↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰かボクを殺してくれ ~不老不死でLv.-9999の災厄ダウナーは今日も死にたがる~  作者: ゆに
第2章 災厄のダウナー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/76

第75話 婚姻の儀


~王都トパーズ~

 

 あの王都侵略からしばらくして、王都は帝国の手に堕ちた。

 

 王国は酷い有様になっていると思っていたが、王女リアが見たのは賑わいを見せる王都の姿。

 

 自分達が治めていた頃より繁栄を見せる王都に戸惑いを覚える。

 

 皇帝の手腕は本物―――

 

 王国の民を迫害するのではなく、自国の一部へと取り込んだ。

 

 それも王国の民に受け入れられる形で。

 

 

 「まもなく始まるのですね・・・」

 

 セディナは純白の婚礼装束に身を包みながら、そう口にする。

 

 「セディナ様、大変お似合いですよ―――」

 

 着付けを任された侍女が王女を安心させるためにそう云った。

 

 不安がないと云ったらウソになる。

 

 しかし、王国を守る為に私は皇帝と結ばれなければならない。

 

 皇帝 ルート・アレフゼロと第一王女セディナ-ジュエル-アルベスタの結婚式がまもなく始まる。

 

 「陛下、リア王女が何者かに連れ出されました―――」

 「恐らく、解放軍の手の者の仕業かと。」

 

 ランスロットが皇帝に報告する。

 

 見張りの兵士たちは皆、気絶させられていた。

 

 物音一つ立てることなく、誘拐を実行するそのスキル―――、ただ者ではないことは分かる。

 

 「今から大切な式典だ―――、そちらはお前に任せるぞ、ランスロット。」

 

 

 「かしこまりました。」

 

 

 「リア王女は必ず生かして連れて来い、あの娘には居てもらわなければならない。」

 

 

 「それ以外の者はいかがしますか?」

 

 

 「それ以外の解放軍は殺して構わない。」

 

 帝国軍がリアの捜索に乗り出す。

 

 その間に婚姻の儀が始まる。

 

 二人の結婚式は多くの人を集めた大聖堂で執り行われる。

 

 二人を祝福するかのように鐘が都中に響き渡る。

 

 王国の大聖堂へと続く白い石畳の道には、帝国の双頭の鷲の旗と王国の百合の紋章旗が交互にはためき、両国の民が固唾をのんでその時を待っていた。

 

 帝国皇帝 ルート・アレフゼロが姿を現す。

 

 漆黒の礼装に黄金の肩章をまとい、胸には帝国の至宝とされる勲章が輝く。

 

 その歩みは静かでありながら威厳に満ち、玉座を守り続けてきた皇帝としての風格を漂わせていた。

 

 やがて、大聖堂の扉がゆっくりと開かれる。

 

 

 純白の婚礼衣装に身を包んだ王国第一王女セディナが、待っていた。

 

 長い裾には金糸と銀糸で王国の守護花が刺繍され、その上から透き通るような純白のベールが優雅に流れる。

 

 陽光を受けた宝石は星のように煌めき、堂内に集う誰もが息を呑んだ。

 

 大神官が祭壇の前へ進み出る。

 

 「ここに、天と大地、祖霊、そして両国の民の前で、帝国 皇帝ルート・アレフゼロ殿下と王国第一王女セディナ-ジュエル-アルベスタ殿下の婚姻の儀を執り行います。」

 

 堂内に厳かな祈りが響き渡る。

 

 聖歌隊の澄んだ歌声が天井高く昇り、色鮮やかなステンドグラスから差し込む光が二人を祝福するように降り注いだ。

 

 大神官は聖杯を掲げる。

 

 誰もが新時代を予感した。

 

 これから帝国と王国が一つになるのだと―――

 

 しかし、そんな期待を打ち破る程の衝撃が、この大聖堂に起きた。

 

 

  "ズドドドっーーーン!!!"

 

 

 

 地鳴りと共に上から瓦礫が落ちてくる。

 

 「この魔力は・・・?」

 

 今までに感じたことのない程の密度の高い魔力が肌を突き刺す。

 

 「ドラゴンです!!巨大な白いドラゴンがこの大聖堂の前で暴れていますッ!!」

 

 

 守衛が声を荒げて、式典中に入って来る。

 

 「ドラゴンだと・・・?」

 

 一体どこから?

 

 アレフゼロはそう思った。

 

 だが、そんなことの答えなどどうだっていい。

 

 今、起こっていることは現実なのだ。

 

 

 「グオオオオォォォォーーーーーン!!!」

 

 

 雄々しくも威圧感のある咆哮がここまで聞こえてくる。

 

 守衛の云っていることが真実なのだと、この室内にいる全ての者に思わせるのに充分だった。

 

 「ランスロットだ!!ランスロットを呼べェーーー!!!」

 

 もはや婚姻の儀どころではない。

 

 「セディナ御姉様アアァーーーーっ!!」

 

 セディナの耳に聞き覚えのある声が。

 

 「リア・・・?」

 「貴方なんて恰好してるの?」

 

 その姿はまるで今から闘う者の恰好。

 

 剣や軽装の鎧を纏い、宝飾が付いた冠、とても式典に参加するような恰好ではない。

 

 その姿を見て、察した。

 

 どうやったかは分からないが、この騒動はリアが引き起こしたものなのだと。

 

 「貴方、なんてことを・・・!?」

 

 帝国と王国が一つになれば、国民の安全は保障される。

 

 帝国に従うだけで、自分が我慢すれば、それだけで国は豊かになる。

 

 だから、私が皇帝と結ばれる。

 

 

 「貴様の仕業なのか?リア姫よ―――」

 

 

 「セディナ御姉様を返して!」

 

 

 「返せとな?セディナ姫が私と婚約することを選んだのだぞ?」

 

 

 「違う!アンタがこの国の者を人質に取って、そうなるように脅したんだッ!!」

 

 

 「御姉様!答えて!!そうなんでしょ?」

 「ソイツに脅されたんだよね?」

 

 

 「・・・・帰ってリア。」

 「陛下が言うように私が望んだことなの。」

 「だから・・・!!」

 

 その眼には彼女の涙が映る。

 

 「わざわざそっちの方から出てくるとは探す手間が省けた。」

 

 

 「リア姫を捕らえろッ!!」

 

 

 皇帝が近くにいた帝国兵達に命令をする。

 

 「ッ・・・!?」

 

 リアを捕らえる為に数人の帝国兵が飛び掛かる。

 

 そんな彼女を護る為に一人の男が立ちはだかる。

 

 

 「能力値降下(ダウン)!」

 

 

 「グアアアァァーーーー!!」

 

 男の詠唱と同時に発動した魔法によって、帝国兵達はドロドロに溶け、その命が消えた。

 

 「貴様は・・・?」

 

 「リアを傷つけさせはしないよ―――」

 「この人はボクにとって大切な人だから。」

 

 

 この時、初めて皇帝ルート・アレフゼロと災厄のダウナー ミナスが邂逅した。

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。