02 俺の世界
この世界は、ただ今出来た。
それ故か、世界は真っさらだ。緑一面の地面に、山のような隆起はなく、川のような流れるものも存在しない。そして住人も一人しかいない。
彼はこの世界を創った創造主。――それは俺だ。
気づけば、この世界が出来ていた。
早とちりをしているつもりはない。
実際にこの世界を創ったのだ。
断じて妄想ではないと誓う。
しかし、この世界を創ったというのが、俺が創り出した幻想であり、やはり死後に見ている妄想という線も拭えない。
けれど、そんなこと考えたって後の祭りみたいなことだ。
もう今から、どうしようもないことで、悩んでも仕方ないので割り切ってしまうしかない。
上げてから、落とすことほど性格の悪い人間がして、喜んぶことはない。
マスクを着けている美人が、ホテルでマスクを外すみたいなことだ。知らないけど、チェリーボーイだから。
ただ現在の状況は、生きているのか、死んでいるのかでは、戦況は五分五分。
死んでいる確証は、ない。
まるで、自分に言い聞かせているようだが、そうでもないと、やっていけないのだ。
気分はどんよりとしているが、
せっかく、何でも出来るというのだ。
何もしないのは、勿体無いのだ。
世界を創るか、俺が幸せになる理想郷でも。
そうなると、まずは絶景、家も欲しいな。俺の自室は、狭苦しくて、女の子を呼びことも出来ないくらいだったからな。
今度は、大豪邸に住んでみたいな。
誰を呼ぶのかというのは、後から考えれば良いのだ。とりあえず、自己満でも良いので、大豪邸は必須だ。
その前に、飯を食べたいな。
ここに来てから、ざっとニ時間か。少し盛った気がするが、そこは、さほど重要ではない。
死んでいるのに、腹が減っているのだ。
これは、死んでいる説には、不利な情報。
これで、戦況は生きている説が優勢と言った感じかな。
しかし、生きているのなら、俺は植物人間なのだろう。そうなると、生きていたとしても、俺の人生は、とんだ強敵と戦わないとならない。
この戦況、もちろん俺は、生きている説を推していたいが、悩んでも仕方ない。
それに、こんなことを考えていても、腹が膨れる訳ではない。
飯としよう。
俺が、今日日、食べたいものとは、ハンバーガーだ。
立ちながら、箸やフォークを使うのは面倒くさい。
世の中には、立ち食い〇〇が存在しているらしいが、俺は食べたことはない。
メジャーなものだと、立ち食いラーメンがあるらしいが、あんなでっかいどんぶりで、どうやって食うのかと思っているので、一度調べてみたが、食いにくそうと、何とも言えなかった記憶がある。
なので、俺は包みのある食べ物を食べたい。
おにぎりとかも良いが、せっかく何でも食べるのだから、ハンバーガーが食いたい。
日本男児の誇りとして、おにぎりを食べるべきなのかもしれないが、米はもう食い飽きた。
家に引きこもっていると、ハンバーガーはあまり食べない。
ハンバーガーを自炊というのはあまり聞かないことからも、分かるだろ。
バンズがどこに売っているのかは、知らない。
パン屋にでも売っているのだろうか。
だから、俺はハンバーガーを食べるぞ。
そうして、俺は軽く念じてみた。
すると、いとも簡単に出来るじゃないですか。
片手鍋に突如として、現れたハンバーガー。
出来立ての温かさ。
包みをめくってみると、野菜ハンバーガーであった。
バンズからはみ出る野菜にはみずみずしさがあり、肉にかかるソースは、包み紙にもこびりついている。
味に違和感もなく、異物も混ざっていない、至って普通のハンバーガーだ。
こんなものを創ることが出来るのかと感心した。
美味かった。ゴミとなった包み紙はポッケに入れようとしたが、俺が赤ちゃんの姿だったことを思い出したので、服も創ろうとしよう。
あっ、勿論だが、包み紙のソースは舐めとったぞ。
食事を終え、やる気も自信俄然がぜんみなぎってきたので、家作りに取り掛かってみた。
絵を描ける人には誰しも憧れを持ったことだろう。もちろん、俺もそんなありきたりで平凡な感性を持っている。
そうして、実践してみた人なら分かるだろう。
己の実力を思い知る。現実に打ちひしがれる。
自分は才能はなく、平凡なのだと。
遠近法なんて分からないし、影の描きかただって、バランスさえも理解できない。俺には才能がないのだと。
現実は非情である。想像とは全く違うものが創造されているのだ。
しかし、想像するものをそのまま創ることが出来るのなら、それは想像力こそが、才能となるだろう。
その世界の俺には才能があったようだ。
目の前にあるもの、
それは、隙間のなくように埋められた石造りの一軒家である。石というより岩というよな削られた石壁は、どこか厳かであり、鮮やかで他の色を混ぜない紅色の屋根は、艶かしく、一世一代の美女のようにラインがしっかり立っている。
歩けばすぐに待ち受けるのは、入り口として、前置きにされるには勿体無いと思わされる扉であり、少し覗かせる扉の窓は、輝きが漏れ残雪が混在しているようだ。
扉の奥にあるの一つの部屋は、外から見た美しさを保たれていた。
部屋の中心に鎮座する絨毯には、とぐろをまく龍の威厳ある目が入るもの全てを攫う目で睨みつけている。
また奥へと進みと、家具が一つ一つ主張していた。ただのベットでさえ、華美な装飾品で飾られていないのに、その世界の住人として名を馳せていた。
一夜が過ぎれば、この世界は繁栄を築いていた。
はずだったが、俺は、ベットに飛び込んでいた。
さらに、この世界には、太陽がないので、一夜というのものはないので、そんなことは絶対に有り得ないぞ。
起きてみた。
空模様は昨日と同じ。俺はやはりまだこの世界にいた。起きたところで、何か変わるようなことない。
俺は完全にこの世界の住人となったようだ。
異世界転生という言葉があるが、死後の世界は……誰も知らない。
その実証は出来ないからだ。
これはご存じの通りだ。
ならば、俺がそれになったとしても、不思議ではない。厳密にはここは異世界とはまた違うと思う。人はいなければ、世界は無だった。
しかし、それは関係ない。
ここはもう、俺の世界なのだから。




