「パリの家」エリザベス・ボウエン
エリザベス・ボウエン「パリの家」太田良子訳/単行本/384ページ/晶文社(2014/08/23)/日本語/ISBN-10:4794968531/ISBN-13:978-4794968531
2015/09/07、エリザベス・ボウエン(太田良子訳)「パリの家」晶文社(2014/08/23)を読了。ようやっと、という感じ。Twitterで紹介されていた短編集が絶版で古本もなかったので代表作を読む。現在/過去/現在の三部からなり、第二部だけなら単に上流階級のメロドラマだが、前後にその結果が登場するので侮れない。しかも結末はわたしには意外。新訳だが旧いし、行動より言葉で感情を表現する作家のタイプなので、その意味でも今風ではないが一読の価値アリ。嘘だと思ったら読んでください(笑)。
『しかし共通の過去を持たない恋人同士や友人同士にとって、歴史的な過去は、公園のように、たくさんの建物と人であふれた目の回る風景のように、一般に公開されている。』
素晴らしい洞察ではないか。
さて太田氏の訳は所々に水草が生えているようでわたしには馴染まないが、それも一度恋が始まれば美しい背景装飾に変わるから摩訶不思議。
しかし先入観を持たずに読み始めたは良いが第二部の途中まで行き先が見えずに惑う。その惑いが、やがて牽引力となるのだから読書は止められない愉しみだ。
摩訶不思議な体験をありがとう。
以下はアマゾン解説より。
11歳の少女ヘンリエッタは、半日ほどあずけられたパリのフィッシャー家で、私生児の少年レオポルドに出会う。レオポルドはまだ見ぬ実の母親との対面を、ここで心待ちにしていた。家の2階で病に臥している老婦人マダム・フィッシャーは、実娘のナオミとともに、自宅を下宿屋にして、パリに留学にきた少女たちをあずかってきた。レオポルドの母も結婚前にそこを訪れたひとりだった。青年マックスもこのパリの家をよく訪れていた。パリの家には、旅の途中、ひととき立ち寄るだけのはずだった。しかし無垢なヘンリエッタとレオポルドの前に、その歪んだ過去が繙かれ、残酷な現実が立ち現れる…。20世紀イギリスを代表する女流作家、エリザベス・ボウエンの最高傑作。




