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野星
僕らはゆるやかに夜の空を進んだ。
空気を胸いっぱい吸い込んだ。肺に新鮮な夜が広がる。
家々の瓦が金色の光を反射してきらめく。
地上では黒々と海草みたいに木々が揺らいだ。
遠ざかる3階の僕の部屋、振り返ると小さくなったベランダの柵が魚の骨のように銀色に浮かんで見えた。
天では星がピカピカと点滅して何かを囁いてるようだ。
とりわけおしゃべりそうな星々の群から少し外れたところに、ひっそりとした小さな星があった。
僕が見つめているときらっと確かに輝いて返事を寄こしたようだった。
掴めそうな気がして、ぐっと腕を伸ばして掌を握りしめると僕のこぶしの中に小さな塊の感触があった。




