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誰かボクを殺してくれ ~不老不死でLv.-9999の災厄ダウナーは今日も死にたがる~  作者: ゆに
第2章 災厄のダウナー

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第68話 誰かのために自分が犠牲になることをボクは正しいとは思わない


~城塞都市バルクール~

 

 カジハラは急いでいた。

 

 急いで解放軍本部に戻らなければ、取り返しのつかないことになると。

 

 彼はそんな予感をしていた。

 

 もし、戻ってこのまま解放軍が崩壊していた場合、計画を練り直さなければならねェー!

 

 それは出来れば避けたい所―――

 

 

 「おい、クソ魔導士いるかァーー!!」

 

 ミナスのいると思われる部屋を蹴り飛ばし入る。

 

 カジワラはミナスに対して悪態をつく。

 

 口調も最初の頃とは打って変わる。

 

 お互い、本性は既に見透かしている。

 

 今更、着飾った所で意味はない。

 

 故にこんな乱暴な口調と態度になってしまう。

 

 「クソ魔導士とはボクの事かい?」

 

 ミナスはベッドに横になって、天井を見ている。

 

 カジハラがいきなり入ってきても動じていない。

 

 まるで彼が来ることを予感していたかのようだ。

 

 勿論、ミナスにそんな未来予知のような能力はない。

 

 だが、なんとなく、カジハラの気配は感じていた。

 

 彼の気配は独特だから。

 

 「リア王女がアブねぇーかもしれないぞッ!!」

 

 

 「なんだってッ―――!?」

 

 カジハラのその言葉にミナスが食いついた。

 

 リアのことになると態度が変わる。

 

 「話は移動しながらだ―――」

 「シロ―――、そいつを持ち運べ!」

 

 「かしこまりました―――」

 

 シロがミナスを抱き抱える。

 

 シロはその華奢な身体でミナスのことを軽々しく持ち上げる。

 

 ミナスの歩く速度が遅いからこうやって持ち運んだ方が速い。

 

 「へぇ、これは助かるよ―――」

 

 「さっさと解放軍へ戻ろうぜ!!」

 

 こうして、ミナスは移動中にカジハラから話は聞いた。

 

 アーカルムの星霊石がなくなっていたことについて。

 

 シロはまた巨大なドラゴンに変わり、ミナスとカジハラを乗せて、解放軍へ戻ろうとしていた。

 

 その時―――

 

 「待て、私達も連れていけ!!」

 

 ジュリエッタとシータの二人がそこに立っていた。

 

 彼女らも共に行こうとしていた。

 

 「ミナス様が行くのであれば、私もお供致します。」

 

 シータはそう云った。

 

 「リア様が危険というなら一刻も早く戻らねばならんッ!!」

 

 ジュリエッタもまた早く戻る理由がある。

 

 「テメェーら・・・」

 

 まぁ、戦力が多いに越したことはねぇーか。

 

 「いいだろう、シロの背中に乗りな!!」

 

 

 「ここらの兵士やシグマの本部連中には暫くしたら兵を寄こせと言ってある。」

 「こっちはお前ら解放軍に助けてもらったんだ。」

 「義理は果たすつもりだ―――!!」

 

 解放軍とシグマ共和国の連合―――

 

 対帝国の戦力として、立ち上がる。

 

 敵は強大だ。共に手を合わせて、闘う意志を見せる。

 

 「お前ら軍師が欲しかったんだろ―――」

 「オレっちがなってやるよ―――!!」

 

 

 カジハラがそう口にする。

 

 カジハラの能力の高さは先の闘いで把握している。

 

 彼がもし軍師として活躍してくれれば、この上ない戦力増強に繋がる。

 

 「その申し出はありがたい―――、リア様にもお伝えしよう。」

 

 かくして、四人は解放軍本部へと戻った。

 

 距離的には馬に乗り続けて一週間程度掛かるくらいあるが、シロが飛んでいけば半日程度で着く。

 

 「ドラゴンに等、初めて乗ったぞ!」

 「これはすごいな!!」

 

 ジュリエッタは初めてのドラゴンの騎乗に興奮している。

 

 「ミナス様、落ちないでくださいね―――」

 

 シータがミナスを支える。

 

 「ごめんね―――」

 「こんな女の子に支えられなんて、ボクは情けないな・・・。」

 

 

 ぶつぶつと呟くミナス。

 

 「テメェーら視えてきたぜ!!」

 「解放軍本部だ!!」

 

 ミナス達は解放軍へ辿り着く。

 

 降りて初めに感じたのは異様な静けさだった。

 

 「・・・ジュリエッタ様?」

 

 「お前達か・・・!!」

 「リア様はどこだ!!」

 

 見慣れた解放軍のメンツが様子を伺いながらこっちに顔を出してきた。

 

 そうか、いきなりこんなドラゴンが来たら、警戒するか。

 

 

 ジュリエッタはそう感じていた。

 

 「リア様が・・・リア様が・・・!!」

 

 明らかに動揺する兵士達。

 

 何かあったに違いない。

 

 「聞かせてくれないかい?」

 「リアに何があったのかを―――」

 

 ミナスが割って入る。

 

 兵士たちは泣きながらにリアに起こったことを話す。

 

 ここに何十隻もの空を覆い尽くす巨大な飛空艇がやってきたこと。

 

 解放軍の他の者を人質にリアが王都へ連れていかれたこと。

 

 ジュエル王国第一王女のセディナ様が皇帝陛下と婚姻の儀を結ぶこと。

 

 

 

 そして・・・リアは最後に笑って、皆に心配いらないと云ったこと。

 

 

 

 「何が心配いらないだよ―――」

 「誰かのために自分が犠牲になることをボクは正しいとは思わない!!」

 

 ミナスがハッキリとそう口にした。

 

 それは紛れもない本心だ。

 

 弱者だからこそ口にした言葉。

 

 

 「どうするつもりだクソ魔導士―――」

 

 

 

 

 「そんなの決まっている―――」

 「取り戻すんだ!リアを!!」

 「帝国の手から―――」

 

 

 

 「・・・・フフ、分かりやすくて助かるぜ。」

 

 

 

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