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『飽き性な俺の器用貧乏、異世界で「神の模倣者」へと至る 〜3ヶ月で極めて捨てる生活を卒業し、天狐様と終わらないクエストへ〜』  作者: A古町
異世界✖️異世界

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第九十一話:火縄の閃光と、戦国(せんごく)の記憶

第九十一話:火縄の閃光と、戦国せんごくの記憶

 セントケベックのホテルの寝室。外は激しい吹雪が窓を叩いている。


 ベッドに横たわるキキョウを囲み、アーシェ、ローレライ、そしてモリガンが精神連結の儀式を開始した。かつてショータを虚無から救い出したあの手法に、ローレライの膨大な魔力を重ね、キキョウの魂の深淵へと潜り込む。


「……行くわよ。キキョウの『影』の奥へ……!」


 モリガンの意識が反転し、キキョウの深層心理へとダイブした。


「――放てーーッ!!」

 ――タタタターンッ!!


 モリガンの視界に飛び込んできたのは、見たこともない異形の戦場だった。


 兵士たちは重厚なプレートアーマーではなく、竹や革で編まれた「質素な鎧(具足)」を纏い、泥にまみれて叫んでいる。

 だが、指揮を執る将だけは、見事な彫金の施された「立派な鎧兜」に身を包み、采配を振るっていた。

 耳元を裂くのは、ガイを負傷させたあの忌まわしい破裂音。

 剣が届く距離ではない。魔法の詠唱も聞こえない。なのに、前進する兵たちが次々と見えない力に弾かれ、絶命していく。異世界の戦術とは根本から異なる、死の効率。


 その硝煙の渦中に、彼女はいた。


 若き日の、しかし今より冷徹な眼光を宿したキキョウだ。

 彼女は細く長い「鉄の筒」を肩に預け、指揮官の命が下ると同時に、迷いなく引き金を引き、火花を散らす。

 キキョウ目掛けて突進してきた敵の兵士が、ガイと同じように胸を撃ち抜かれ、物理法則を無視した勢いで後方へ吹き飛んだ。


「……な、なにこれ……。魔法じゃないのに、あんなに遠くの命を……っ!」


 余りにも「未知」で凄惨な戦場の熱量。モリガンの精神が恐怖で焼き切れ、意識を失いかけたその瞬間――。


「――モリガン様! 戻りなさい!」


 現実世界から響くローレライの鋭い声。その魔力の波動に弾き出されるように、モリガンとキキョウが同時にガバリと跳ね起きた。


「はぁ……はぁ……っ、ショータさん……っ!」


 キキョウが震える手で自分の顔を覆い、嗚咽を漏らす。


「……見たわ。あれは、火の力を利用して鉄のつぶてを筒から飛ばす……。キキョウはそこで、あの恐ろしい武器を操っていたよ……」


 モリガンが顔を真っ白にして震えている。


 白玉モニター越しにその光景の断片を共有していたショータは、絶句していた。


(……間違いない。あれは戦国時代の『火縄銃ひなわじゅう』だ。キキョウの正体は、九尾に拾われる前に異世界から流れ着いた……「戦国の傭兵」だったのか!?)


 「自らの世界の歴史」という重すぎる伏線に直面したショータ。

 クレーターに潜むあの三人組。彼らもまた、キキョウと同じ「火縄」を持つ者たちだとすれば――。

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