↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/18

16話 障害物競走

 学年種目が終わると、次は一年生の障害物競走に移る。


 この学校の空気感をより知るためとして、毎年、一年生だけが行う種目だ。


 二人一組になり、様々な障害物をかいくぐりながら、グラウンドを一周する。リレー形式だ。


 ただ、問題なのは、


「めい、一緒に頑張ろう」


 ペアが渚なんだよなぁ……。


「不満そうだね。男女別でなければいけないなんて、誰も言っていなかったじゃないか」


 確かにそうだけど、ねぇ?


「いいな。私も渚とペアが良かった」


 山葵よ、譲って差し上げよう。


「えっ、私、嫌ですか?」


 山葵のペアは音波なのか。身長も同じぐらいで、かなりやりやすそう。


「ううん、音波ちゃんと一緒で良かったよ」


「そうだ。それにこの文化祭の目的は、新しい仲間との親睦を深めることでもあるだろう? だから、男女のペアができても、咎められないわけだ」


 今更仕方ないか。


「はぁ。一番手は誰だっけか」


 気持ちを切り替えるため、話題を変えた。


「高橋と井上だったよね」


 優希と井上琢磨《いのうえたくま》か。結構早いんじゃないか?


 話しながら待っていると、競技が始まった。


 最初は大玉ころがし。


 2mほどの大きな玉を二人で協力して運ぶ。


 定番ながらも、腕の出る競技だ。


 次にサッカードリブル。パスを繰り返しながら進んでいく。


 あの二人、結構早いぞ。b組が一位だが、僅差で食らいついている。


 待ち受けるのはクイズ。


 大きなテーブルの上に、問題文が書かれたカードがいくつか並べられており、それを選んで回答することで、次のエリアに進むことができる。


 ただ、自分たちより前の選手達が答えたクイズは消費されてしまうので、後ろの人になるほど難易度が高くなる。


 独特なルールだが、最初の方は影響が少ない。


 どのチームも、そこまで時間を取られずに進んだ。


 次はミノムシ競争。


 二人で麻縄に入って跳びながら進む。


 練習のときはかなり転倒したので、心配な競技である。


 だが、誰も転倒せず、スムーズに進んでいった。


 そして、けん玉。


 大皿に乗せるだけの簡単なお仕事だが、これが案外苦戦する。


 上手いやつは上手いけど、下手なやつは結構詰まるのだ。


 二人同時に乗せなければならないルールも厳しい。


 b組はこれで詰まっているようだ。なかなか技が成功しない。


 高橋と井上はすぐに技を決め、最後の種目に突入する。


 ハードル走だ。


 最後はとてもシンプルな障害だ。


 つまり、差をつけるにはここ以外の競技で頑張るしか無いと。


 けん玉が終われば、ほぼ勝敗は決まったも同然なのだ。恐ろしい競技である。


 優希と琢磨は一番に戻ってきた。


 声援があがり、ようやく盛り上がってくる。



 ◇◆◆◆◇



「いやぁ、ようやくだね」


「ああ。ついにって感じだな」


 次は俺と渚の番だ。前走者からタスキを受け取り、走り出す。


 事前に渚がタスキをつけると決めていたので、受け取ったタスキを渚に渡す。


 余談だが、タスキにはクラスの色がついており、a組は赤、b組は青、c組は黄色だ。おそらく、三原色から取ったものだろう。


 黄色のタスキを着けた渚が俺より少し前を走る。


 大玉ころがしにたどり着いた。


 すぐに転がしていって、サッカードリブルに進む。


「意外と楽しいだろう?」


「そんなことを聞いてきたのが意外だよ」


 パスを取りこぼすことはなく、順調に前へ征く。


 そしてクイズだ。俺達は後半の方の順番なので、あまり容易な問題は残っていない。


 が、見つけた、俺の知っている問題。


『アメリカの最高峰、デナリ(マッキンリー山)の標高は?』


 カードを持って、エリア担当に伝える。母から聞いた、その数字を。


「6190m」


「正解!」


 また、走り始める。


「よく知っていたね。あえて難しいものを行くとは」


「わかるものがあったのかよ。後続が楽な方がいいだろ?」


「そうだね。次も集中しよう」


 ミノムシ競争である。


 二人で麻袋に入るのだが、俺が前で渚が後ろだ。


 あまり慣れていないので、「せーのっ」と合図を出しながら進む。


「狭くないか?」


「私が太っているとでも言うつもりか? 失礼だね」


「いや違くて。狭いと思っていないならいいんだけど」


 麻袋に二人で入ると案外狭く、渚の身体が密着しているように感じる。そして多少蒸し暑い。


 気にしていないのならいいのだが……。


 やっと麻紐ゾーンが終わる。転倒せずに進めて良かった。


 けん玉かぁ。一発で成功すればいいが。


 一回目。渚はできると言っていたから、俺のタイミングで行う。


 あ。玉が大皿から落ちてしまった。もう一回だ。


 また落ちた。焦ってはいけないと思いつつも、早く動きたいと考えてしまう。


「落ち着け。次の一回で決めろ」


 うーん。厳しいお言葉。


 だが。それでいい。


 三回目でようやく、見事に成功させられた。渚は当たり前のように成功しているな。


 最後にハードルを飛び越え、走り抜ける。


 かなり疲れたな。


 列に戻る前に、渚が一言。


「君と走れて楽しかったよ」


「そりゃあ良かった」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。