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瓦礫世界のシナリオ進行  作者: namakox
第三章「砂漠」
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第29話「今は昔」

ナギト(主人公)、カイラは第4世代の人間。

カズは第3世代の人間。


途中からカズの回想になります。


カズはイヌの銅像をじっと見ていた。カイラはその間もずっとイヌの像を撫でていた。僕は何もすることがなかったので、日が沈みかけて暗くなってきていた空を眺めながら今夜はどこで寝るかを悩んでいた。おそらく今夜はこの広場近くの無人の家で寝ることになる。日が暮れかけていても家々に明かりがともる気配はなかった。なぜ人がいないのだろうか。そんなことを考えていた時だった。


「思い出した!ハチ公っす!その犬の名前!」


カズが突然叫んだ。


「ハチ公?このイヌの名前なのか?」


「忠犬ハチ公っすよ。あぁ・・・そうだった。俺は第3文明に生きてたから分かるんすけど・・・俺が生きてた時代だとかなり有名な犬っすよ。死んだ飼い主をずっと待っていたとかいう話があったような」


「こんなかわいいのにそんなに偉い子なのか!」


カイラは泣きながらハチ公の銅像を強く抱きしめた。


「カップルの待ち合わせ場所としてハチ公前とかは有名っすね」


「カップル?」


「あぁ、えっと・・・恋人の事っすね」


「なるほどなあ。ハチ公が偉かったからそうなったんだろうな」


「まあ、そういう事っすね」


カズがそう答えると、しばらくしてカイラが話をつづけた。


「そういえば、お前はここで待ち合わせしたことあったの?」


「えっ・・・」


カズは答えに戸惑っていた。


「俺は・・・待ち合わせした・・・ことがあったんですかね?」


「いや、お前に聞いてるんだよ」


カイラはカズの恋愛事情を聞いて冷かしたかったのか、それは分からないが話を逸らせないように続ける。


「俺は、確か・・・待ち合わせしていたような・・・。誰と・・・?いや・・・したことないと・・・」


「どっちなんだよ」


カズの声は小さくなり、カイラの口調が強まっていった。


「何故か、記憶が・・・ない・・っす」


カズは自分の記憶を探っているようだった。第3世代の時代の話だ。ずっと昔の記憶だから思い出せないのも不思議ではない。カズが思い出している間に、今夜過ごす家をカイラと一緒に探した。広場の周りにはたくさん空き家があったので1番近い家にあっさりと決まってしまった。明かりが欲しかったので拾ってきた瓦礫に火をつけようとした時だった。カズが頭を抱え込んで床に額を擦り付けるようにして言った。


「全部思い出した。全部、全部・・・」


そう言ってカズはそのまま眠ってしまった。「サラ」と言う名前を呟いたのを最後に。





あの時の世の中は真っ当な人間が真っ当な死に方ができるかよりも、嘘っぱちの人間が真っ当に生きれるかを競い合っていた。俺は真っ当に死にたかった。


口にくわえていたタバコを左手に持ち替え、そのまま排水口に投げ入れた。ここは日本一の歓楽街。夜になってもネオンが輝いている。


この街じゃ、タバコ1本捨てるなんざ植樹してるようなもんだ。政治家が夜な夜な税金で遊び倒し、薬に溺れた有名人が路地裏で犇めいている。


俺はそいつらの愚行をここぞとばかりに撮って撮って撮りまくる。いわゆる、パパラッチだ。まだ歴は浅いが、何人かを晒しあげてきた。


酒臭い奴らだらけでやってらんねぇが、酒の匂いに紛れて金の匂いが混じってくる。金の匂いを追っていくと、俺の獲物がいる。やけに金を稼ぐあいつらは、金の匂いに鈍感になっている。


あの日もたっぷりと金の匂い振りまきながらこの街にたどり着いた獲物達を追っていた。カメラをハンドバッグに忍ばせ、音声レコーダーを胸ポケットに入れたら準備は完了だ。


歓楽街を進んでいくと中程で俺はとんでもない金の匂いを嗅ぎつけた。行きすがらに道端で話していたサラリーマンの話によると、この近くのキャバクラ「barrack」で金を振りまいている成金野郎がいるらしい。


今日のターゲットだ。美味しくいただこうではないか。まずは偵察しようとお目当ての店の前を横切る。異常なし。その次に客の出入りを見る。あまり客は多くなさそうだ。もしかして、今晩は成金野郎が店を貸し切ってんのか?


店前の道に人がいなくなったのを見計らって入り口を覗いてみた。店内の様子から貸し切りではなさそうだった。ターゲットらしき人物がいないか少し目を回してみたその時だった。


「はなしてっ」


突然、女の声が聞こえてきた。俺は「barrack」の入り口を後にしてその声のする方向に向かった。さっきの声は「barrack」の裏の方から聞こえてきた。


しつこい客とトラブルにでもなったのだろうか。しつこい客といえば大抵が成金だ。そうと決まれば向かわずにはいられない。ついでに女を救えたら一石二鳥だ。俺はより一層に緊張感を持って、細く暗い路地裏に入っていった。

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