踏切オーディション
踏切に電車接近、あと600m。
よし、コントローラーのAボタンだ!
ゲーム画面の踏切がカンカンと音を鳴らし、遮断機が下りた。
電車が通過し、次の電車が近づくまでのスキマ時間、Bボタンで遮断機を上げる。
歩行者が踏切を渡る。その人数が俺の得点だ。
X銀行主催の「踏切オーディション」ゲーム。スタートアップ企業が一室に集められ、高得点を出せば融資が受けられる。
なんだコレ、どんどん難しくなってきたな。
線路は5本に増え、電車はドア故障や急病人救護やらで遅延、電車が線路に渋滞し遮断機が開けられない。あっちの電車がやっと通ったら、今度はこっち。遮断機前に大勢の人が溜まりブーイング。うぅ焦る。スキマになんとか遮断機を開けたら、高齢者が渡り切れずペナルティポイントを喰らった。
次はどのタイミングで、開けるべきか、否か……!
どうしようか悩んでいる間に、絶妙のタイミングも逸してしまい、ゲーム終了。くそっ!
融資を勝ち取ったのは、俺の前の席のやつだった。
そいつは確かに高得点だったが、画面のペナルティポイントがひどすぎた。俺は見過ごせず担当者に抗議した。
すると、
「お客様、ハイリスクあるところにハイリターンありです。あの見事な決断力こそビジネスの必須スキル。それに比べてお客様は、もうとにかく踏み切れず……亅
(了)
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