12話
「いやー!」
「ふー!」
「わーお!」
やたらとハイテンションな声が響き渡り、イシバは目を覚ました。
洞窟の入り口へ歩いていくと、満天の星空の下で、ひたすらスピンキックを繰り出すサンゴの姿があった。
「あ! イシバ!」
「すごいじゃん! できるようになったんだね!」
「見てた!?」
「うん、すごくきれいなスピンキックだったよ」
「実はねー、目が覚めた時からなんか行けそうな気がしてたんだよね! イシバがやってたのを思い出しながら、イメージトレーニングして寝たのが良かったのかも!」
「すごいよ、本当に」
「ありがとう! やー!」
そう言って、サンゴは目の前で再び技を披露した。
フィギュアスケートの選手のようにくるくると回転し、その遠心力を乗せて鋭い蹴りを叩き込む。
それはイシバにとって、思いがけない新たな発見だった。
新しく魔法を手に入れるには、『100万回生きたねこ』の力か、魔物を倒すしかないと思い込んでいたからだ。
(魔法って……努力すれば自力で手に入るものなんだ……!)
「ねえ、一緒にやろうよ!」
「うん!」
サンゴと一緒にスピンキックをして遊ぶ。
最初はちょっと恥ずかしかった。けど自分はいまゴブリンだ。それも生まれたばっかりのゴブリンだ。そう考えたら、楽しんでいいじゃないかと思えた。どうせ誰も見てない。個々には人間なんかひとりもいないんだから。
楽しい。
こんな気持ちは小学生の時以来だ。こんなにも楽しいのに、なぜかイシバの目からは涙が零れそうになっていた。
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