02 明晰夢なんて妄想だよね
死んだと思っていた俺は、知らない世界で明晰夢のように、好きなことが出来るようだ。
……それって本当に死んでいるんじゃないか。
もしかしたら、俺は死後の世界で、妄想の中にいるんじゃないか。つまり、バッドエンド。
そんなことが頭によぎる。
しかし、そんなこと考えたって後の祭りみたいなことだ。
もう今から、後悔しようとも、どうしようもないので、割り切ってしまうしかない。
興奮させて、落とすよほど性格の悪い人間のすることのようだ。
マスクを着けている美人が、ホテルでマスクを外すみたいなことだ。知らないけど、チェリーボーイだから。
ただ現在の状況は、生きているのか、死んでいるのかでは、死んでいる説が優勢になっただけだ。
まだ死んだ確証はない。
まるで、自分に言い聞かせているようだが、そうでもないと、やっていけないのだ。
気分はどんよりとしているが、
せっかく、何でも出来るというのだ。
何もしないのは、勿体無いのだ。
世界を創るか、俺が幸せになる理想郷でも。
そうなると、まずは絶景、家も欲しいな。俺の自室は、狭苦しくて、女の子を呼びことも出来ないくらいだったからな。
今度は、大豪邸に住んでみたいな。
誰を呼ぶのかというのは、後から考えれば良いのだ。とりあえず、自己満でも良いので、大豪邸は必須だ。
その前に、飯を食べたいな。
ここに来てから、ざっとニ時間か。少し盛った気がするが、そこは、さほど重要ではない。
死んでいるのに、腹が減っているのだ。
これは、死んでいる説には、不利な情報。
これで、戦況は五分五分と言った感じかな。
この戦況、もちろん俺は、生きている説を推しているぜ。
俺が、今日日、食べたいものとは、ハンバーガーだ。
立ちながら、箸やフォークを使うのは面倒くさい。
世の中には、立ち食い〇〇が存在しているらしいが、俺は食べたことはない。
メジャーなものだと、立ち食いラーメンがあるらしいが、あんなでっかいどんぶりで、どうやって食うのかと思っているので、一度調べてみたが、食いにくそうと、何とも言えなかった記憶がある。
なので、俺は包みのある食べ物を食べたい。
おにぎりとかも良いが、せっかく何でも食べるのだから、ハンバーガーが食いたい。
日本男児の誇りとして、おにぎりを食べるべきなのかもしれないが、米はもう食い飽きた。
家に引きこもっていると、ハンバーガーはあまり食べない。
ハンバーガーを自炊というのはあまり聞かないことからも、分かるだろ。
バンズがどこに売っているのかは、知らない。
パン屋にでも売っているのだろうか。
だから、俺はハンバーガーを食べるぞ。
そうして、俺は軽く念じてみた。
すると、いとも簡単に出来るじゃないですか。
片手に突如として、現れたハンバーガー。
出来立ての温かさ。
包みをめくってみると、チーズハンバーガーであった。
特に何も思うことなく、食い終わった。
特段美味しくも、不味くもない。
いつも通り。つまり、俺はいつも通りのものをつくることができるのだ。
食事を終え、やる気も俄然みなぎってきたので、家作りに取り掛かってみた。
…………
絵を描けるというのは、誰しもが憧れた道であろう。漫画家なんて、何年も前から、人気な職業だった。
もちろん、俺も憧れた節がある。だが、俺には努力や才能が、想像力に追いついていなかった。
というか、大抵の人がそうであろう。
小説家に憧れたこともあった。
それだけ、想像力には自信があった。
しかし、今度は語彙力がなかった。
こう思い返すと、情けない人間である。
そんな人間が唯一、自身のあった想像力に身を任せて、豪邸を建てる。
豪邸な勝手なイメージだが、白い外装であろう、それで屋根は三角形で、雨が流れるようなものではなく、四角形の平べったいものをイメージする。
それでできたのは、惨敗だ。
犬の家と比べのさえおこがましいくらい。ハトの鳥の巣と同じくらいの酷さだ。
安易に四角形を元に作ったのが良くなかった。
参考にしたのは大豪邸だ。素人に務まる仕事ではなかったのだ。
なので、俺は……野宿することとなった。
今はまだ、家はいらないと判断したという訳だ。
…………
そういえば、ここに来た時に俺はエッチな妄想をしていたが、全く実現しなかった。
何か原因があるのだろうか、トリガーが必要なのか?
俺はもう一度、妄想を実現しようと、人を創ってみようと思った
けれど、やはりと言うべきだろうか、
結局、俺は一人であった。
…………
俺がここに来て、一ヶ月が経った。
どうやら、俺は完全に死んだらしい。
異世界転生という言葉があるが、死後の世界は、誰も知らない。
俺は知ってるけど……
異世界転生なんて、あり得ないとか、夢物語のガキの妄想だと、馬鹿にしている人も多数派なのかなと、ネットを見ていると思った。
俺も完全にフィクションだと思っていた。
しかし、死後の世界だ。
誰も知らないのだから、そんなこと言えるはずがない。
それでも、人は夢を見ているのだ。
無神論者が周りにしかいなかったのが、馬鹿にする理由に拍車を掛けているのだろう。
今時、死後の世界に、なんてものは流行らないだろうしな。
でも、俺はこの世界……死後の世界を、俺のための異世界としてみせる。
この何もなかった世界に俺のための新たな世界を樹立する。




