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瓦礫世界のシナリオ進行  作者: namakox
第ニ章「孤独」
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第19話「オルゴール」

ダザイ

壊滅した集落の外れに住む老人。

一見、頑固そうだが実は優しいところもある。

アクタ

ナツの父親。行商人。高身長でガタイが良い。

優しくて真面目な性格。

ナツ

10歳。可愛げがあるがどこか大人びている。

母親が首を吊って自殺している。

僕達とナツとアクタはダザイの家に入っていった。ダザイの家ももちろん瓦礫でできていた。この集落の建物はすべて似たようなつくりなのだろうか。アクタの家の内装とほとんど同じだった。


「おい!それに勝手に触るな!」


そう言ってカズの手からダザイが小さな箱を取り上げた。それはとても綺麗な金属の細工が施されていた。


「ちょっと待った。それ、オルゴールかなんかじゃないか?」


カズが言った。


「オルゴールってなんじゃ?昔、友人と遊んでいた時に落ちてたから拾ったただの箱じゃぞ」


ダザイはその箱を取られないように身構えていた。カズは第3世代の人間だからなにか分かったのかもしれない。


「それ、蓋を開けたら音楽が流れるだろ?」


「なぜそれを知っているのじゃ!」


「いや、だからそれがオルゴールってことなんだよなー」


カズは自慢げにそう言った。


「オルゴールってのはな、蓋を開けると音楽が鳴るんだ。周りはとても綺麗に細工されてたりして、まさにその箱みたいなもの。爺さんのくせしてなんも知らねぇんだな」


そう言ってカズは得意気に笑った。カズは完全に調子に乗っていた。


「ワシをなめるな!」


怒っていたからか、ダザイは取り乱して手に持っていたオルゴールを落としてしまった。落とした衝撃で開いたオルゴールの中からは悲しげな音楽と古びた1枚の紙が出てきた。その紙は大切に折り畳まれていた。カズは古びた紙の方を拾い上げた。


「何だこれ」


カズはそう言うと、その紙を開いた。


「あぁ…」


ダザイは嘆息を漏らしていた。その紙には若い2人の男の顔が書いてあった。とても上手な絵だった。


「凄い上手な絵ですね」


「どっかで見たことある顔だな…」


僕はその絵の上手さに目がいったが、カイラは違うところが気になったようだった。カイラはその紙をカズから奪ってアクタと見比べ始めた。


「少し似てないか?」


カイラは僕にきいてきた。その時、アクタは何故か困った顔をしていた。しかし、似ているのは直ぐに分かった。


「似てます…ね」


「だよな…」


カイラはそう言うと、もう1人の絵が誰なのかを考え始めていた。


「じゃあ、これは誰だ?」


カイラはもう1人の絵の方を指差してそう言った。


「分からないですね」


その絵に描かれた顔は、とても整った顔立ちをしていた。


「これ、誰なんすかね?」


カズも分からないらしい。


「んー…分からん!」


カイラもお手上げらしかった。すると、ダザイが突然口を開いた。


「それは……ワシじゃ」


「えっ!」


皆が同時に驚いた。


「アクタ、もう言ってもいいじゃろう?」


ダザイはアクタになにかを確認していた。


「あぁ、仕方ないな。誤算……じゃなくて…時効だからな」


アクタは仕方ないといったふうに、なにかを許したようだ。


「これはワシら二人だけの秘密だったんじゃが......。実はワシとアクタは腹違いの兄弟なのじゃ」


「えっ!」


また、皆が同時に驚いた。


「15歳ほど歳が離れているから分からないのも無理はない。加えて、腹違いじゃからな。ワシらはどちらも母親しか見たことがないのじゃ。ワシらの父親は集落を転々としていたらしくてな。それぞれの母親から聞いた父親が同じ名前で似たような性格だったから、辛うじて分かったのじゃ」


ダザイが話し終わると、続けてアクタが話し始めた。


「私は元々、この集落の生まれじゃないんだ。ここから少し歩くと砂漠があるんだが、その先の集落出身なんだ。私は十代の頃から行商人をやっているんだが、その頃からこの集落に来ることがあったんだ。その時にダザイと知り合ってな。友達になったんだが、腹違いの兄弟だったなんて最初のうちは気づかなかったんだ」


「じゃあ、いつ分かったんですか?」


僕はアクタの話を促すようにそう言った。


「ナツが産まれたときだ。俺が結婚して2年目だったかな。その時に始めてダザイと家族の話をしたんだ。互いに母親しかいなかったうえに、父親は放浪人だと聞かされていて家族の事はそれまで一度も2人の間では話題になっていなかったんだ。つまり、どちらも話したくなかったんだよ。それで、ナツが産まれた時に自然とそういう話題になって、初めて話したんだ。それから私はこの集落に移った。兄弟がいるし、妻の実家もあるからね。ちなみに私に妻を紹介してくれたのはダザイだったな」


「なるほど…な」


カイラは頷きながらアクタの話を聞いていた。僕とカズもアクタの話に聞き入っていた。


「ナツが産まれたときにはダザイが祝ってくれたんだよ」


そう言ってアクタは傍らにいたナツの頭を撫でていた。ナツは嬉しそうにしていた。


「そうじゃった。ナツが産まれた時は本当に嬉しかったんじゃ。それから、ワシも家族が欲しいと思っていたんじゃが......人と喋るのはそんなに好きじゃないから結婚できなかったんじゃよ」


ダザイは昔の事を思い出しながら寂しそうに話していた。それからしばらくして、アクタはナツを撫でるのをやめて真剣な表情になった。


「だから、本当はダザイの事を疑いたくないんだ。でも......もうこの家しか残ってないんだ。ダザイ、話を聞かせてくれ」


ダザイはそれを聞き入れたようだった。


「知ってることだけじゃよ。いいんじゃな?」


ダザイはアクタの目をしっかりと見つめて逃さなかった。

寿命について

第4世代では医療が発達しておらず、寿命が第3世代よりも短くなっている。

その平均寿命は約60歳となっている。

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