第69話 姉妹再会
~王都トパーズ~
リアを乗せた飛空船は王都トパーズへ戻っていた。
何十隻もある飛空船が次々と広大な平地に着陸していく。
「到着いたしました。」
「リア王女殿下―――」
「一人で降りられるわ。」
そう云って、飛空艇の出口の扉が開く。
ここではリアはあくまでも客人。
侵略した国とはいえ、要人であることには変わりない。
丁寧にもてなされる。
リアに緊張が走る。
馴染みのある街並みだが、何だが懐かしい。
あの炎上した街から帝国が街に手を加え、自分の知らない建造物がいくつも建っている。
厳重な警護の元、王城へ案内される。
街の活気は戻っている。
しかし、至る所に帝国兵が蔓延っている。
住民たちは無事みたいだ。
あまりにも非道いことはされていなさそうだ。
「いかがですか―――?」
「元、自分達の国が変わっているのを見るのは?」
案内をする紳士風の男が聞いてきた。
「それはどういう意味?」
「フフ・・・私の口からそれを言わせるのですか?」
「貴方様自身、十分に分かっているのでしょう?」
そう返してきた。
そんなこと言われなくても分かっている―――
この人は自分達がジュエル王国民を管理した方が幸せであると言いたいんだ。
悔しいが、この人の言う通りかもしれない。
そんなやり取りをしていると、王城へ辿り着いた。
「こちらです―――」
「こちらに姉君がおられます。」
ギイイィィーーー!!
重厚な扉が音を立てて開かれる。
そこにいたのは懐かしい顔、リアの姉であるセディナだった。
「リアっ!?」
「セディナ御姉様!?」
それまで歩いてきたリアがここで駆け出した。
よほど嬉しかったのだろう、泣きながらセディナに抱き着いた。
帝国に侵略を受け、国を追われてからこれまで彼女は気丈に振舞い続けてきた。
第二王女であるラナーとも再会できたが、彼女は王国を裏切っていた。
それがリアの心をさらに突き刺してしまう。
その悲しみの堰を切れたようにセディナに泣きついた。
気が付いたらわんわんと泣いていた。
そんなリアをセディナは優しく撫でる。
言葉を交わすことなく、ただ優しく微笑み、頭を撫でた。
セディナに話したいことは山ほどある。
それでも言葉が出ない。
そんな話よりもまず、既に唯一の肉親である姉が無事であったことを喜んだ。
暫くして、リアは次第に泣き止み、落ち着きを取り戻す。
「御姉様・・・?」
異様な雰囲気を感じ取ったのか、セディナの首が別の方向を向く。
カツン、カツンと足音が聴こえる。
後ろの扉が開き、一人の男が入ってきた。
「姉妹感動の再会は終わったか?」
その男はそう口にする。
「貴方は・・・!?」
その顔、忘れるハズが無い。
あの運命の日、街に火を放ち、多くの人間を殺し、この国を侵略した―――
眼帯を付けた隻眼の男―――
その冷たい瞳は全てを見透かしたかのよう。
ランスロットっ!!
「リアには手を出さないでっ!!」
セディナがリアを庇う様に前に出る。
「何か勘違いをされているようだな―――」
「皇帝陛下が貴様らをお呼びだ。」
「リア、行きましょう―――」
ランスロットの背に続くように二人は歩き始める。
後ろからでも分かる。
このランスロットという男の強さが―――
戦いとかほとんど素人の私でも分かる。
この人は生半可な強さじゃない。
「連れて参りました―――」
ここに帝国のトップ・・・皇帝がいる。
ゴクリっ―――
リアは生唾を飲む。
セディナと再会して、切れかけていた緊張。
それが再び、蘇っていた。
「そなたがリア王女か―――?」
これが皇帝・・・?
若いっ・・・!!
そこにいたのは皇帝ルート・アレフゼロ本人。
私や御姉様とそれほど変わらないんじゃないか―――
しかし、若いながらもランスロットとは別の威圧感がある。
ランスロットもセディナも頭を垂れる。
リアはそんな二人を前に決して屈しない。
「姉に負けず劣らず、強気だな―――」
「貴様が北方で解放軍を結成し、この地を奪還しようとしていることは知っている。」
「ッ―――!?」
皇帝もリアの動向は把握している。
それでも全軍を送らなかったのはセディナの存在が大きい。
「貴様らの功績は聞いているぞ―――」
「先日、我ら帝国が誇る最強のレイン将軍を討ったそうだな。」
アレフゼロは自分の国の将軍がやられたというのにそれを嬉しそうに語る。
「ここは私達の国なのっ!」
「貴方達の好きになんてさせないッ!!」
リアはアレフゼロに向かって強気にもそう云い放った。
その小さな身体をプルプルと震わしながら―――




