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瓦礫世界のシナリオ進行  作者: namakox
第ニ章「孤独」
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第20話「化けの皮」

ダザイの家の中に穏やかな風が舞い込んだ。少し落ち着かない雰囲気の中で、束の間の静かな時間が過ぎていった。そのちょっとした瞬間に全てを注ぎ込むような鋭い視線で、ダザイがアクタを睨みつけていた。


「まぁ、皆座れ。腰を据えて話そうぞ」


いたって普通なダザイのその口調に僕の中で緊張の糸が解けた。ダザイの方を向いて全員がその場に座った。


「じゃあ、話してくれ」


アクタは、ダザイが話し始めるのを促した。


「まぁ、ゆっくり話していこうかの」


そう言って、一呼吸置いた後にもう一度ダザイは口を開いた。


「この集落がおかしくなり始めたのは、ちょうど1か月前くらいじゃ。それ以前は皆が仲良く暮らしていたんじゃ。集落の歯車が狂い始めたあの日、ワシはいつものように家から外を見ていたんじゃ。人とはあまり関わりたくない性格だからいつものことじゃよ。まだ、集落は至って普通じゃった。まぁ、たった一人を除いてな」


そう言うとダザイの顔から表情が消え失せていった。


「アクタの家のちょうど向かい側。その日からそこに住んでいた老夫婦のうちの妻が昼間に現れなくなったのじゃ。いつも買い物に出てくるはずなのにその日は全く見かけなかった。ワシはそいつとは昔からの知り合いだったから直ぐに気がついたんじゃが…。その老夫婦がそれから3日後に家の中で死んでいるのをワシが見つけたのじゃ。ワシは心配になって見に行っただけのつもりだったのじゃがな…。まさか死んでるとは…な。まぁ、恐らくこの出来事はこの集落が壊れていった発端じゃな」


ダザイはまた一呼吸置いて、今度はアクタの方を見て言った。


「アクタ。話を…続けていいかの?」


何故アクタにそんな事を聞いたのか僕は分からなかった。


「まだ知っていることがあるなら、話してくれ」


アクタは相変わらずダザイが話すのを促した。


「分かった。実はワシは…この出来事について自分で考えてみたのじゃ。それであるひとつの答えに辿り着いた。そして、人知れずこっそりとその証拠を探していた。つい最近、それを偶然にも見つけてしまったのじゃ」


そう言うと、ダザイはしばらく口を閉ざした。渇いたすきま風が外の錆び付いた臭いを家の中に運んできた。


「勿体ぶらないでくれダザイ。それは何だ?」


誰かの声がその静かな空気を切り裂いた。その声の主はアクタだった。しかし、その声はなにかに怯えているようだった。


「アクタ!お前は何も分かってないのかもしれない。ワシはお前を信じたいのじゃ。アクタ、ワシはお前を疑いたくはないのじゃ!」


ダザイはアクタに怒鳴った。


「どうしたダザイ!落ち着いてくれ」


そう言っているアクタは焦っていた。


「いや、二人共落ち着け!ナツを怖がらせるな!」


カイラが仲裁に入った。


「ナツ、私と一緒に外で話が終わるまで待っとこうか」


「わかった…」


ナツは怯えていた。カイラはナツの手を取って外に出ていった。僕とカズとダザイとアクタだけが家の中に残った。カズは微動だにしない。この空気に飲み込まれてしまったのだろうか。正直、とても心細かった。カイラとナツが出ていってから、しばらくしてダザイが口を開いた。


「アクタ、お前がやったんじゃろう?」


その言葉は、静かに地面を這って僕の耳に入ってきた。


「やっていない!」


アクタは声を張り上げた。


「じゃあ何故そんなに怒鳴るんじゃ!お前は何にも思わないのか?何故そんな事をしたんじゃ!」


ダザイは冷静に怒っていた。しかし、ダザイの言葉はアクタにはもう届きそうになかった。


「していない...私はそんなことはしない...証拠もないのに...そんなこと言うなよ!」


アクタは勢いのままそう吐き捨てた。しかし、その様子に嘘をひた隠しにしようとしているのがにじみ出ていた。落ち着き払ったダザイはその言葉でアクタを追い詰めていった。


「お前は昨日の昼に外で何をしてたのじゃ。ワシは見てたぞ!お前が妻の死体を笑いながら切り落としているのを.....。欲にかられた獣のような目つきで、遠くにいるワシを見ていたのを...。この集落がもう誰もいないとでも思ったのか?ワシが......」


「違う!」


アクタはダザイの言葉を遮った。


「違う違う違う!でたらめだ。全部、でたらめだ。私は昨日、一か月ぶりにこの集落に帰ってきたんだ。そんなことができるはずがない。しかも何故、私が妻を殺さないといけないのだ。そんなことできるはずもないだろう?」


アクタがそう言うと、ダザイは冷静に答えた。


「なぜ殺したかはお前が一番よくわかっていることだろう?ワシは見たのじゃ。お前がしていたことに変わりはないのじゃ」


「私じゃない。それは、私じゃない......」


そう言いながらアクタが狂ったようにポケットからシナリオとペンを取り出した。

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