4話
「ごめん、敵だと思ったんだけど、多分見間違いだった」
「そうなんだ。あー、よかった!」
ゴブリンはホッと胸を撫でおろした。
(言葉が通じている……? 一体どういうことだ。考えられるのは……①このゴブリンが日本語を喋っている。②俺がゴブリン語を喋っている。……普通に考えれば②だよな。もちろんゴブリン語なんて勉強した記憶はないが)
「僕の名前はサンゴ! 君は?」
「えーと……石橋」
「なにそれ! おかしいの!」
「え?」
「だってゴブリンの名前は三つだよ?」
「三つ……?」
「僕のお父さんの名前はスペンだし、お母さんの名前はシンマだよ。ね、三つでしょ?」
サンゴには相当面白かったようでクスクス笑っている。笑われても嫌な気分にならないのは、それが純粋に楽しんでいるだけで、馬鹿にしている感じが一切しないからだろう。
このサンゴというゴブリンはまだ若い気がした。人間で言えば小学男児のような。
「イシバ。……俺の名前はイシバだ」
「分かった、イシバだね! よろしく!」
「よろしく……」
(三つというのは、三音という意味だったらしい。まさかゴブリンの名前にそんなルールがあったとは……)
「僕、イシバのことを見るのは初めてなんだけど、何か用があってこの山に来たの?」
サンゴは子供のような純粋な瞳で尋ねてきた。
「あ、えーと……お腹が空いたから、何か食べ物でもないかと思って探してたんだ」
「そうなんだ、イシバはお腹が空いてるんだ。だったら僕の家に来なよ!」
「え?」
「ちょうど昨日、いいのを見つけたんだ。イシバも絶対に好きだと思うよ!」
どうするべきか思案していると、ぐう、とお腹が鳴った。そんなつもりはなかったのに、どうやら身体は本気でお腹が空いていたらしい。そう言えばあの時、コンビニに飯を買いに行く途中で事故に遭ったんだった。糞神の手違いのせいで………。
「本当にいいの?」
「うん、いいよ!」
こうしてイシバは、サンゴの家へ一緒に行くことになった。
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