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第7話「駆け出しの冒険者たち」

開けた場所へ着くと、ナリアはどこか落ち着かない様子で辺りを見回した。


「ほんとにここでやるの?」


「逆に街の中でやったら怒られるでしょ」


「それはそうなんだけど……」


ナリアが困ったように杖を握り直す。


その様子を見ていると、なんだか昔テスト前に友達へ勉強を教えていた時のことを思い出した。


……まあ、教える側だった経験なんてほとんどないけど。


「とりあえず魔力を集める感覚は分かる?」


「うーん……なんとなく?」


「絶対分かってないやつだそれ」


「だって見えないじゃん!」


言われてみれば当然だ。私は女神様にスキルや知識をある程度最初から貰っているから出来たけど、いきなり目に見えないものを感じてみろというのは無理がある


とはいえじゃあどうするかまずは魔力が感じ取りやすい状態にしてコツを掴んでもらおう。


「そうだなーじゃあナリア、手出して」


「いいけど、はい」


そうして差し出されたナリアの手を取ってその中に魔力を流すの。その後体を通して反対側の腕を通して再び私まで循環させる


「どう?今ならわかるんじゃない?」


「うん、今流れてるあったかいのが魔力、なんだね?」


成功したみたいだ。そうしたらそのままもっと体の全身に散らせ、最初に流してたものからだんだん流す魔力量を減らしていく。


「どう?まだ魔力を追えてる?」


「うん色んなところに動いて行ったけどまだわかるよ。左の太ももあたり、だよね?」


「うん正解。だけど気づいてるかな?これ最初のに比べて1/10以下の量しか流してないんだよ」


「えっうそ...たしかに言われたら最初より小さいかも。強さがそんなに変わらなかったから気づかなかったな」


この言葉がほんとなら成功かな


「それは多分最初よりナリアが魔力を感じるのが上手くなったからだよ。今なら自分の魔力もわかるんじゃない?」


これが出来れば大成功。仮にできなくてもそろそろってところだろう


「私の魔力...いままで普通に会ったから分かりづらいけど、胸のところがちょっとあったかい、かも?」


「そう!正解。ナリア結構筋いいよ!これならすぐ使えるようになるかな」


実際魔力が感じれれば魔法なんてすぐだ


「じゃあ次はその魔力を動かしてみよっか」


「えぇ場所はわかったけど動かすなんてやり方知らないよ?」


そう言ってナリアの表情は固くなる


「まー魔力の操作ってイメージが基本だから。その胸に感じた魔力の一部をちぎって自分の手に持ってきてみな?」


「うん、やってみるね...」


そう不安そうに言うが魔力の移動自体はスムーズだった。普段左胸の位置に留まっているナリアの魔力が線を引くようにスッと右手まで送られた。


「なんだ、不安そうにしてたのにちゃんとできるじゃん。欲を言えば今は引き伸ばしてる感じで手から胸まで繋がってる分がロスだからそこを無くせたら完璧かな」


「ちぎるって言うのが難しいんだよね」


「動かすこと自体は出来てるからあとは簡単だよ?やってれば自然と上達するから。あとはどうしたいっていう意識を持ったら早いかな?」


なんにせよ、魔法を使うことの下準備はあっさりクリアだ


「あとはもう使うだけなんだけど...あ、その魔力一旦戻していいよ」


「はーい」


そう言うとナリアは多少ロスになるはあるものの大体は元の位置に魔力を戻した


「魔力操作はばっちりだね」


そう言いつつナリアのことを【鑑定】するとスキルに魔力感知Lv1と魔力操作Lv2があった。


大体の人は感知の方がレベルが高いか同じなのに逆なのは性格に反して天才型なんだろうか


「じゃあそろそろ本番だね。魔法を使ってみる段階なんだけど、まずはイメージってことで実際に見てもらいましょう」


言いながら火、水、土、風、雷の魔法を球状にして空中で留める


「この中からイメージしやすいのでいいよ。手に魔力を持ってきてそれを変換してみて?」


「うんやってみる」


ナリアの手に魔力が集まり属性となって出てきたのは


水だった


「なるほど水かー。使い道が多くていい属性だね」


ナリアの住んでるエルシェイドから交流があるという港町に行ったことがあるのか、この森の川などで身近なのか、どちらにせよナリアの生活からイメージしやすかったのだろう


「他のも出来そう?ちょっと試してみな」


水の球を純粋な魔力に戻して...霧散した


手に魔力を再び持っていき何度か試すも一度も形にはならなかった


「だめだ水以外は出来ないみたい」


「水以外はあんまり身近じゃないからなのかな?特に風なんかはイメージもしにくいだろうしね」


私は火も電気もどういうものなのかを知っているから簡単だが、この世界の科学的な文明ではそこに追いついていなかったりするんだろうか


「まあ私と一緒にいたら多分イメージつくようになるよ。魔法はいっぱい使うし」


「できるかなぁ」


まずいな、自信を無くしてしまっただろうか。イメージが重要な魔法では「できない」と思うとほんとに出来なくなってしまう


「きっとできるよ。水なら一発で出来たんだから物が分かればすぐできるようになるって!それより今は水魔法をいろんなふうに使ってみよ?」


「いろんなふうにって、例えば?」


「そうだなぁ……まずは形を変える練習かな。水ってそのままだと流れちゃうから、逆に操作の感覚を掴みやすいんだよね」


そう言いながら、私は空中に浮かべていた水球を細長く伸ばす。

槍のように尖らせたかと思えば、今度は輪っか状に変形させ、そのままくるくると回転させた。


「わぁ……すご」


