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瓦礫世界のシナリオ進行  作者: namakox
第ニ章「孤独」
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第22話「幕引」

アクタはその後、息を引き取った。静かな断末魔はもう聞こえてこない。そう言えば、ナツはどこにいるのだろうか。父親が死んだことをその経緯も含めて伝えなければならない。とても言いにくいことだが、絶対に言わないといけない。ナツはカイラと一緒に家から出ていっていた。カイラにナツの居場所を聞きたいが、カイラはアクタの死体を見て立ち尽くしていた。とても話しかけれそうになかった。


「大丈夫っすか?」


カズの声がした。その声と口調が凝り固まったその場の雰囲気を解していった。


「大丈夫だ」


カイラは静かにそう答えた。


「ナツはどこにいるんですか?アクタの事を....」


僕はカズが話し始めたのをきっかけにナツのことを聞こうとしたが、カイラがそれを遮った。


「実は......お前たちに......伝えないといけないことがある」


カイラの小さな声に僕とカズは耳を傾けた。


「ナツは......私が殺した」


その言葉に思わず僕とカズは互いに驚いていた。カイラもアクタと同じようにシナリオに取りつかれてしまったのだろうか。


「これにはちゃんとした理由がある。とりあえずここから逃げるぞ」


状況を読み込めないままで、カイラについていくかどうかは決められなかった。それに加えて、ダザイが倒れている。まだ息はあるようだ。見過ごす訳にはいかない。


「ダザイさんが倒れてます!助けてからじゃないと僕は着いていけません!」


これはカイラの正気さを見るつもりでも発した言葉だった。しかし、その返事は僕の予想を裏切るものだった。


「ダザイは置いていく」


「何で.......」


僕の言葉はカイラに再び遮られた。


「その説明は後だ!早く逃げるぞ!」


そうカイラが言った途端にダザイの家が軋み始めた。家のあちこちから軋む音が聞こえてきた。


「早く!この集落から出るぞ!!」


カイラが玄関の前で叫んだ。少し焦っているようだった。カズがカイラに向かって進み始めた。着いていくことにしたらしい。僕も周りの様子がおかしくなってきていたのでそうすることにした。


「ここを出たら走るぞ!」


カイラが再び叫んだ。ダザイの家から出るととても強い風が吹いていた。どおりで家が軋んでいたわけだ。天気は曇りで薄暗かった。強い風は集落の中心に向かって渦を巻いていた。集落の家が壊れて、瓦礫が空に舞っていた。竜巻だ。


「どうなってんだよ!」


カズが叫んだ。


「やばそうですね...」


僕も自然とそう呟いていた。


「早くついてこい!こっちだ!」


カイラはこの集落からでようと必死だ。僕とカズはカイラについていった。竜巻は段々こちらに近づいてきていた。こうなるとさすがに逃げるしかない。僕たちはカイラを先頭にして先を急いだ。ダザイの家は集落の外れだから無事に抜けれるはずだ。


「うぉおおおおおおおお!」


しばらく進んでからカズが僕の隣でそう叫びながら段々と浮き上がっていった。気づけば竜巻がすぐ後ろまで来ていた。竜巻の動きがとても速かった。カズは空中で足をばたつかせていたがどんどん上に上がっていった。僕は助けようとしてカズの手を取った。しかし、体格がそっくりな僕が助けに行ったところで、飛ばされそうになるのに変わりなかった。


「まずい!二人とも飛ばされるぞ!」


カズがそう叫んだ時には僕の足が地面から離れそうになっていた。


「カイラさん!飛ばされそうです!」


そう叫ぶとカイラがすぐに駆けつけてくれた。カイラは僕の手を取って、竜巻の中からカズも一緒に助け出してくれた。


「しっかり握っとけよ!」


そうカイラは叫んだ。僕とカズはカイラに手を引かれながら巻き上げられていく瓦礫を見ていた。集落は竜巻によって跡形もなく消え去りそうだった。その後、しばらく進んで僕たちはすぐに集落を抜けきった。竜巻は僕たちが集落を抜けると消え去っていった。さっきまで僕たちがいた集落は清々しいくらいに更地になっていた。

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