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月光魚
みどりいろの壁紙は夜の色に溶けて、午後9時15分、僕の部屋は青から黒のグラデーションだけ。
モケットの床に座り込んで、手もとには四角いCDレコーダーがお気に入りのバンドの新譜を回していた。とれたての星の角っこを叩いてキンと鳴らす、キラキラ飛び散る金色の音。
いつの間にか目を閉じて僕は来週の水曜日に彼女にあげるイヤリングの、ちっこい檸檬色の石のことを思い出した。
ガヤガヤした街中の路上にアクセサリーを並べたおじさんがとてもすすめたあの小石。
ポテトチップのキャラクターみたいな立派なちょび髭が黒々と、口の上で踊っていた。
「コレハホントウニメズラシイウンヌン」
「ペルーノコウザンノカンヌン」
CDが三曲目のサビにさしかかって
ふと目を開けるとカーテンを閉めたベランダからぽおと光が。僕は猫のように音も立てずに立ち上がって、そっとカーテンを開けた。
金色の魚が宙にぽっかり浮かんでいた。