ナリアが目を輝かせる。


「攻撃だけじゃなくて、飲み水にしたり、汚れを落としたり、霧にして視界を遮ったりもできるしね。水属性ってかなり便利なんだよ」


「へぇ……」


「だからまずは小さくてもいいから形を維持してみよっか。大きさはこのくらいでいいよ」


私は指先ほどの小さな水球を作って見せる。


「こんなの簡単そうに見えるんだけどなぁ……」


ナリアも真似するように右手を前に出す。

すると手のひらの上に小さな水滴が現れた。だが、次の瞬間には形を保てずにぱしゃっと落ちる。


「あっ……」


「いや今のかなりよかったよ?ちゃんと属性変換まではできてるし」


「ほんと?」


「うん。魔法って最初は“出せる”だけでも十分すごいからね」


実際、初めてでここまでできるのはかなり優秀だ。

普通なら属性変換の段階で何日も詰まることもある。


「もう一回やってみる!」


さっきよりも真剣な表情でナリアが魔力を練る。

胸元から右手へ流れた魔力が、水へと変換されていく。


今度はさっきより少し大きい。


「そのまま、そのまま……形を固定するイメージ」


「ぅ……っ」


水球がぷるぷると震える。

崩れそうになりながらも、数秒ほど空中に留まり――


「できたっ!」


「おー、成功成功」


思わず拍手すると、ナリアは少し照れたように笑った。

だが集中が切れた瞬間、水球は崩れて地面へ落ちる。


「……難しいね魔法って」


「まあね。でもナリア才能あるよ。正直こんな早いと思わなかったし」


「えへへ……」


褒められて機嫌が良くなったのか、ナリアはさっきより楽しそうにもう一度水球を作り始める。


その様子を見ながら、私はふと考える。


魔法はイメージの力が大きい。

つまり知識があるほど応用が利く。


もし前世の知識をうまく使えば、この世界の魔法体系そのものを変えられるかもしれない。


……まあ、今はそんな大層なことより。


「ほらナリア、今度は動かしてみよっか」


まずはこの世界で初めて出来た友達との時間を楽しむ方が先だろう。


変形させた水を飛ばしたり遠くで留めたり、色んな使い方を試して練習する


しばらくはそうしていたが1時間ほど経ち...


----


「魔力が濃い...?」


森の奥からさっきまでは無かった大きな魔力が近づいてくる。まだ距離はあるがここに着くまでそう時間はかからないだろう


「どうしたの?エレシアちゃん」


「ごめんちょっと森の奥から大きな魔力が近づいてくるから確認してくるね。5分もしたら戻ると思う」


すぐに魔力のある方へ駆け出していくと4人の冒険者パーティが走ってきた。男女2人ずつのそのパーティを後ろをよく見るとモンスターの群れが種類を問わず大軍で追いかけている


前の世界のゲームで言うところのトレインのような状態だ


「そこの冒険者さーん!この先に開けた場所があるからその前に布陣して!私が一旦介入する」


「おいガキバカか!モンスターの群れだぞお前も逃げろ!」


「そうは言ってもこのまま街まで行けば中にまで被害が出ます。その前に振り切るか倒すかしないと」


言い終わる前に飛び出して先頭のコボルトを短剣で切り捨て、振り返りざまに後続のゴブリンを切り裂き、その勢いのまま距離を取る。


突然の乱入に、先頭を走っていたゴブリンたちが足を止める。


普通の魔物なら、そのまま突っ込んでくるはずなのに。


「統率がとれてる...?」


普通なら味方の死体を踏みながらでも馬鹿正直に追いかける程度しかこいつらには知能がない。それに別の種類が手を組んで人を襲うか?


幸い最前列はゴブリンやコボルトのような雑魚しかいないから楽に倒せるが、後ろになれば昨日倒した魔法を避ける妙に強い個体ほど強くは無いがオークもいる


「群れの規模はおよそ150、って言ったところか」


『エアハンマー』


正面から前のゴブリンを何体か巻き込んで風で殴りつける


すると方向はそのままだと思ったのかまた同じ方向に進み始める


この数を森の中で捌くのは無理だ。

ナリアのいる広場まで引き込むしかない。


そう判断した瞬間、エレシアは地面を蹴った


----


元の場所に戻った時にはさっきのパーティとナリアが集まってた


「ナリアただいまさっきの魔力っていうのはそこのパーティが追われてた魔物の群れだったよ。数は大体150体ってところかな」


「そんなっ…勝てるの?」


「多分、何とかなるよ。どっちにしろ逃げてるだけじゃ街の方まで行っちゃうからせめて追い返さないとだし、あなた達も協力して貰えますか?」


例のパーティのリーダーらしき剣士の男に確認する


「やるしかねぇだろうよ。お前みたいなガキに助けられて魔物からしっぽ巻いて逃げました、じゃかっこつかねぇからな」


態度の割にちゃんとしてる人で助かるなと思うがなにより時間がない。戦える人数も確定したしさっさと撃退してしまおう


「森の中は木々の間隔が狭いです。

あそこなら魔物は一気に広がれません。

数の有利を潰せます。

とりあえずそのような陣形で迎え撃ってみましょう。直接ぶつかる部分は私が入るのでみなさんは周りを」


戦闘に入るパーティには簡単に指示を出す


「ナリアは下手に逃げるよりかはここが安全だから後ろにいて?」


「……私も戦えるよ?」


「うん。でも今のナリアには守りが必要だから」


——ここから先は、一歩間違えれば誰かが死ぬ。


私は短剣を握り直した。

お久しぶりです!


平和パートが一旦終わって次はエレシア初の集団戦かつ防衛戦!纏まり次第すぐ上げられるようにするので楽しみにしていてください!

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