
念入りに指示した。
最高の生地を使った、最高のドレス。
見たこともない高価な宝石
それらは、どれもが奥ゆかしく上品に
シャーロット様を引き立てたのだ。
夜会に、専属侍女としてついて行く事になった
アリーナ。
(シャーロット様…一見、大人しい装いに
見えますが…大丈夫でしょうか…)
目立つ事を避けたのかと、思っていたアリーナ。
しかし。キンキン、キラキラの夜会で、
深みのある薄紫のドレスは、逆に目を引いた。
超細身の女性が着ると、貧相にみえる為
この色はこの国の社交界で見ることはなかった。
その日集まった貴族女性は、超細身の美女達が、
派手派手しい色のドレスと、目立つ宝石を褒め合
い、仲良く信仰を深めている様子。
元伯爵令嬢である、シャーロット様を
多少、下にみるような態度もチラホラ…
(シャーロット様も大変ですわ…)
アリーナはその先の苦労を思った。
しかし、シャーロット様は、その分かりやすい
社交に、「まあ…見たこともない素敵な宝石…」
と、思ったことを素直に、次々と褒めまくったのだ。
そう、ろくに社交に参加していなかった
シャーロットは、お世辞でなく本物の
驚きと、称賛を次々と口にしたのだ。
どこからどう見ても、シャーロットが
発する言葉は本心…
公爵夫人に褒められ、ご機嫌になる貴族女性達。
「シャーロット様は、とても純粋である」
それが、この日のシャーロット様の評判。
そしてこの日、一番高位であるはずの
シャーロット様が
一見控えめを装いつつ、纏った衣装の素晴らしさに
気付く者が現れる…
「シャーロット様、もしかしてそのドレス…
その価値をご存知ですのね…さすがですわ。
そ、それにその宝石は…!」
ひとりの夫人が言った。
キョトン。としているシャーロット様。
そこでウィリアム様が一言
「…当たり前だ。
私の愛する人に、最高のものを贈るのが
私の幸せだからな…」
その後、シャーロット様の本日の装いを
拝見しようと、貴族が取り囲み称賛する。
この国最高の美丈夫、ウィリアム様が
唯一、愛された奥様。
それを貴族は皆、知ってる。
結局、シャーロット様の回りには
その日一番、人が集まっていた。
そして
シャーロット様は、ウィリアム様の隣で
微笑むだけで、この夜の社交が成立したのだった。
サイドストーリーのお付き合い
ありがとございました。




