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空遊
目に痛くないくらいの微光を体の内側から放つ魚。
僕は何かに似ていると思ったけれど、それが何かはわからなかった。
両腕で抱えてもまだ幅が余りそうな大きな魚は僕のベランダの外に浮かぶ。
しばらくの間、僕はその身じろぎもしない魚に見とれていた。
そして窓をそっと開けて、僕はベランダに出た。
手を伸ばして金色の魚に触れる。
少しひんやりとした感触が心地よく掌に伝わった。
さて僕は、ベランダの柵に足をかけ、宙に浮かぶ魚に両手をのせると、ひょいと背中にまたがった。
四角い窓を開けたままだから部屋からベランダへ、かけっぱなしの音楽の音符がこぼれだしている。
少し風が吹いて、カーテンがふわりと揺れた。
そしてそれを合図に魚は僕をのせたまま夜空を音もなく泳ぎだした。




